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■高校1年 7月第2週 初ダンジョン(13)

それからさらに3回ほど横湧きが起こったものの、喜久彦と茂子を起こすことなく完封した。


「実体化直後への攻撃は、ちょっと卑怯な気がするけれど仕方ないですよね。」


「スポーツマンシップとか武士道とか通じない相手だから。

ひょっとしたら野生動物だって『人間は武器を使う卑怯、武器なんて捨てて素手でかかって来い』とか考えてるかもね。でも考えても仕方ない。」


やらなきゃやられるんだから手段なんて構ってられない。


「うふふふっ。やっぱり剛志君って面白い。」


時計に目をやる、4時回ったか。起こしてもいいよな。


「そうか? ところでそろそろ交代の時間なんだが、もう少し寝かせとくかい?」


「そうですねー。交代しましょうか。私たちも休まないと明日歩けなくなっちゃいます。」


「それじゃ、お先どうぞ。」


見張りは続けないとな。




「はいぃ……茂子ちゃん起きて。交代時間よ。」


テントに顔だけ入れて起こし始めたようだ。


「あかん、寝過ごしたわー。」


その声が聞こえたのか喜久彦の方が起きた。




「おはよう喜久彦。気にするな、おかげで静華さんともゆっくり話せた。」


「おはようさん。ん? それは良かったなぁ。」


「あっちはもうちょっと時間かかりそうだから、見張り頼むよ。」


女子テントを指す。茂子さんがなかなか起きてくれないようだ。「まだ大丈夫。」とは言っていたけれど、やっぱり疲れてたのだろうな。


「おう、任されたで。」


「それと水筒出してくれるか?」


「何に使うんや?」


「茂子さんも喜久彦も『造水』持ってないだろ? 飲み水と洗顔用に汲んで置く。」


「ほんじゃ、これに。」


『造水』でヤカンと俺と喜久彦の水筒に水を入れる。半日以上休んだおかげで回復したのだろう、魔法は無事発動して頭痛も無い。




「タケちゃん、なんか雰囲気変わったなぁ。」


「そうか? これでOKだな。」


水筒の蓋を閉め、ヤカンと一緒にテント近くの壁際においておく。




「おおきに。あっちはまだまだ時間かかりそうやな……無理せんともう寝てもええで。」


「悪いな。二人を待ちたかったんだが、そろそろ限界のようだ。お言葉に甘えさせて貰うよ。」


荷物から自分用の毛布と出して、テントに潜り込む。一応声だけかけて置くか。


「静華さん悪いけれど先に寝るよ。それじゃ、おやすみ。」


「おやすみ。タケちゃん。」


「おやすみなさいぃ。ほらぁ、茂子ちゃん起きないから剛志君先に寝ちゃったよぅ。」


「んんぅー。くあぁぁ。静華おはよう。」


茂子さんも起きたようだ。これで安心して寝られるな。


「茂子さん、おはよう。おやすみ。」




昨日もハードで濃い一日だった。

朝無茶して負傷して日中気絶していたけれど、色々話せたし、3人の普段見せない面も見れた気がする。

足首などの隙間防御は帰ったら先生と工作室に相談だな。

バスケットシューズやブーツは長距離は歩き難そうだし、既製品はそこまで防御力ないだろう。

そんな事を考えながら眠りに落ちた。



◇◇◇◇◇



朝4時から昼12時まで泥のように眠っていた。昨日は昼間も気絶して寝ていたというのに。


「おはよう、喜久彦。襲撃は大丈夫だった?」


「おはようさん。時間通りやな。襲撃は3回あったで、でも数が少ないからうちらで片付けた。」


「おはよう。水、助かったわ。」


「茂子さんもおはよう。静華さんは……まだか。お湯沸かして昼飯の準備するか。」


ヤカンに水を足して携帯コンロで沸かし始める。

今日はアルファ化ご飯と牛大和煮缶と生味噌タイプのインスタント味噌汁。アルファ化ご飯のパックに沸かしたお湯を入れて放置。




自分のマグカップと紙コップにも二つ味噌汁を作って喜久彦と茂子にも渡す。


「俺のご飯、もうちょっと時間かかるから見張り代わるよ。」


「さんきゅ。ほな茂子ちゃん、静華ちゃん起こしてや。」


「味噌汁ありがと、飲んだら起こすわ。」


熱々の味噌汁を急いで飲もうとして苦戦してるのが可愛い。猫舌かっ!?




「俺の時は襲撃4回だったな、ちょっとズルしたけど。」


「ズルってなんや?」


「化物は、まず黒い(もや)が湧いて数十秒かけて化物になるだろ。」


「せやね。」


「その数十秒で魔法準備したり、優位な位置取りして実体化した瞬間に攻撃して数を減らす。」


「エグイ方法やな。」


「移動中とかには使えないけれど有効な方法だよ。ボス部屋でも使えるかもしれない。」


「よう考えたら、ゲームでリスポーン(リスポン)地点に範囲技置いとく見たいな物か。」


「そうそう。それに相手は化物だ、正々堂々戦う必要ってあると思うか?」


「正々堂々戦った方が戦闘経験になるんやけど、今はそんなに余裕あらへんからなぁ。」


「ああ多勢に無勢だし、死ぬほど痛いのは嫌だからな。」


「おはようございましゅ……味噌汁の香りいいですねぇ。」


やっと静華さんが起きたようだ。


「おはようさん、よう眠れたか?」


「おはよう、これどうぞ。」


インスタントの味噌汁を渡す。


「ありがと、剛志君。おかげでよく眠れました。」


「やっと起きてくれたわ。見張り代わるから、二人でご飯食べて。」


「ああ、温める物があるなら一緒に湯煎(ゆせん)しとくから出してくれ。」




自衛隊のが出されると思ったが、サ○ウのパックご飯や普通のレトルト食品だった。


「大丈夫なのか?」


「対衝撃に難点があるけれど、荷物で殴りかからない限り問題ないわ。」


「自衛隊のミリ飯に比べると値段も安くて、種類も豊富ですから。」


なるほど、そう言うのもアリなのか。


「わいも次はそうしよか。」


「俺もそうするよ。」


さっき湯を入れておいた防災用のインスタントご飯を頬張る。

美味しい、でも値段が高めで量が物足りない。よく考えれば1週間程度常温で保てばいいんだ。

もっと下にあると言う砂漠とか雪原フィールドとかでなければ、そこまで保存性にこだわる必要はないだろう。

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