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『鳴かず飛ばずのピン芸人、異世界で「なんでやねん!」と言ったら魔王軍が半壊した件 ~切れ味鋭いツッコミは、もはや因果律崩壊の即死魔法でした~』  作者: セルライト
第2章:魔法学園編

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第13話:四天王の屁理屈計算機 vs 欲望に忠実な仲間たち

魔王軍四天王・第一の刺客:詳細プロファイル

名前:理論物理学のメフィスト

二称:「定義を書き換えるデフィニション・ライター

人物像

魔王軍四天王の筆頭格であり、自称「世界のデバッグ担当」。燕尾服を完璧に着こなし、シルクハットの角度を1ミリ単位で調整する潔癖症のインテリ怪人。彼はこの世界を「神が書いた欠陥だらけのプログラム」と見なしており、自分の「新理論」で世界を上書きすることに快感を覚えている。

口癖は「計算通りだ」と「その現象にはエビデンスがない」。

性格は極めて傲慢だが、自分の数式を否定されると子供のように取り乱し、背負っている巨大な黒板に狂ったように計算式を書き殴る悪癖がある。

戦闘スタイル:論理崩壊魔法

彼が手にする「真理のチョーク」で空間に数式を書くと、その範囲内の物理法則が書き換わる。

「この空間において、火は冷たく、氷は熱いものと定義する」

と書けば、勇者の火炎魔法は相手を凍らせ、氷結魔法は自分を焼き尽くす自爆技へと変貌する。

また、彼は「勇者という存在は、私の計算上では『ただの一般市民A』である」と定義することで、アキラのステータスを強制的にレベル1まで引き下げる「存在定義の抹消」という恐ろしい奥義を持っている。

弱点

「理論を超えた理不尽なパワー」に弱い。特にアキラの「なんでやねん」という、理論の根底を根こそぎ破壊するツッコミを受けると、彼の脳内の数式がショートし、背後の黒板が物理的に大爆発を起こす。

学園都市ラピス・ラズリの象徴である「魔導時計塔」が、地響きと共にその姿を変えていく。石造りの壁が剥がれ落ち、中から現れたのは、巨大な液晶画面と一万個以上のボタンが整然と並ぶ、高さ五十メートルの「超巨大計算機」であった。


「フフフ……。野蛮な勇者アキラよ。ようやく見つけたぞ。私の完璧な演算を邪魔した罪、その命で購ってもらおうか」

時計塔の頂上、計算機の「=(イコール)」ボタンの上に、燕尾服を翻してメフィストが立っていた。彼は巨大なチョークを指揮棒のように振り回し、空中に数式を書きなぐる。


「この学園そのものを、私の思考と直結した巨大演算装置へと作り変えた! 今この瞬間から、この空間の法則は私の支配下にある! さあ、まずは君のその忌々しい『ツッコミ』の威力を、私の新理論で『綿毛の舞い』程度に書き換えてやろう!」


アキラは中庭の真ん中で、四天王のあまりに派手で、かつ事務的な見た目の登場に、深く溜息をついた。


「……おい。誰か教えてくれ。あいつ、なんでわざわざ歴史ある建物を、一昔前のオフィスに置いてあるような事務用電卓にしたんや。学園の景観を著しく損ねとるやろ。市役所から撤去命令が出るレベルやぞ」


「アキラ様、見て! あの巨大電卓の液晶、よく見ると『電池残量』が残り1パーセントよ!

四天王のくせに、朝の充電を忘れるなんて……! きっと彼は、目覚まし時計の電池もタコで代用しているに違いないわ!!」


聖女エルナが、タコ(名前:タコちゃん)の吸盤を電卓の方へ向けながら叫んだ。


「そこじゃないわ!! 電池残量を心配すな!!

あと、目覚ましにタコを使うな! ぬめって止まらへんやろがい!!」


パキィィィン!


アキラのツッコミが空気を震わせるが、メフィストは不敵に笑い、巨大電卓の「ACオールクリア」ボタンを踏みつけた。


「無駄だ! 私の理論によれば、今この瞬間から『勇者のツッコミは、全て心地よい小鳥のさえずり』に変換されるのだ! さあ、鳴け! チュンチュンとな!!」


アキラは腹の底から声を張り上げた。


「変換されるかぁぁぁ!! 質量保存の法則を無視すな!!

