庭でペットを飼っている男の話
男は悩んでいた。
一体、この目の前の死体をどう処理しようかと。
彼女を殺したのは、つい5分くらい前のことである。
気が付くと、家にあった包丁で首を切っていた。
さっき、少し体がビクッと反ったが、死後硬直だろうか。
様々な思い出が走馬灯の様に蘇ってくる。私が死ぬわけではないのに。
朝、寝ぼけた私を無理矢理起こしてくれた。
私の作った料理も美味しそうに食べてくれた。
「おいしい」と言った私の、食べている顔を覗きこんでは、嬉しそうに頷いていた。
-君を殺したのを少しは後悔しているんだ。
後で気付いたよ。
君は子供ができていたんだね。
私は君のみならず、その子供まで殺してしまったー
ああ、思いついた。
たしか昨日、お隣さんが実家から届いたとか言って三つ葉をくれたんだった。
親子丼にしよう。
やはり、丼ものは親子丼が一番美味しいな。
何日かたった後の新聞にその男の顔が出ていた。
「妻と子殺し食べた凶悪犯逮捕」