■高校1年 6月 閑話:姫宮静華 独白
私は自分に自信が持てません。
元々自信家とは縁遠かったけれど、学校では苛められ親からも詰られておどおど暮らすのが常でした。
ある時、事件が起きて、私は重症を負い、両親は居なくなりました。
去年の夏に入院した病院の院長先生に勧められて、病院から学園のオンライン入試を受けました。
今思えば学園のスポンサーの一人だったのかも知れません。
面接での「現代医療では回復不能な部分も治せる」と言う言葉に私は縋りました。
そのまま学園の病院に移されます。
伊勢崎先生が毎日何度も『回復魔法』をかけて下腹部の痛みも、動かなかった両足も治してくれたのです。
寝たきりで萎えてしまった身体のリハビリに励んで、走れるまでに回復しました。
それで今年の春に入学できる事になったのです。
◇◇◇◇◇
館林君と最初に出会ったのは、入学式でした。
迷宮の存在や化物と戦わされることにみんな驚いていたのに、物怖じせずに校長に質問をする姿に私は惹かれました。
普段は寡黙で、杉戸君と話している時だけは表情を崩して笑う。
私も一緒に話して笑ってもらえる存在になれるのでしょうか?
ただ杉戸君が入学式の後の自己紹介で見せた感じにはちょっと……。
同じ入学式で質問をした男子でも杉戸くんではなく館林君だったのは、あれが原因でしょう。
きっとそうに違いないです。
◇◇◇◇◇
学生証を渡されてからは、身体が軽くて怖いものが無い気分でした。
私の場合は50m10秒超えるくらいの早さだったのが、100m9秒台になりました。
世界が変わるよね。
みんな同じように身体強化されたので、運動の順位は下から数えた方が早いってのは変わらなかったけれど。
◇◇◇◇◇
茂子ちゃんと出会ったのは入学式の翌日です。
図書室を探して迷っていたのを案内したことで友達になりました。
図書室は入学前から良く通ってます。
リハビリついでに夜間見回りにも同行したりして2ヶ月歩き回ったので、学園内の道案内には自信もあります。
本の嗜好は違ったけれど、今は寮も隣の部屋で仲良くやってます。
◇◇◇◇◇
戦闘術での館林君も凄かったです。
棍棒を選んだ人はごく少数でした。人気武器に流されずに振り続けているのは舘林君なりの考えがあるようです。
噂では館林君が毎朝走って素振りもしてるとか。
早起きしたら見られるかな?
その一方で舘林君は魔法があまり得意ではないようです。
『応急手当』を覚えたのは割りと早かったものの、属性魔法は難航してるみたい。
特に『回復魔法』は伊勢崎先生の『特別授業』を受けているのに、中々成果が出ないようです。
でもきっと地道に努力して何とかしてしまう気がします。
戦闘術が苦手で魔法が得意な私とは真逆です。
私と茂子ちゃんは杖を選んで使っているところもほぼ同じ。
ただ茂子ちゃんは私より体力は無いものの、私より魔法が上手です。
それと攻撃魔法特化で回復魔法も含めて光属性の適正が無い事を教えてくれました。
私が慰めようとすると……
「いいのよ。静華は『ヒール』や『造水』が使える。私は静華が使えない強力な攻撃魔法が使えるわ。」
……と逆に窘められました。
私が『ヒール』を早く覚えられたのは、努力の結果では無くたまたまです。
きっと学園の病院に移されて伊勢崎先生の回復魔法を何度も受けていたから。
伊勢崎先生の『特別授業』と似たような形で、感覚を覚えたに違いないです。
でもそのおかげで、舘林君から「俺達は武器振り回すしか能がないけれど、パーティ組んでくれるとありがたいな。」って言われたんですよ?
冗談かと思っていたら、杉戸君が言うにはどうやら本気らしいです。
残念ながら迷宮探索で寝食を共にしたり、そのまま恋人になる可能性が高いと言う部分までは考えて無かったみたい。
でもそう言うところもまた可愛いんです。




