表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先生と、私。  作者: Cheryl
5/29

第5話*名前で呼んでほしいなんて





ある日、美穂は先生に呼ばれた。


「あー、えっと、ちょっと。」


「はい」


1ヶ月は経ったものの、担任でもなければ副担任でもない先生は、もちろん他のクラスの生徒の名前なんて覚えていない。しかも修平先生は、隣のクラスの副担任なのだ。


「えっと、中村。8組だよな?」


その日は偶然学校ジャージを着ていたため、左胸に名前が付いていた。


それを見たのであろう、修平先生は、“中村”と言った。


「はい、そうです。」


美穂は答えた。“名前で呼んでほしい”なんて思った自分に、『馬鹿じゃないの』と言い聞かせながら。


「次8組、日本史だろ?新しいテキスト──っていうか、ワーク届いたんだよ。これから持って行くの大変だから、手伝ってくれないか?」


「は、はい、わかりました。」


美穂はそんなこと言われると思っていなかったため、驚いた。


「そうか、ありがとう。これからちょっと進路室寄ってくるから、先に職員室の前に行っててくれ。すぐ行くから。」


「はい。」


表に出さないように、冷静を装って。


そう考えても、ちっとも頭は言うことをきかない。



“なんで、私だったの?”


“たくさん生徒はいるのに”



そう思って、ドキドキして。先生の顔を思い浮かべて。


職員室の前に来たが、これから先生が来ると思うと、どんな顔すれば良いのかわからなくなって。


色々考えていたら、すぐに先生がやってきた。準備すら出来てなかったのに。


「ごめんな、中村。待った?」


初めて先生が、ネームを見ないで自分の名前を呼んでくれた瞬間だった。


「いえ、全然待ってないです。今来たばっかりですから。」


「そっか、それなら良かった。」


先生は笑顔を浮かべて、「じゃ、ちょっとこっちまで入ってきて」と美穂を招いた。


その笑顔は反則でしょ。


そう美穂は思い、先生の後について行った。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