■高校1年 7月第2週 初ダンジョン(14)
「これでしまいやっ!」
喜久彦が『酋長緑小鬼の大剣』で胸を突いて止めをさす。
食事を済ませテントを片付けて13時に出発した俺達は3層をボス部屋まで最短ルートで進行中。
今は6戦目の緑小鬼のパーティを下したところだ。
「こうも弓緑小鬼が多いと盾が欲しいところだな。」
万全な状態なら魔法盾な『フォースシールド』や対弓障壁な『風防壁』を出して行きたい。しかし、今は俺も喜久彦もボス戦に備えて『生活魔法』以外禁止を言い渡されてる。
弓は魔法に比べて威力が低いものの、構えて撃つ速さは魔法より早い。構えを見ていれば薙ぎ払って打ち落としたり回避も余裕なのだが、乱戦になると二戦に1回はミスして当ってしまう。いずれも頭だけは死守して、ジャージや手袋の上からのヒットで刺さらず点の打撲だけで済んでいるが結構危うい。
「わいは回避重視にしたいし、剣を両手持ちもするから着けるとしたら腕に固定で小さい奴だな。
こいつならそのまま受けてもええからな。」
今使ってる大剣を見せる。
「龍座の○龍な奴かしら?」
「それや。陸○型ガ○ダムやと大きすぎる。」
「俺は○戦型ガン○ムか、もっと大きくてジ○カスタ○くらいのが欲しいな。」
シールドに爪が付いてるから、そのまま殴れば武器にもなる。
もし火属性適正があれば、パイルバンカーとかもできたんだろうな。
「GP○2くらいにでかいの持って、勝つるメイン盾にはならんの?」
「そんな重くて嵩張るの誰が運ぶんだよ……。」
人間用に換算すると、150cm四方くらいのタワーシールドだ。
機動隊ご用達のライオットシールドより二回りくらい大きい。
同じ硬質プラスチック製にして軽量化して、更に折りたたみ可能にしても……無しだな。
「あの……何を言っているのかさっぱり解らないです。」
「静華さん、帰ったら全部説明するから。」
そんな事話しながら、剥ぎ取りして小休止も取った。
◇◇◇◇◇
「剛志、あとどれくらい?」
「あと2kmってとこだな。ぐるっと回り道しないとボス部屋に行けない仕様だ。」
3層攻略で5時間歩き、18時を回ったがまだボス部屋に着かない。
茂子さんにマップファイルを渡して確認してもらう。
「道間違えたって訳でもないわね。」
「どれどれ……なんやもう移動訓練より歩いとるやないか!」
「早めの夕飯にして大休止とりましょうか?」
「まだタイムリミットの22時まで時間ある、そうするか。」
「せやな、袋小路は無理でも見張りしやすいとこにいこか。」
比較的長い一本道の途中でシートだけ敷いて夕飯の準備をしていると奴らが現れた。
「タケちゃん、おとついのあいつらや。」
一昨日の夜、袋小路に居た男5人パーティだ。相変わらず何人かニヤニヤしてる。
「ああ、一応警戒。こっちからは手を出さない。だが仕掛けてくるなら情け無用だ。」
「気が進まないけど。敵対するなら仕方ないわね。」
「穏便にに済めばいいのですけれど。」
「いょぅ、また逢ったな。」
「なんだあんたらか。先行してたんじゃないのか?」
「2日目はフィールドボス探して回ってたからな。残念ながら見つけられなかった。そっちは狩れたみたいだな。」
喜久彦が脇に置いてる大剣を指して言笑う。
「せや、昨日緑小鬼と交戦中に追加でボスが横湧きしてな……おかげで剛志は担架で運ばれる程の重傷になったんやで。」
「なんだとぉ。館林、もう大丈夫なのか?」
後ろの大男が詰め寄ってくる。
「ああ弓の当たり所が悪かったのとMP枯渇やらかした。昨日は早めにキャンプ張ってゆっくり休んだから、今は見ての通り元気だ。それでとっくに追い抜かれてたと思ってた。」
「そうか、大変だったな。」
リーダーらしき一人が他のメンバー男4人に目配せをする。
やはり襲いに来るのか?こっちも目配せして戦闘準備させる。
「ボス、これを。」
優男が声をかけて纏めた回復薬を渡した。
「見舞いだ。」
リーダーが自分の分を足して渡す。学園印の低級体力回復薬と低級MP回復薬5本ずつ計10本、お値段5000円。
「いやこんなの貰えない。」
「俺達に襲う気が無かった訳では無いから警戒してるのも解る。今後は俺が抑えるからこれで手打ちにして欲しい。」
「もろとけ、もろとけ。」
