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第7話*大好きなんだ
2人一緒に入ると、生徒から「うわー、何このテキスト」「厚くね?」などと声が聞こえた。
未だに慣れないこのクラス。
よくこんなにも溶け込んでるよね…
美穂は思った。
テキストを全て教卓に乗せ、美穂は席に戻る。
戻ると先生と目が合った。
先生は少し笑顔を見せた。
授業中は先生から目が離せなかった。
後ろを向いて黒板に書く先生。
「ここを──」
そう言って座席表を手に取る先生。
そんな先生と、目が合った。
「じゃあここ、美穂!」
その言葉だけが嬉しくて
ついつい笑顔になる自分がいた。
「はい」
そう言って答えると、先生は「よし、合ってるぞ」と言って笑顔を見せた。
今日、何回も見た笑顔。
何度見ても、それは誰よりも輝いていて。
────ああ、私、先生のことが好きなんだね────。
そう美穂は思った。
結ばれるはずのない恋。
許させるはずのない恋。
一方的な恋。
わかっていたけれども、それでも、大好きなんだ───と。