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置き去り  作者: 大和香織子
第一章 京崎奈々
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京崎奈々1

___宋崎中学校に通う女子生徒が校舎から転落死した___


京崎 奈々(きょうさき なな)


 妹さんの事を悪く言うようで申し訳ないのですが……まず先に断りを言っておきます。しかし、それは真実であり、これを話さないと真実は見えてこないのです。

 中学生の頃、秋保が中心となっているノートを放課後見てしまいました。そのノートが一体なんなのか、そしてその存在すら最初は知りませんでした。

 掃除当番をしていた時に、黒板の前の小さな机の上にその一冊は置いてありました。


 特に何も考えずに、中身を開きました。

 そこには「もうけ」とか「あらい」とか「あか」とか言う言葉と共に沢山の悪口が並べられていました。

 すぐには自分の事が書かれているとは思いませんでした。しかし、読み進めるうちに、これは明らかに私の事を書いているという事が分かりました。


 持っている筆入れの特徴など、私の持っているそのものでしたし、それに「もうけ」は今日も8じ5分ピッタリにやってきた等と、私の行動が一々観察記録の様にして書いてありましたので。

 それを見つけてすぐに、紀子と優に伝えに行きました。私達3人は教室のドアをしっかりと締めてから、誰もいないのを確認してからコソコソとそのノートを次々と捲っていきました。

 そこには、悪口だけしかなく紀子も優も読みながら、怒っていました。確か「あらい」は紀子で「アカ」は優だったと思います。

 それを読んでしまった私たちは、その後秋保の所属するグループが嫌いになりました。秋保だけでなくそこに所属する全員をです。

 そんなに私の事が嫌なら、陰でこっそり言っていないで、私に直接言ってくれればいいのに。

 だってそうじゃないですか?陰でしか言えないって事は、口に出して直接、責めれない範囲での事だからですよね?

 思い返せば、秋保は今までとても陰険な子でした。同じ吹奏楽部なのですが、その中でも秋保は何故か派閥を作りたがるのです。

 同級生内でそんな派閥とか必要ないですよね?だって指導するのは先輩か先生なのですから。

 秋保は確かに吹奏楽部で真面目でしたし、フルートを吹くのも上手く先生のお気に入りではありましたが、だからと言って秋保が威張れるということではありません。

 しかし、秋保は「権力」というその言葉が好きでした。


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