■高校1年 6月第1週 『光回復魔法(ヒール)』への道
6月に入り、梅雨の季節になった。
クラス内の雰囲気が少し変わってきた。慣れてきてぼつぼつではあるが、グループが出来ている。
俺は喜久彦とつるんでる時が一番多かったが、食堂の一件以来姫宮さんや茂子さんとも一緒に話すようになっていた。
◇◇◇◇◇
魔法の方は水・力魔法が安定して発動するようになった。
下級の支援魔法と攻撃魔法だけだが、何とか実戦で使えるだろう。
しかし光と闇は相変わらず不安定で、『ヒール』も進展なし。
そして追い討ちをかけるように優ちゃん先生の『特別授業』は今月あと2回で終了と告げられた。
「んー。今月末は野営訓練をやるからできないのよ。7月に入れば土日はキミ達がダンジョンに入るから、迷宮0階の治療室に詰めてないといけないからね。」
「夏休み中の平日も駄目ですか?」
「たぶん出張と研修、それと休暇の消化で潰れるかな? 普段はほとんど休みなしで働いてるからね。」
「そんな……。」
「『特別授業』はあと2回だけど、通常授業の『魔法学』は継続するからね。
ただキミはそろそろ回復は薬やパーティーメンバーに任せて、攻撃に集中する事も視野に入れたほうが良いわね。」
◇◇◇◇◇
「……。」
「そう気にするなって。『応急手当』だって軽傷治療と血止めはできるんやろ。」
「……でも、同じ一年で『ヒール』使える奴もいる。」
確か姫宮さんもその一人だ。
『応急手当』に比べると『ヒール』の方が回復速度やMP効率が段違いに高性能だ。
また『ヒール』でなければ骨折や内臓損傷と言った深い傷は治せない。
逆に言えば、大量出血や欠損でなければ何でも『ヒール』で治せる。
「優ちゃん先生も『妬むな焦るな苛立つな』って言ってたろ。」
「ああ。」
「それに『ヒール』使える奴でお前ほど動ける奴がおるか?」
「いない、と思う」
自惚れるつもりはないが、戦闘術や身体能力では上位のはずだ。
「『ヒール』使える奴だって、姫宮ちゃんみたいにお前の物理戦闘力を羨ましがってる奴はきっとおるで。」
「そうか?」
「優ちゃん先生にしたって、佐野先生と比べれば物理戦闘は劣るやろ。攻撃魔法では福居の爺さんが一番なんやないか? それはもう個性で仕方ないやろ。」
「太田校長はどうなんだろうな?」
「面接で中級回復使っただけでなく、あのガタイだ。物理戦闘も結構なものだと思う。でも、奴は訓練始めて2ヶ月やない。」
「『妬むな焦るな苛立つな』か…………。」
「せや、たった2ヶ月でカンストしちまうクソゲーでもなければ、そんなチートもない。やから面白いんやろ?」
「そうだな、俺達はきっと強くなれる。」
「その勢や。やっとワイが好きなタケちゃんに戻ったな。夕飯食いに行こか。」
「悪いな、奢って貰って。」
「アホ、自分で払え。」
それを遠目で見ている二人
「気楽に話せていいなぁ……。」
「捗るわー。」




