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■高校1年 8月第3週 迷宮5層 3回目(5)

あれから30分ほど経過したが、木崎達からの接触は無い。俺達の話、特に去り際の喜久彦の忠告を聞いていれば、迷宮大猪をエサに交渉しに来るくらいはできたと思うのだが、それすらない。それとも一刻を争わない事に気が付いて、安全地帯に退避してくれたのだろうか? いやその場合は念のため伝言を頼みに来るはずだ。




俺達は方針が決まったことに人心地ついて温かい飲み物を飲み、昼飯を食べている。さすがに煮炊きは気が引けて、エナジーバーとカ○リーメイトだ。


「慣れるって怖いわね。目の前で人が死んだのに、お腹は空いてご飯を食べてる。」


「本当に死んだ訳でもあらへんし、食わなワイ()がまいっちまうやんか。」


「それにしても、あの人達はどうするつもりなんでしょう?」


「これ食い終わったら様子見て話してみるけれど、期待はできないな。

最悪、木崎を拘束する場合でも先手は向こうに譲る。先に手を出させるためにも俺一人で行くのが良いだろう。」


先ほど同様にトーンは落している。

丸腰で行こうかとも考えたがあざと過ぎるので止めた。わざとらしく目の前で武器を捨ててやったほうが挑発としては有効だろう。

迷宮大猪がどうなったかも気になるよな。残っていても内臓取り出してないと危ない時間だ。。


「ワイかてC(カウンター)PK(プレイヤーキラー)で慣らし取るんや、解っとる。学生証でログ取られとるから、下手は打てへんな。」


「『正当防衛』になるまで我慢すればいいのね。」


「ああ。ただ一発目だけ待てば良い。」


「剛志君は大丈夫ですか? 補助魔法かけます?」


「同じ一年だ、頭さえガードすれば一発即死ってことは無いはず。補助魔法も油断させる為に無し。でも怪我したら頼むよ。」


先輩方から『オーラ斬り』が使えるなら迷宮大猪は一発って聞いた。この状況で温存してるという事は殆ど無い。とは言え魔法も含めるとジャージ貫通できる攻撃を持ってる可能性は高い。ジャージ部分も含めたガードが要るな。


カロリーメ○ト(チョコ味)の最後の一欠片をココアで流し込む。


「それじゃ行ってくる。後で証言が要ると思うから、見える場所にいてくれ。」

少し歩いて食べ屑を落し、再びボス部屋へと入っていった。



◇◇◇◇◇



こっちも状況は変わってないか。

二つ違うのは生徒の死体が消えている事、『迷宮大猪』と床にシートが敷かれその上に少女2人がいること。

加須枝さんはまだ気絶状態。花咲さんが迷宮大猪を背もたれにして座っているので、大猪は消化はまだされていない。

そして腕を組んで立っている木崎。こいつだけ消えてたら交渉楽なんだろうな。


「ずいぶん待たせたな。待ちくたびれたぞ!」


「あ゛? 俺は『帰りをどうするか考えろ』とは言ったが待っていたのはお前の勝手だろう? 俺達が黙って引き上げてたらずっと待ちぼうけか?」


木崎の顔色が変わる。沸点低いな。


「それでリスクの低い良い手は思いついたか? こっちは2つも用意してやったぞ?」


「聞いてやる、言ってみろ。」


「は? 『どうか教えてくださいませんか?』、だろ? 俺達が助ける側で、お前らが助けてもらう側だ。状況判断も出来ないのか? そりゃパーティ半壊するわ。

それにこういう場合は、まず助けられる側が要望を言うものだ。言わないという事はこちらのやる事に無条件に従うという事でいいんだよな?」


「ま、待ってくれ。あの2人が足手まといと言うなら、俺だけでも連れ帰ってくれないか? 報酬は欲しがっていた、そこの迷宮大猪でどうだ?」


「駄目だ。迷宮大猪は死んでから、内臓も取らず冷凍もせずもう一時間近く経っている。こいつの肉はもう使い物にならん。斬り傷が多すぎて皮も駄目だ、もう牙くらいしか価値がない。」


「だったら金か? 女か? 連れ帰ってくれたら好きなだけやるぞ?」


「金には困ってないし、お前にケツ振るような安い女なんか御免だね。」


「だ、だったらそっちの手はどうなんだ?」


「まぁ、そっちの手の内を先に聞いたから教えてやる。

1つは最初に言った増援を待って護衛の人数を増やす方法だ。こんな時間だから交渉する後続パーティすらない可能性が高いな。

もう1つは、あんたら3人が6層側出口の先の安全地帯に逃げる。俺達は次に再出現(リポップ)した迷宮大猪を倒して肉を持って帰る。夕方には0層に着くから、そこであんたらを助ける為の救援要請を出す。夜中前には上級生の救援がここに来るだろう。これならばあの2人を担架も無しで動かすリスクがない。」


「2番目の手なら俺の言った通り、俺だけ連れてく事ができるだろ? なぁ、連れってってくれよ?」


「まだ言っている意味が解ってなかったか。『()()()足手まとい』と言ってるんだ。

それにあの2人だけ残したら、起きてる子の容態が急変した時に誰が対応すんだよ?」


ここまでの会話で木崎の顔が赤・青・土気色・真っ赤に変わっている。


「だったら俺の強さを見せてやる! 決闘だ!」


これでやっと3分の1か。あとはどうやって先手を取らせて、どうやって勝つかだな。

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