第4話:王様の椅子が豪華すぎて、お尻の居心地が悪そうやねん!
オークの群れを(物理的なツッコミで)消滅させ、前後逆の騎士ルビィを仲間に加えたアキラ一行は、一度態勢を整えるために王都『グラン・ギニョール』へと戻ってきた。
巨大な城門をくぐり、石畳のメインストリートを歩く。
「……なぁ、エルナ。さっきから気になってたんやけど」
アキラは、周囲の視線を浴びながら小声で尋ねた。
「この街の建物、なんで全部『三角形』なん? 屋根だけじゃなくて、壁も窓も、下手したらドアまでおにぎり型やんけ。住みにくそうやな!」
「あら、アキラ様。これはこの国の伝統よ。『角が多いほど魔除けになる』という教えがあるの」
「魔除けの前に、家具が置けへんやろ! 四角いタンス置いたらデッドスペースだらけやぞ! 効率の悪い風水か!」
パキィィィン!
アキラの軽い指摘で、近くのパン屋の三角窓が粉砕された。
「ひゃあ! 窓が! 窓が割れたわ! さすがアキラ様、街歩きだけで破壊神ね!」
「破壊神言うな! 俺はただの良心的なアドバイザーや!」
一行は、そのまま王城の最深部、謁見の間へと通された。
そこには、この国を統べる国王**『ゼウス・ド・エロい三世』**が鎮座していた。
アキラは、玉座に座る王を見た瞬間、こめかみの血管がピクリと跳ねるのを感じた。
(……待て。待て待て待て。ツッコミどころの在庫一掃セールか?)
そこにいた王は、驚くほど「重装備」だった。
頭には、シャンデリアかと思うほど巨大な、宝石がジャラジャラ付いた冠。
首には、太さが鎖骨を折りそうなほどの黄金のネックレス。
そして、その玉座。
玉座の脚が、なぜか**「生きたマッチョな兵士」**四人によって支えられていた。
「よくぞ戻った、異世界の勇者よ。そして我が国の聖女エルナ、騎士ルビィよ」
王が重厚な声で語りかける。
だが、冠の重みで首がガクガクと震えており、威厳はマイナスに突き抜けていた。
「まずは、この世界の情勢を話そう。……現在、魔王軍は四つの軍勢に分かれ、この人間界をボケ……いや、侵略しようとしている」
「今、ボケって言いかけたな? 本音が漏れとるぞ」
「黙れ。魔王軍四天王は恐ろしいぞ。一人目は『死のダジャレ王』、二人目は『自爆専用魔導師』、三人目は『全裸のジェントルマン』……」
「三人目、さっき俺が爆破したわ! 露出オークやろ、あいつ!」
「なにっ!? 早くも四天王の一角を崩したというのか! さすがは我が国が召喚した勇者。褒美として、我が国の家宝を授けよう」
王が手を叩くと、奥から家臣が「伝説の剣」を持って現れた。
だが、その剣は。
持ち手の部分が**「サボテン」**でできていた。
「…………」
アキラは、黙ってサボテンの剣を見つめた。
「これは『棘棘の聖剣』。握るたびに持ち主の闘争心を煽り、痛みを力に変えるという……」
「……誰が握れるかぁぁぁ!!!」
アキラの右手が、ついに太陽のような輝きを放った。
我慢の限界。ダムが決壊した。
「おい、そこのジジイ! 王様やからって何でも許されると思うなよ!」
「な、何だと!? ジジイだと!?」
「ジジイやろが! その冠! 重すぎて首の骨鳴っとるぞ! メキメキ言うとるわ! 王としての威厳の前に、頸椎の心配しろ!
あと、そのネックレス! 鎖か! お前は鎖につながれた囚人か! 富の象徴じゃなくて、ただの重りやろがい!」
ドガァァァァン!
