第二章 しおり
いつものように書斎に行って本を読んでいた。書斎に行ったばかりの頃はとても幼かったので上にある本には手が届かなかったが、身長が伸びてだんだん上の本にも手が届くようになってきた。昔から気になっていた本が上のほうにあったので、その本に手が届く日を楽しみにしていた。でも図書館の奥のほうにホコリまみれになった脚立を見つけたのだ。長年楽しみにしていた本を読むのが楽しみだったので私はとても喜びその脚立を使ってその本を取ることにした。
ガシャーン
しかしその夢はかなわなかった。そもそも脚立が壊れていたんだ。脚立があったなら奥さんが使っていただろう、よく考えれば分かったと空中で悔やみながら私は脚立から落ちてしまった。
「いてて…」
運が良かったのか悪かったのか、転んだことによってたまたま本棚の下の隙間に何かがあることに気が付き手に取ってみたらそれはとてもきれいなしおりだった。奥さんのものなのだろうか。本棚の下に落ちていたのにホコリ一つついていない。
「何をした!」
神父さんが大きな音に気が付いて怒った顔で入ってきた。私はあわてて元あった場所にしおりを隠した。
もちろんそのあと神父さんに何度も殴られ怒られた。あれは大切な奥さんの形見でもあるからだ。私は脚立から落ちたときのほうが痛くなかったなと、この時間が早く終わればいいのにと思った。