こいつ等のせいでフィールドを夜間移動したのは確かだが、喜久彦……タダほど高いものは無いんだぞ。
「そうですよ。杉戸君が昨日の夕方偵察中に一人で戦ったのもあって、回復薬の残りが心許ないんですから。」
「なんですってー。喜久彦ちゃん大丈夫? どこか痛い所無い?」
今度は喜久彦にガリガリで神経質な感じの男が詰め寄った。
「わ、わいも元気やで。すぐにみんな駆けつけてくれから、タケちゃんより遥かに軽症や。」
「よかった、よかったぁ……。」
ガリガリ君は喜久彦の手を握ったまま泣いている。
「そんな訳だから今後は仲良くしてくれ。邪魔したな、おい行くぞ。」
「「「「OK、ボス」」」」
「じゃあな。」
「喜久彦ちゃん、またね。」
「「お、おう。」」
男5人のパーティを見送り、やっと喜久彦も俺も解放された。
「なんだったんでしょう?」
「あれは完全に剛志と喜久彦狙いだわ。ボスって呼ばれてた人だけは両刀みたいだけど。」
ずっと黙っていた茂子さんが口を開いた。
「襲うって俺をか、『ノンケでも構わず』な集団かよ。」
「わいも最初見た時に悪い予感はしてたんや。でもこれは予想外でもっと最悪や。」
「ところでこれ……どうしましょう?」
彼らから貰った回復薬を差し出す。
茂子さんが受け取って、回復薬をすばやく手にとって一つ一つ確認してゆく。
「薬に罪はないわ。キャップも緩んで無ければ、液漏れもなし。
ラベル変色も異臭もしないから異物混入の線は問題ないようね。」
ずいぶん念入りに調べたな。
「最後の手段として持っていこう。茂子さん、蓋に油性ペンで目印を頼む。」
「私も気付かず飲んだら嫌だもの。任されたわ。」
「こっちをやきもきさせた分、あいつらが3層ボス倒してくれないと割りに合わんなー。」
3層ボスはレイド設定の2層フィールドボスの酋長緑小鬼より弱いはずだ。
あいつらなら倒すだろう……多分。
ボス復活までの3時間のうちにボス部屋通過できれば言うことは無い。
「さて気分切り替えて、出来れば忘れて……夕飯にしようか。」
「そうね。今はそっちが優先だわ。」
「はい、お湯沸かしますね。」
エナジーバーと静華さんに頼んでココアを貰って夕飯にする。
迷宮から出たらすぐに普通のご飯食べたいので、かなり抑え気味だ。
「剛志君、ココア気に入りましたか? このメーカーのは美味しいんですよ。」
「ああ、次は持参するよ。包み紙もらえるかい?」
「どうぞ。」
「ありがとう。」
スティックタイプの包み紙には、ばん○ーでんとか書いてある。
ヘルシ○グで少佐が飲んでたのがそんな名前だったな。
「ひょっとして高い?」
「そうでもないですよ1本50円しません。」
うーん、相場がわからん。
「まぁいいや、帰ったら調べて取り寄せるよ。」
「やーっぱ昨日の夜なーんかあったな。」
「ええ、今朝から呼び方も変わってるわね。」
「ふ、普通にお互い名前で呼ぶように話しただけですよ。」
静華さんは頬を染めて答えた。
「そうだぞ茂子さんや優ちゃん先生が名前呼びで、姫…静華さんだけ、名字呼びだったからな。」
「ふーん。そう言うことにして置いてあげるわ。」
「わいも静華ちゃんって呼んでるし、喜久彦君って呼んでくれへんか?」
「その呼び方、ドラ○もんになるのでほんとは嫌なんですよ。だから駄目です。」
即答で拒絶された。喜久彦、南無ー。
俺もド○え○んにならないように『剛志さん』じゃなくて『剛志君』なのだろう。
ロボットアニメは男子の通過儀礼です。
剛志は入院~ぼっち期間の暇つぶしでさらに染まってます。
チーム○薇族(仮)はまた出てくると思います。
ド○え○んは最近見てないので、今は仕様が変わってるかもしれません
感想ありがとうございます。
>高校生の性欲半端ないなあ……
そんなものです。
超法規的措置でネット閲覧やえろ本の入手は可能で、はけ口にはなっています
しかし迷宮という無法地帯でどうなるかは
「■高校1年 7月第2週 初ダンジョン(5)」で書いた通りでして
その対策は欄外の「攻撃した時点で記録される」と言うところです。
なお和姦の場合は「■高校1年 7月第2週 初ダンジョン(1)」の最後で佐野先生語ってる通りです。
>ダンジョンが性欲を活性化
特にそう言う効果は無いのですが、生存本能は刺激してると思います。
あとはつり橋効果とか。




