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プロローグ

 「人は一生の間に三回はゴキブリを食べている」とネット上で見たことがある。あと、「紙コップタイプの自動販売機の中はゴキブリだらけ」とか、「ゴキブリの雌を殺すと卵をあり得ないぐらいばら撒く」なんてのもある。

 なんでこんな気持悪いことを考えているのかというと今まさに目の前にゴキブリがいるからである。

 時計は午前1時を指しており、時折リビングの方から冷蔵庫の唸り声が聞こえてくる。

「悪いがここで死んでもらう。」

と呟きながら僕──氏本桐家(うじもときりや)──は、野球部で培った健脚を活かし静かに、かつ大胆にターゲットに迫る。右手に握りしめているのはサバイバルナイフ。そして床に落ちている髪の毛を貪るこいつを葬り去るべく右手を振り下ろし──。

 「……?」

可怪しい。いやむしろ可笑しい。なぜなら、今確かに胴体を分断したはずのナイフが綺麗さっぱり無くなっていたからだ。

 今振りかぶった時にうっかり手が滑って投げてしまったのだろう。そう思って周りを見渡そうと目を手元から前に向けると、そこにはゴキブリがいた。いやさっきまでもゴキブリは居たのだが今目の前に居るのは、軽トラック程の大きさのそれであった。

(これは何だ?)

 と、一瞬思考した、否してしまったのも無理はないだろう。だがしかしこの時何も考えないですぐさま逃げていれば万に一つ、助かったのかも知れない。

 そのゴキブリが緩慢な動作で口を開けるとひょいと、まるでさっきまでしていたように──髪の毛を食べるのと同じように、僕を食べた。

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