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電脳戦場の白血病魔  作者: 仙葉康大
第三章 祭り
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第十四話 「パシリ」

 売店で買ったメロンパンを持って、俺は初菜に会いに行った。


「何?」


 いつも通り病室の戸を挟んでの対応だ。もう夕方だけど、俺も初菜もパジャマだった。


「流架を助けてくれたお礼、言ってなかったからよ」

「私は依頼を受けたから、病魔を倒しただけよ」


 初菜はメロンパンに視線を注いでいる。


「お前、本当にメロンパン、好きだよな」

「悪い?」


 初菜は俺を睨んだが、視線はまたメロンパンの方へ移っていく。

 あんまり焦らすのも酷だから、初菜にメロンパンを渡す。


「じゃな」


 他に用はなかったので、立ち去ろうとしたら、初菜がパジャマの裾を掴んできた。


「待ちなさいよ」

「何だよ」

「今日のあなた、何だかいつもと違う。元気がない」

「気のせいだよ。数秒しか話してねえのに、人の元気を決めつけるな」


 立ち話している俺たちの後ろを看護師が通った。


「痴話喧嘩?」

「違います」

「ちげえよ」


 俺と初菜が声を揃えて否定すると、看護師は小さい笑いを漏らしながら、行ってしまった。


「俺、もう行くわ」

「話、まだ終わってない」

「じゃあな」


 俺は一方的に話を打ち切って、階段の方へ歩く。


「次はチョコチップメロンパンにして」


 初菜の刺すような声が飛んで来た。人の心配をしたいのか、自分の食欲を満たしたいのか、どっちなんだよ。


 初菜の言ったことは当たっていた。元気がない、その原因は先の一戦にあった。俺は鵺との戦いでくその役にも立たなかった。初菜は鵺を一秒もかからず撃破した。俺と初菜、どちらが強いかは明白だ。


 強くなりたい。初菜より強く。で、初菜をフルボッコにしたい。メロンパンを買って来いと命令したい。初菜の下でパシリをするのはもう嫌だ。


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