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電脳戦場の白血病魔  作者: 仙葉康大
第四章 戦場にて二人
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第三十八話 「闇」

「鉄也君、鉄也君」


 おっさんの声が聞こえる。でも、わりいな。返事したくてもできねえんだ。体が動かないどころか、感覚がねえんだ。


 見えているのは、闇だ。死ってこれのことか。でもおっさんの声が聞こえるってことはまだ完全に死んだわけじゃないのか。


「鉄也君、許さないぞ。死んだら。君だけ、逝くなんて、絶対許さない」


 おっさんに許してもらえねえのは、辛いな。でも、どうしようもねえことだってあるだろ。医者なら分かるだろ、おっさん。


 視界の闇に淡い光が出現した。光は楕円状になって、何かを映している。走馬燈かな、と思ったら、違った。光が映しているのは、アメーバと戦っている初菜とキスシアと流架だった。


 初菜の病魔は倒したはずだから、あれは俺の病魔か。流架、お前、足に小さい穴が空いてんぞ。病魔耐性値低んだから、速くデザートしろよ。


 キスシアなんか敵の銃や刀を一掃しながら核を斬りつけてやがる。お前の力じゃ無理だよ。


 そして、初菜。いい着物なのに、朝顔の柄が見えないほど血で真っ赤に染まってるぜ。数珠丸をキスシアと一緒にふるっても、やっぱり斬れない。女二人で斬れるかよ。あと、お前、なんで泣いてるんだよ。


 俺はため息をつこうとしたが、つけなかった。今の俺はため息一つ満足につけない。

 まったく。なんでか分からねえけどよ、初菜の泣き顔は見たくないな。

 あいつらを悲しませたくねえみたいだ、俺。


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