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極熱超人マグマオーシャン 第39話 窮地!マグマオーシャンの冬休み!!

作者: まーぼぅ









---極熱超人 マグマオーシャン---







  提  供  


ジャンポニカ学修帳

チュウワノート







畔神優斗は改造人間である。

彼は自身の正義の魂や日ごろの不満、バファリンの優しさじゃないもう半分とかを燃やすことによりマグマオーシャンへと変身し、悪の組織「ダーク☆まぼ」と戦い続けているのであった!

前回、「第38話 残酷!死のウイルス!!」の回において怪人・入院伯爵のばら撒いたウイルスにより肺に穴が開いた優斗青年は、アガサ博士に頼み込み、見事「改マグマオーシャン」へと進化を遂げた!

ぶっちゃけ改マグマオーシャンよりもマグマヲーシャンとかにしたほうが新世紀っぽいネーミングだよねというアガサ博士の言葉を軽くスルーしつつも、彼の戦いは続くのであった・・・!!




第39話 窮地!マグマオーシャンの冬休み!!




退屈だ。というのが畔神優斗の本音だった。

改マグマオーシャンへパワーアップして撃破した入院伯爵以降、町に悪人が現れることも無く、彼の正義の味方としての活動はここ2週間ほど皆無だった。

平和であることに不満は無い。不満はないのだが。

「いかんせんヒマすぎるというのも考え物だ・・・」

哀れすべきことの無い正義の味方のすることといえば、コタツにもぐりこんで横になりながらテレビを観ることくらいであった。

冬休みスペシャル!と題されて放送されている人気ドラマの再放送を見ていると、家のチャイムが鳴り響いた。

「お歳暮かな?」

そうだきっとお歳暮に違いない。誰からのお歳暮だろうか。

判子の用意をして玄関のドアを開けると、そこには血相を変えたクラスメイトの姿があった。

「あ、畔神くん!大変なんだ!!」

「どうしたんだいマボウ。そんなに血相を変えて」

マボウと呼ばれたガタイのいい青年は、走ってきた為だろう、荒れた呼吸を整えながら言った。

「実はそこの銀行に、強盗が入って、人質が・・・!!」

「な、なんだってっ!?」

強盗、ここから近い銀行といえばきっと幸北銀行にちがいない。

やっと到来したヒーローとしての見せ場に思わず彼の心は奮い立つ。

「よし!すぐに行こう!!」

そういうと優斗はドアを閉め、部屋に戻り、スウェットの上下を脱いで服を選び、ホッカイロを用意し、防寒のため靴下を二枚履き、マフラーを巻いてコートを羽織って部屋を出た。