アキラの声の衝撃波で、王の巨大な冠が粉砕され、ただの金の粒となった。
「ひ、ひぃぃ!? 冠がぁ!」
「まだ終わってへんぞ! その玉座! なんで人間が支えとるんや! 椅子に脚を付けるという文明の利器を忘れたんか!?
下の兵士も兵士や! なんでそんなに爽やかな笑顔で椅子を支えとるねん!
『俺たちの筋肉で王を支えてる、最高だぜ!』みたいな顔すな! ブラック企業もええとこやぞ! 労働基準法、異世界に転生してこい!!!」
ズガァァァァァァァァン!!!
王の玉座を支えていた四人のマッチョが、ツッコミの余波で(なぜか感動して)どこかへ走り去り、王様は尻餅をついて床に転がった。
「さらにその剣や! サボテンて! 武器としての機能を最初から放棄しとるやろ!
敵を斬る前に、こっちの手が血まみれや!
『痛みを力に変える』? その前に破傷風で死ぬわ!
お前はこの国を滅ぼしたいんか!?
ボケのセンスが壊滅的なんじゃぁぁぁ!!!」
ドゴォォォォォォォォォォン!!!!!
アキラの最大級の「なんでやねん」が、謁見の間を直撃した。
あまりの正論の威力に、王城の天井が半分ほど吹き飛び、青空が見えた。
「……ぜ、ぜ、不敬罪じゃ! この男を、今すぐ追放せよ!!!」
王様は、ハゲ頭(冠で隠していたボロが出た)を真っ赤にして叫んだ。
「こんな口の悪い男、勇者でも何でもない! 王都から叩き出せ! 二度と門をくぐらせるな!」
「おっ、ええぞ! 望むところや! こんなボケの飽和状態の城におったら、こっちの精神が持たんわ!」
アキラは、清々しい顔で踵を返した。
「おい、エルナ、ルビィ! 行くぞ! こんな税金の無駄遣いみたいな城、こっちから願い下げや!」
「はーい、アキラ様! 追放される勇者様なんて、新しい『ネタ』っぽくて素敵!」
「アキラ殿! 追放される瞬間の貴殿の背中……あまりにも鋭いツッコミの余韻が残っていて、痺れるぞ!」
二人のヒロインも、迷わずアキラについていく。
近衛騎士たちが槍を向けるが、アキラが「その槍、先端がゴム製って、おもちゃか!」と一言ツッコむだけで、槍は粉々に砕け散り、騎士たちは戦意を喪失した。
王都の門の外。
「……さて。追放されたけど、どうするよ」
アキラは、広大な草原を見渡しながら、ポツリと言った。
「アキラ様、関係ないわ。魔王軍さえ倒せば、王様も最後には土下座して謝ってくるに決まってるもの」
「そうだな。魔王を倒せば、貴殿はこの世界の真の王……いや、真の『ツッコミ主』として君臨できるはずだ!」
ルビィが鼻息荒く剣を振る。
(ちなみに、鎧はアキラに言われて正しく着直したが、今度は『鎧が重すぎて歩けない』という新たなボケをかましている)
「……真のツッコミ主ってなんや。欲しくないわ、そんな肩書き」
アキラは溜息をついたが、その瞳には強い光が宿っていた。
「でも、決めたわ。魔王でも四天王でも、何でも連れてこい。
この世界の不条理を、俺が全部『笑い(爆発)』に変えてやる。
……さあ、次のステージへ行くぞ! どいつにツッコんでほしいねん!!」
アキラの歩き出した道には、なぜか一筋の爆発の跡が刻まれていた。
それは、彼が歩くたびに路面の凸凹にツッコんでいる証拠だった。
【アキラの現在の状況】
• HP:120(追放された解放感で上昇)
• MP:0
• スキル:【真実の弾劾Lv.4】
• 現在の称号:【王都追放の毒舌勇者】
• 現在の被害:王城の天井(消失)、伝説のサボテン剣(破砕)、王の毛髪




