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■高校1年 8月第3週 迷宮5層 3回目(6)

「だったら俺の強さを見せてやる! 決闘だ!」


「お前が勝ったら『護衛して0層まで連れて帰る』だろ? 俺達が勝った場合はどうなる?」


「その場合はお前の言うとおり、ここで待っててやる。」


「それは賭けの報酬としては不適当だな。俺が決闘を断ってお前を置いて帰る事もできるんだぜ?」


「だったら欲しいものを何でもくれてやる。これなら文句はないな。」


『欲しいものを何でも』って言ったよね? これは酷い負けフラグが立った。

しかしなんで女の子の『何でも』はそそられるのに野郎の『何でも』は……。


「お前が一筆『念書』書くならそれでいい。ちょっと待ってろ。」


一度戻って荷物リュックのサイドポケットからノートとボールペンを取り出す。


『私が決闘に負けた場合は、』とまで書いて思いついた。


「そういやお前、名前なんだっけ?」


「木崎だ! 木崎ノア!! 俺を知らないとは無知にも程があるぞ!」


「ああ、思い出した。『野営訓練』で飛び出して最初に魔法で撃たれた奴だったな。俺は館林剛志だ。」


木崎の顔が真っ赤を通り越して赤黒くなった。そのまま脳溢血でも起こして倒れてくれないかな?

『私が決闘に負けた場合は、私のパーティで木崎ノアを保護して0層まで護衛します ○○○○年○月○日 館林剛志』……と、もう一枚だな。

別の紙に同じように書いた。


「俺と同じように、日付と名前とお前が負けた時の『舘林剛志に欲しいものを何でもくれる』と書いてくれ。」


「面倒だな何で2枚なんだよ?」


「ここにはカーボンもコピー機も無い。お前が控え要らないというなら一枚でもいいぞ。」


「チッ…………できたぞ。」


「んじゃ、ウチのパーティーとそっちの子に確認してもらおうか。」


ウチのパーティメンバーに一筆書いた念書を見せてから、花咲さんに見てもらう。それから念書を一枚切り取って花咲さんに渡した。


「花咲さん……だっけ? これ預かっておいてくれるか?」


「すいません、厄介ごとになってしまって……。」


「それより回復薬飲んで、そっちの子には体力回復薬かけてやってくれ。増血作用があるんだ。俺も前にこれで助かった事がある。」


手持ちの体力回復薬を全部シートの上に出した。


「ありがとう……ございます。」


「キミとそっちの子を担架も無しに長距離動かすと容態が悪化して死にかねないってのがウチのパーティの共通意見だ。悪いけど決闘終わったら、救援来るまで安全地帯に退避して我慢してくれよ。」


「はいっ!」


ウチのパーティの方に戻って残りの念書をノートごと渡す。


「なんや、ナンパかいな?」


「様態聞いて、回復薬飲んでぶっ掛けるように指示しただけだよ。」


「気絶して飲めないならかけるしかないですからね。」


「それにしても木崎はあっちの2人を気にかける振りも無いわね。」


「最初は『応急手当』かけてたのになんなんやろな?」


「木崎だけ無傷ってのもなんかありそうだな。それじゃ、行って来る。」


鼻っ柱へし折って修正してやる。

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