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『鳴かず飛ばずのピン芸人、異世界で「なんでやねん!」と言ったら魔王軍が半壊した件 ~切れ味鋭いツッコミは、もはや因果律崩壊の即死魔法でした~』  作者: セルライト
第2章:魔法学園編

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第17話:聖女の祈りは「吸盤」と共に。アキラ、軟体動物と和解せよ!?

魔法学園を後にした一行は、次の目的地へ向かう街道の途中でキャンプを張っていた。

夕暮れ時、シズクは薪を斬り刻み(アキラの形に)、ルビィは地面に掘った穴に入って反省(という名の快楽)に耽り、ミリティは周囲3メートルの石ころを大きさ順に並べ替えている。

そんな中、アキラは一人、河原で喉を冷やしていた。


「あー……喉が痛い。さっきミリティが『空気の粒子が整列しすぎてて吸いにくい』とか言い出した時に叫びすぎたわ……」


そこへ、エルナが「ぬるり」とした足音を立てて近づいてきた。

彼女の腕には、相変わらずあのタコが抱かれている。


「アキラ様、お疲れ様。そんなに喉を酷使して……。

 私の『聖女の特別なケア』が必要じゃないかしら?」


「断る。お前のケアは、大抵の場合、事態を悪化させるからな。

 大体、そのタコをこっちに向けるな。さっきから俺の首筋を『美味しそうな徳利』みたいな目で見てるやろがい」


「失礼ね! タコちゃんは純粋に、アキラ様の声を『いい振動ね』って褒めてるだけよ。

 ほら、見て。アキラ様が喋るたびに、タコちゃんの体色が『興奮の真紅』に染まって……。

 これはもう、種族を超えた愛の共鳴レゾナンスよ!」


「茹で上がる寸前の色になっとるだけやろ!!

 あと、タコに音楽性を理解させるな!

 俺のツッコミは、軟体生物の娯楽じゃないんじゃ!!」


パキィィィン!


アキラのツッコミが、夕焼けの河原に木霊する。

エルナは満足そうに微笑むと、おもむろに聖典(中身はタコのレシピ本)を開いた。


「アキラ様、実は相談があるの。

 私、聖女として『新しい奇跡』を開発したのよ。

 名付けて……『聖なるタコの抱擁ホーリー・クラーケン・ハグ』!!」


「嫌な予感しかせぇへんわ!! 名前の中に絶望が詰まっとるやろがい!!」


「いいえ、これは究極の癒やしよ。

 聖光で強化されたタコが、対象の体に隙間なく吸い付くことで、

 毛穴から毒素を吸い出し、代わりに『高濃度のタウリン』を注入するの。

 さあ、アキラ様。シャツを脱いで。世界で最初の被験者(生贄)にしてあげる!」


「生贄って言うたな今!! 本音が漏れとるぞ!!

 あと、毛穴からタウリンを入れるな! ドリンクで飲ませろ!!

 なんで俺が、全身吸盤マークだらけの『水玉模様の勇者』にならなあかんねん!!」


エルナは聞く耳を持たず、杖を天に掲げた。

すると、どこからともなく、発光する巨大なタコの幻影が空中に現れ、アキラを包囲するように触手を伸ばしてきた。


「アキラ様、逃げないで! これは世界のバグを直すための『免疫強化』でもあるのよ!

 タコの吸盤は、この世界の論理的な隙間にピッタリ密着して、歪みを吸い取ってくれるの!

 ほら、タコちゃんの足が、アキラ様の喉仏に……『愛のネクタイ』を締めにいくわ!!」


「ネクタイじゃなくて絞殺縄やろがい!!!

 世界の隙間を吸盤で埋めるな! 世界がヌチャヌチャになるわ!!

 お前の信仰対象は、神様じゃなくて『足が八本の悪魔』なんか!!」


ドガァァァン!!


アキラの全力のツッコミが、空中の巨大タコ幻影を粉砕した。

飛び散った光の粒子が、河原の石を一瞬で「タコの形」に変えていく。


「……あ、見てアキラ様。石が全部タコになったわ。

 これぞまさに、聖女の奇跡。……明日の朝ごはんは、タコ尽くしね!」


「石を食わせようとすな!! 歯が全部折れるわ!!

 あと、お前。さっきから『世界のバグ』っていう言葉を免罪符に、

 自分の欲望タコを押し付けてきとるやろ!

 お前自身が、この世界で最大級のバグの温床やって自覚を持て!!」


エルナは、アキラの怒号を子守唄のように聞き流しながら、

足元で動く「タコ型の石」を愛おしそうに撫でた。


「ふふっ……。アキラ様ってば、照れちゃって。

 でも、気づいている? アキラ様がツッコむたびに、

 私の周りのタコたちが、少しずつ『二足歩行』の兆しを見せ始めているのを。

 アキラ様の言葉が、彼らに『進化の光』を与えているのよ……!」


「進化させるな!! 気持ち悪いわ!!

 タコが立って歩き出したら、それはもう別のホラー映画なんじゃ!!

 俺のツッコミを、生物の変異ミューテーションに使うな!!!」


アキラは、脱力して河原に座り込んだ。

聖女エルナ。彼女の純粋すぎる(狂った)信仰心は、

世界の謎を解く鍵どころか、新たな生態系を創り出そうとしていた。


「……はぁ。もうええ。エルナ、お前は一生、そのタコと喋ってろ。

 俺はミリティに、喉の洗浄を頼んでくる……」


「あら、残念。じゃあ、この『タコの吸盤で作った喉飴』は、自分で舐めるわね」


「飴に吸盤を混ぜるな!! 舌に張り付いて一生取れへんようになるやろがい!!」


アキラの叫びは、夜の帳が下りる河原に虚しく響き渡った。

聖女との個別面談は、和解どころか「人類のタコ化」という新たな懸念を生んだだけで終わったのである。

【現在のパーティ状況】

• アキラの喉: タコ幻影との闘いで、少し塩味がするようになった。

• エルナの成果: 周囲の石を80個ほどタコに変えることに成功。

• シズクの動向: 影から「アキラ様がタコにネクタイを締められるシーン」を、1秒24コマの速度でスケッチしていた。

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