■高校1年 6月第3~4週 夜営訓練(1)
優ちゃん先生から聞いてた通り、野営訓練が行われる事が正式発表された。
低階層の迷宮は4km四方。迷わずストレートに行けたとしても結構な距離を移動しないと4層到達して、セーブポイントな転送魔法陣には辿り着けない。
ただ移動するだけでなく、装備を担いだ上に化物と戦いながらの移動で適度に休む必要がある。
水道や風呂やトイレも無く、食事も保存食やミリ飯、昼間は移動訓練、夜中は交代で眠る、と言う迷宮生活を事前に疑似体験してもらうことが目的だ。
もちろん迷宮に無いもの、持ち込めないものの使用は不可だ。
同じクラス内で4人のパーティーを作る。
それからパーティ単位でくじ引きでA班とB班に分かれる。
A班は迷宮0階の訓練場で通常迷宮層泊、B班は地上の訓練場でフィールド層泊をそれぞれ想定して移動の訓練と夜営をする。翌週は場所を入れ替えて行う予定だ。
俺は喜久彦と組むことを決めたが人数が足りない。
改めて姫宮さんと茂子さんに、パーティ組むのをお願いするとOKしてもらえた。
「よろしくな。」
「こちらこそ。よろしくね。」
「ところで剛志は『生活魔法』は何を持ってる?」
「『造水』『浄化』『点火』『灯火』『土壁』だな。」
「わいは『浄化』『風乾燥』『点火』『灯火』や。」
「喜久彦のは知ってるからいいわ。」
「私は『造水』『浄化』『風乾燥』『灯火』。茂子ちゃんが『浄化』『点火』『灯火』『土壁』『土竜』を覚えてます。」
「それならトイレや水の心配はなさそうだな。」
◇◇◇◇◇
「リーダーは、タケちゃんでええか?」
「いいわよ。」
「賛成です。」
「何で俺が……?」
「わいは、矢面に立つんは柄じゃないし、ちゃらいし信用されへん。」
「自覚あるなら直したらどうだ?」
「あかん、これを我慢したらストレスで胃も腸もぶっちぎれて飛んでいってまうわ。」
「私も館林君がいいです。真面目で寡黙で……女子でも、そこそこ人気あるんですよ?」
知らなかった。
『ものすごく』『かなり』『結構』ではないのは俺らしくて信憑性が持てる。
「私は事務仕事が面倒なのでパス。それで喜久彦以外ならどちらでもいいわ。」
「なんでや。」
「自分の胸に深く聞くことね。喜久彦にしたら提出書類絶対忘れるから。」
折れるか、一応3票入ってるし。
嫌がってる二人や姫宮さんに押し付ける訳にもいかないだろう。
「まぁまぁ、喜久彦と茂子さんは希望通りになって良かったな。俺がやるから、なっ?」
「「「どうぞどうぞ。」」」
「お前ら……。」
「それはさておき、問題は夜営中の見張りよ。」
さて置かれてしまった。
「何があるんや?」
「上級生に聞いた話では教師が襲撃に来るらしいんです。その結果によっては補習でもう一週訓練が増えるとか。」
「試験休み返上にしても、迷宮デビューが遅れるにしてもやりたくは無いな。」
「同感ね。何より暑い夏に移動訓練して、風呂なし野宿が増えるのは色んな意味で辛いわ。」