「よし!すぐに行こう!!」

先程と同じセリフをマボウに言った時には、ドアを閉めてからすでに10分が経過していた。




PM 2:47 幸北銀行前

銀行につくと、既に周囲は警察と野次馬でごった返していた。

「うわぁ・・・ここまで来るとなんかのお祭みたいだな!」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

カイロを振りながら言う優斗と突っ込むマボウ。

いつもはボケキャラのはずのマボウのこのギャップが妙だ、などと優斗は考えていた。

背伸びしてよく見れば、警察の包囲線のむこうがわ、銀行の入り口付近で一人の男がナイフを女性の首筋に押し当てていた。

「オラァ!金だ!金と飯をもってこい!」

強盗らしいベタベタなセリフを吐き散らすその男は、どこか優斗の学校の担任に似ている気もした。

女性を人質に取られているためか、警察もうかつに手出しは出来ないようで、均衡状態が続いていた。

「畔神くん・・・!このままじゃあ!」

「わかってるさ」

このとき、優斗の意識からは既に人気ドラマの再放送も、何故か持ってきてしまった判子の存在もはじき出されていた。

そう、現場にTV局の取材班が来ていたのである。

再放送のことなど気になろうか。判子と朱肉など気になろうか。

彼の頭では「どうすればかっこよく写りにいけるか?」という考えのみが高速でうごめいていた。

彼が変身ヒーローである、ということは特に秘匿されていない。

むしろ彼を改造したアガサ博士はガンガン他人に教えろなどと言っていた。

その分博士の名前が売れ、顧客が増え、ギャランティが多く発生するとも力説していたが、それは今はどうでもいいことだ。

ここで重要なのはいかに優斗がヒーローらしく立ち回るか、ということだ。

数分の作戦会議の後、ここはベタに上空からいこう、と決めた。




「オラァ!金と飯だ!ジャンクフードはゆるさねえぞコラァ!!身体に悪いからなぁ!長生きしたいからなぁ!!」

「イヤアァ!助けて公安の方々!助けてぇー!」

いまだに怒鳴り続ける強盗。そのナイフが今にも首を切り裂かんとばかりに、悲鳴を上げる女性の首に押し付けられている。

警察も成すすべなく、ただ交渉材料として手作り弁当を用意していた。

誰もが国家権力警察の権威暴落を予感した。その時である。

「待て!悪党ッ!!」

あたり一体に響き渡る大声。その場に居た野次馬、警察、テレビ取材班、そして人質と犯人までもが声のした方向を見た。

銀行と道路を挟んだ向かい側にそびえ立つビル。その屋上に彼は居た。

「な、何者だ!?」

よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに優斗は天を指差した。

「天が呼んだか知らないが!悪をくじくが俺の性!!」

冬の風にはためくマフラー。なびくコート。

「正義の炎がマグマと燃える!悪を燃やせと天を突く!!」

色々なところから拝借してきたような名乗りを区切り、優斗は眼下の通りを見た。

優斗は銀行前の人間達の視線が自分に集中したことを確認すると、天に向かって高らかに叫んだ。


「変 身 ッ ! !」


瞬間、彼の周囲を取り巻く大気がぐにゃりと歪む。

さっきまで着ていたコートや衣服が分子レベルまで分解され、戦闘用のスーツが装着される。

さらにショルダーガード、腹巻、モモヒキ、軍手も戦闘用のスーツの下に織り込まれた。

背中にはロケットパック、足には超高速移動トランスミッター、左腕にはドリル、右腕には博士のお古のアナログ時計が装着される。

そして顔を覆うフルフェイスのヘルメットが装着され、変身が完了した。

「改!マグマッ・・・オーシャンッ!!!」

変身完了の名乗りを上げる優斗。

変身の全プロセスが完了するまでにかかる所要時間はたったの2秒ほどである。

「さぁ行くぞ悪党!!」

とぉっ!と、ビルから飛び降りる優斗。

5階建てのビルの屋上から飛び降りる姿に眼を奪われる一同。

改造によって強化された骨格によって地面に華麗に着地したはずの優斗はしかし、ぐきりと足首を激しく捻挫した。

「ぐああぁぁぁぁぁあああ!!!」

登場しただけのヒーローの絶叫が通りにこだまする。

警官の半分以上と犯人、人質ですらなんなんだコイツはという目つきで優斗を見つめていた。あぁ、これだから骨の細い人間は危ないのだ・・・!!

もう(ヒーローとして)ダメかと思われたその瞬間・・・!!

「諦めるな!マグマオーシャン!!」

大声とともに通りに走りこんでくる一台のタクシー。

停車し、料金払いを済ませた後に、その男は立っていた。

「な、中野・・・!!来てくれたのか!」

「あぁ!タクシーがなかなか捕まらなくて時間を食ったがな!」

全身もじもじ君のような赤いタイツのその男。中野・サンプラザは、鋭い眼光で強盗をにらみつけた。

「お前がマグマオーシャンをっ・・・・・・!!」

「いや、違」

「ごたくはいい!!!」

理不尽極まりない理由で恨まれても、と泣きそうな顔の強盗と、それを睨み続ける中野。

これではもはやどちらが悪役かわからない状況になってしまった。

「ちくしょう!こうなったら、こうなったらこの女もろとも道連れに―――!!」

振りあがるナイフ。それが人質の女性に突き立てられようとした瞬間!

