表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『鳴かず飛ばずのピン芸人、異世界で「なんでやねん!」と言ったら魔王軍が半壊した件 ~切れ味鋭いツッコミは、もはや因果律崩壊の即死魔法でした~』  作者: セルライト
第1章:お笑い地獄から、物理地獄へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/21

第6話:深夜の女子会はボケの博覧会か! ~残業ゴブリンと騎士のMっ気~

 深夜の森。

 アキラ一行が野営をしていると、暗闇から「カチッ、カチッ」と不気味な音が響いてきた。


「……何や。今度は何の音や」


 アキラが身構えると、現れたのはボロボロのスーツを着た一匹のゴブリンだった。

 昨夜壊滅した「営業二課」の唯一の生き残り――係長だ。

 彼は焚き火の明かりの中に現れると、懐からおもむろに**「ノートパソコン(石盤)」**を取り出し、アキラの前で膝をついた。


「キキッ……。勇者様……。申し訳ありませんが、急ぎの案件が……。

 こちら、明日の朝イチまでに確認をお願いします……」


「…………判子押すかぁぁぁ!!!」


 アキラの右手が、深夜の森を青白く照らす。


「お前、仲間全滅したんやろ!? なんで一人で『休日出勤』しとんねん!

 その石盤の画面、ヒビ入って何も見えへんやろが!

 『朝イチまでに』って、俺らはお前のクライアントか!

 殺し合う相手に納期を守らせるな!

 お前が一番に確認すべきは、自分の寿命やろがい!!!」


 ドガァァァァン!


 アキラの深夜ツッコミにより、係長ゴブリンは「納期」という概念ごと爆散した。

 後に残ったのは、なぜか「領収書(木の葉)」の山だけだった。


「……はぁ。深夜まで働かされて、最後はツッコまれて爆発……。

 魔王軍の福利厚生、どうなっとんねん」


 アキラは溜息をつき、焚き火の方を振り返った。

 だが、そこにはゴブリン以上の地獄が待っていた。


「アキラ様、お疲れ様! 係長さんへの素敵なツッコミ、痺れたわ!」


 聖女エルナは、相変わらずタコを愛でていた。

 だが、今日のタコは……なぜか**「ビジネスネクタイ」**を頭に巻いていた。


「……エルナ。そのタコ、宴会部長か?

 さっきのゴブリンの遺品か?

 なんでタコの頭にネクタイ巻いて『お疲れ様です!』みたいなポーズさせてんねん!

 吸盤でネクタイ固定すな! 生臭い上司か!!!」


「あら、アキラ様。これはタコちゃんの『労い(ねぎらい)』よ。

 見て、この八本の足でネクタイを締め上げる……これぞ社会の荒波に揉まれる戦士の姿よ。

 ああ、吸盤が私の頬に吸い付いて……これが『癒やしの接待』ね……っ!」


「それは単なる捕食や! 接待で相手を食おうとする奴がおるか!


 アキラは、悦に浸る聖女から目を逸らし、隣に座る重騎士ルビィを見た。

 彼女は、鎧を脱ぎ捨て、薄いアンダーウェア一枚で正座していた。

 その手には、自らを縛るための「事務用のシュレッダー(手動式)」を握りしめている。


「……ルビィ。お前、今度は何や。なんで深夜にシュレッダー回しとんねん」


「…………っ、はぁ、はぁ……。アキラ殿。

 私は……騎士としての機密文書(ルビィの恥ずかしい日記)を、自らの手で粉砕しているのだ……。

 だが、見てくれ。このシュレッダー、噛み合わせが悪くて、なかなか裁断できない。

 ああ……! この『仕事が進まないもどかしさ』……!

 さあ、アキラ殿! この無能な私に、もっと鋭い『進捗確認』という名の罵倒を浴びせてくれ!」


「……ドMの残業申請すな!!!

 自分の日記をシュレッダーにかけるのは勝手やけど、なんでそんなに嬉しそうなんや!

 『お前の仕事は遅いんだよ!』って言ってほしいんか!?

 お前、騎士団にいた頃、わざと報告書遅らせて説教待機してただろ!!!」



 ズガガガガァァァン!!!



 アキラの全力の進捗確認ツッコミが、ルビィの精神を直撃した。

 物理的な衝撃波で、シュレッダーは粉々になり、ルビィは地面を転がる。


「くっ……あぁぁぁ……! 今の……今の『報告書遅らせてただろ』という図星……最高だ……!

 アキラ殿の言葉が、私のサボり癖(M心)を直接抉えぐっている……!

 もっと……もっと私の『給料泥棒』っぷりを暴いて、ボロボロにしてくれ!!」


「立ち上がってくるな! その顔で近寄るな!

 お前、騎士の誇りはどこに捨ててきたんや!

 その格好のまま、さっきのゴブリンの会社に履歴書送ったろか!

 『窓際族のドM騎士』として第二の人生歩め!!!」


「あああっ、窓際族……! なんという甘美な響き……っ!」


 ルビィは、もはや恍惚の表情で地面をのたうち回っている。

 アキラは、もはやツッコむ体力さえ削り取られていた。


「……もう、嫌や。俺、なんでこんな変態二人に囲まれて旅してんねん。

 魔王倒す前に、俺の精神が労災認定されるわ」


 アキラは、満天の星空を見上げながら、深い、深い溜息をついた。

 世界を救う旅は、今夜もボケの爆発音と共に更けていく。

【アキラの現在の状況】

• HP:80(精神的過労死寸前)

• MP:0

• スキル:【真実の弾劾ツッコミLv.6】

• 現在の被害:ゴブリン係長(爆散)、ルビィのシュレッダー(全壊)、アキラのテント(未だに再建できず)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