■高校1年 8月第2週 閑話
「パインサラダ」なシリアス展開を予想していた方、申し訳ありません。
そういう展開は今の所考えて無いです。
4日後、金曜日の昼過ぎに伊勢崎先生は普通に帰ってきた。
保健室で謹慎中と聞いて連れ立って押しかけた。
「出張帰りの電車でビール2本あけたとこまで覚えてるんだけどね。どうも乗り越して終点まで行って、起こされた時に駅員殴ったらしくて警察に捕まってたんだよ。あと未成年者飲酒の疑い。」
頭を掻きながら語る伊勢崎先生は拘留で何時もの元気は無いが、言ってる事は無茶苦茶だ。
「何やってんすか、伊勢崎先生……。俺も皆も心配してたんですよ?」
「やっぱり魔法と加護の身体能力強化無いと駄目ね。つい何時もの調子で飲んだら早く酔いが回っちゃっうし……10人くらいは伸したところでネットランチャーと刺股とデーザー銃であっさり取り押さえられちゃった。」
「どこの害獣退治ですか……。」
その女凶暴につき!? ブーストなしで10人以上相手余裕とか、しかも酔拳。
「カツサンドは冷蔵庫の中とは言え、さすがにもう駄目だよね。折角館林君が取って置いてくれたのに……。」
「なんとかしたいけど、学食の『迷宮大猪』メニューは昨日で終わったわ。もう大猪肉は残ってないでしょうね。」
昨日まで学食には俺達と韮川先輩達が卸した『迷宮大猪』の肉で特別メニューが提供されていた。大量入荷がある度の恒例行事ではあるが、食べられる化物は多くなくボスともなれば人数制限の関係で大量に持ち帰るのが難しい。化物肉は買い取り価格に応じてメニューも高くなってしまうが、味がいいのと物珍しさで連日完売する大盛況だ。
「私のも煮豚や鍋の練習用に取っておいたのはもう残ってないです。」
「無ければ、ワイ等で取りに行けばええやん?」
『パンが無ければケーキを食べればいいじゃない』な感じで言われても困る。
あれはマグレだと言ったよな。『迷宮大猪』討伐に別の方法も考えてはいるけれど、どれも楽じゃない。
「7層突破に挑戦するの後回しにするならできるけど、喜久彦はそれでいいのか?」
「まだ8層も到達してなければ、どうせ9月末まで次の9層進入許可が出ぇへんのや。2週くらい遅れてもええよ。」
遠まわしに止めたけど喜久彦がやるって言うなら、仕方ないか。
「もちろん杉戸君が先頭で木槍で一撃撃破チャレンジですよね?」
「私も協力するわ。骨くらいは拾ってあげるわよ。」
「ありがとね。断酒中なのが辛いけど、楽しみにしてるわ。」
「お、おう…。」
優ちゃん先生がにっこり笑い駄目押しして喜久彦の退路が絶たれた。
「ともあれ、伊勢崎先生が無事でよかったです。何かあったらどうしようかと。」
「最後に会うた生徒もワイ等やったらしいし、タイミング的にあれが原因かと思うてたからなぁ。」
「伊勢崎先生の書類仕事の邪魔になるから、そろそろ行くわ。」
「もう行っちゃうの? せんせーお茶淹れようか?」
「遠慮させて貰います。それより書類頑張って早く謹慎解いて貰って下さい。」
「差し入れ持って、また来ますから……ね?」
優ちゃん先生の状況を把握して、次の方針も決まって保健室を後にした。
あの『楽しみ』はカツサンドと喜久彦の受難と両方だな。笑顔があまり黒くなかったのはカツサンド効果だろう。
それはさておき、具体的に計画を詰めないとな。
[2016/11/03]
次の更新予定は未定です。
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