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俺と田中の実験教室  作者: くもいひも
1/1

俺と田中の実験教室


ジーワジーワと蝉の声。

放課後。


理科実験室が俺達の秘密の教室だ!




ガラガラと教室の扉を開け入ってくる眼鏡男子。田中だ!


「今日は、何をするんだ!?田中!」

俺は興奮を隠しきれずに叫んだ!


クールボーイの田中は、眼鏡をクイッと上げ

にやり。と口角を上げる。



なんだ!なにが始まるんだ!!!



「まず」

田中が喋った!


「そこのビーカーに水を汲んでくれないか」

田中からの指令だ!



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

台の上にあったビーカーを思いっきり掴む!掴んだぞ!



距離にして1メートルもない流し台へ全力ダッシュだ!!


「ううううおおおおああああ!!!!!!」


キュキュキュキュ!急加速急停止に唸る上履き!

思いっきりひねった蛇口からは大量の、大量の水だ!!

すかさず、ビーカーを突っ込む!

「んががっが!がぼgqぼgqぼ!」

勢いに跳ねる水!勢いそのままに飛び散る水が顔面と制服を襲う!ずぶ濡れだ!


「んががごぼごぼgぼ!!!」

おおっと、ノンビリなんてしてられない!田中!田中が待ってるんだ!


このまま全力で田中の所まで!!



キュキュキュキュ!!!さらに唸りを上げる上履き!が!!


濡れた床に足をとられた!

もつれる足!

そのまま前のめりに転倒!!強打!!手にはビーカー




ない!




キョロキョロと探すと。あった!ビーカーあった!


田中の頭の上にあった!

田中もずぶ濡れだ!!




眼鏡をとり、上着の内ポケットからハンカチ出す田中。

眼鏡を拭きかけ直す。ビーカーも取る。



「ちょっと急ぎすぎたな。次はもつれないように床の水に注意だ」


クールだ!田中!




そんな田中は俺が汲んだ水を前に何かの袋を破っている。


そしておもむろに鞄に手をつっこみ出てきたのは

透明な容器!中には綺麗な石みたいなものが詰まってる!

「なんだ、それなんだ田中!!!」


聞かれた田中は眼鏡をクイッと上げながら

「こんぺいとうさ」

クールボーイ!田中!



その後なんかいろいろして水飴を作ってくれた!

うまい!

うまい!



にっちゃにっち食べてると日が随分と落ちてきてるのに気づいた。


ふと


田中が俺の目の前に手の平を向けていた。

「そうか、もうそんな時間か!」


「そんな時間だ」

微笑みながら答えてくれる田中!いいやつだ!


「じゃあ、またな!」

「ああ、またな。」




● ● ●





放課後の教室、ずぶ濡れの床。台の上には俺の作った水飴。こんぺいとう。


「またな…」

そう呟いた俺の手元には、すっかり溶けてしまって消えた蝋燭。お香。




コトコト。と音がした気がして、あいつが座っていた場所を見ると。

俺の置いたあいつの位牌がニッコリと微笑んでくれた様に見えた。

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