ガァ―――ンと漫画の効果音のような音がして、男のナイフが弾き飛ばされた。

「何!?」

何かが飛んできたのだと察した強盗は、思わず視線をそちらにうつす。

そこに立っていたのはまさに三人目のヒーロー、

「てめぇ人のシマでなにさらしトンじゃコラァ!!」

松屋のバイト店員兼極道の毒島龍司。愛称りゅーいであった。

りゅーいの右手には愛用のチャカが握られており、どうやら強盗のナイフを弾いたのはそれのようだった。

「いまだ!かかれー!」

犯人が凶器を手放したと知るや、一気に捕縛する警官たち。

こうして見事犯人は逮捕され、この日の一騒ぎは幕を閉じることとなった。




強盗と一緒に銃刀法違反でりゅーいが逮捕された後の銀行前通り。

優斗と中野は勝利の祝杯を小岩井ミルクコーヒーで挙げていた。

「いやしかし、今回は助かったぜ」

「ふっ、これくらいどうということはないさ。もっと頼ってくれた方が俺は楽しいくらいだ」

ちなみに今日実質働いたのはりゅーいのみである。この二人は登場しただけだ。

一番努力した人間が逮捕されるとは、この世もなかなかに世知辛いものである。

「・・・今日はなんとか勝つことが出来たが、これからの敵はきっともっと強力になっているに違いない」

「あぁ、だから正義の味方である俺たちが協力しあわなくてはならないんだ」

「手伝って、くれるのか・・・?中野?」

「当たり前だ。今日だってその為に来たんだ。・・・一緒に悪と戦おう」

そう言って夕陽をバックに硬い握手を交わす二人。

もはやこの二人に敵は居ないようにすら思える。

しかし、優斗はこのとき気づいていなかった。否、忘れていたのだ。

マボウが、いつの間にか姿を消していることに・・・・・・。




PM 4:59 幸北町駅ビル3F  暗黒世界巫女服化組織 「ダーク☆まぼ」 本拠地

「ククク・・・マグマオーシャンのヤツ、足を痛めたようだな・・・」

闇に包まれた部屋で、革張りのソファに腰掛けワイングラスの中の液体を回しながら男は呟いた。

「暗黒王様。改マグマオーシャンと中野・サンプラザの始末は是非このザレゴトめにお任せを。必ずや奴らの息の根を止めて見せましょう」

ソファに座る男に仰々しく頭をたれるザレゴトという男。耳に何のつもりか一本の釘が刺さっているのが特徴的であった。

「いえ、彼奴らめを仕留める役目はこのゲンゴにお任せあれ。奴らを地獄の苦しみへ叩き落してやりましょうぞ」

ザレゴトの隣に居た大男、ゲンゴがソファの男に向かって言った。

男はフム、と考えた後、

「わかった。行くがよいゲンゴ。お前の授業中安眠光線で奴らを始末してくるがよい」

と、大男に命令を下した。

命令を受けたゲンゴはすぐさま踵を返し、自分の自転車の鍵を持って駅ビルを後にした。

「暗黒王様。何故私でなくゲンゴを尖兵として送り込んだのですか?」

少し傷ついたようなザレゴトの言葉に男・・・暗黒王・まーぼーは笑いながら答えた。

「フフフ・・・いや・・・別に意味はありませんが・・・何か・・・・・・?」

外は曇り模様。季節は冬。テレビでは人気ドラマの再放送が一挙放送されていた。

阿部○の演ずる大学教授が「どんと来い!」と叫んでいるのを見ながら、暗黒の王はそっとほくそ笑むのであった・・・。





つづく





次  回  予  告  

いつの間にか姿を消したマボウと、遂に現れる悪の組織「ダーク☆まぼ」の首領、「きんぐまーぼ」

マボウと瓜二つなのは気のせいだと自分に言い聞かせ戦う改マグマオーシャンだったが・・・!?

また、アガサ博士の長年の研究成果が遂に・・・!!

次回、極熱超人 マグマオーシャン!

第40話 無念!アガサ博士暁に死す!!

まだ見ぬ未来へ、ゲットザフューチャー!!




  提  供  


ミキ・プル―――ン

オラオラちゃんランドセル






極熱超人 マグマオーシャン

            またみてね









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