■プロローグ
細かく直していたのですが自分でもよく解らなくなってしまいました。
Ver2.0としてリスタートです。
Ver1.0は2016年11月末で削除します。
現代+学園+ファンタジー+ダンジョン。
プロローグ以降はなかなか迷宮には入れません。
俺は魔法の炎が当たるのを無視して、踏み込んで棍棒をテニスのバックハンドで振った。
棍棒は『呪術師緑小鬼』の腹を捕らえ、くの字に曲げる。
「もろたでぇ!」
打ちごろの高さに下がった顔面に木大剣のフルスイングがジャストミート!
『呪術師緑小鬼』は5mほど飛んで、そのまま動かなくなった。
ズゴゴゴゴッ
入口と対面の扉が岩を擦る音を立てて開きはじめた。
これは『呪術師緑小鬼』――迷宮3層のボスが、間違いなく息絶えた合図だ。
「おつかれ。」
俺は緊張を解いて仲間に声をかけた。
「おっつー。」
「おつかれさま。」
「おつかれさまです。」
他の仲間も構えを解いて返してくれる。
「これで4層『安全地帯』まで2回目の踏破や。
負傷も減って安定、迷宮にも慣れてきた感じやな。」
狐目の男と俺はハイタッチを交わした。
「慣れてきたなら顔への攻撃は止めて欲しいわ。
仮面割れてるし、あれでは素材が台無しよ。」
ジト目で背の低い少女が指差した先には、3層ボスの死体がある。
最後の一撃で仮面ごと顔面粉砕してしまい、素材として回収できる仮面・瘤・牙は駄目になっていた。
「まぁまぁ、勝てたのだからいいじゃないですかー。
それより魔法が当ったのは平気ですか? 回復しますよ?」
垂れ目気味の少女が俺に近づいてきて心配そうに見上げた。
「ああ、頼むよ。」
「行きますよー。……『ヒール!』」
炎の魔法攻撃を受けた服には焦げ一つないが、中は少し火傷をしていた。
少女の右手に黄緑色の光が灯る。
そのまま服の上から触れて、火傷の痛みをじんわりとした暖かさに変えてゆく。
「はいっ。これで大丈夫です。」
「ありがとな。
それじゃ迷宮に消化されちまう前に素材回収して帰ろうか?」
◇◇◇◇◇
部屋の四方は石作りの壁。
壁に飾られた燃え尽きることの無い松明が部屋を煌々と照らす。
北と南には出口と入口の観音開きの扉が2つ。
石畳の床には、紫の血だまりとその持ち主だった『緑小鬼』がいくつも横たわる。
立っているのは木大剣持ちの少年が1人、木の杖を持った少女が2人、棍棒を持った俺。
全員が黒尽くめのジャージにスニーカー。
これが俺達『迷宮クラス』のいつもの週末である。
そんな少し歪な日常の物語を始めよう。