そもそも音波を生物の鳴き声に変えるって、どんなオカルト理論やねん!

お前の脳内、理系じゃなくてただのファンタジーやろがい!!」



ドゴォォォォォォン!!!!!



アキラの地声による衝撃波が、メフィストの書きかけの数式を物理的に粉砕した。変換されるどころか、ツッコミの威力は増し、巨大電卓の液晶画面に「Error 666」の文字が点滅する。


「な……なぜだ!? 理論上、お前の声は愛らしいスズメの声に変わるはずだったのに!!」


「スズメをなめるな! あいつら、意外と鳴き声うるさいんじゃ!!

あと、俺の喉にはタコの吸盤による『声帯強化コーティング』が施されとんねん!

お前の屁理屈が届く前に、俺の魂の叫びが着弾しとるんじゃ!!」


そこへ、重騎士ルビィが鎖を引きずりながら、恍惚とした表情で前に躍り出た。


「アキラ殿! あのメフィストという男、なかなか分かっているではないか……!

見てくれ、あの巨大電卓の『Cクリア』ボタン! あれで私の存在を、私の記憶を、私の羞恥心を……一瞬でクリアにしてくれるというのか!

ああ、消される快感……! さあメフィスト、私をオールクリアしてくれ!!」


「お前は一回黙ってろ!! 精神をオールクリアしてやりたいのは俺の方や!!

なんで敵の攻撃を『新しいエステ』みたいに受け止めてんねん!

お前の防御力が高いのは、その面の皮が厚すぎるからやろ!!」


ルビィは

「面の皮が厚い……! 最大の侮辱……! ありがたき幸せ!!」

と叫びながら、巨大電卓のボタンに向かってダイブした。


「わ、わわっ!? 何だこの女は! 計算機の上に飛び込むな! 数値が狂うだろうが!!」


メフィストが慌てて「999999」と入力しようとするが、シズクがシュババッと背後に回り込み、ノートを突きつけた。


(アキラ様のツッコミ、一回につき100カロリー消費。

 今のツッコミで、アキラ様のお腹はペコペコ。

 お前の電卓で、今すぐ特上寿司十人前を注文しろ。……できないなら、お前の指を一本ずつ「ガリ」にして、私が喰らう)


「食べ物にするな!! ホラーやろがい!!

あとお前、いつの間に電卓のデリバリー機能を見つけたんや!

あいつ、ただの計算機って言うとるやろ! 出前館じゃないんやぞ!!」


さらに、地味すぎる魔法少女・ミリティが、掃除用具一式を抱えて現れた。彼女は巨大電卓に変形した時計塔を見上げ、深い溜息をついた。


「……あの、メフィストさん。すみません。

あの電卓の『3』のボタンの隙間に、さっきの爆発で飛んだルビィさんの鎧の破片が挟まっています。

このままだと、計算結果に0.5ミリの誤差が出て、世界が微妙に斜めに滅んでしまいます。……非常に、気持ち悪いです」 

「誤差だと!? 私の理論に誤差などあるはずが……」


「あります。……いきます。マジカル・ピンセット!!」


ミリティが杖を振ると、巨大電卓のボタンの隙間から、ルビィの破廉恥な鎧の破片が「シュパッ」と鮮やかに抜き取られた。


「ああっ!? 私の一部が、あんな地味な娘に抜き取られるなんて……!

もっと……もっと奥まで抜いて……!!」


「抜かんでええ!! 静かにしとけ!!

ミリティ、お前もいちいち修正すな!

世界が斜めに滅ぶのを心配する前に、このカオスな現状を何とかしろ!!」


「あ、すみませんアキラ様。……では、仕上げに。ミラクル・静電気除去ワックス!!」


ミリティの杖から放たれた光が巨大電卓を包み込む。

すると、電卓の表面は鏡のようにピカピカになり、メフィストの足元から全ての摩擦が消え去った。


「わ、わわっ!? 足が……足が滑る!

止まれ! 慣性の法則に従え! 止まれ演算装置!!」


「止まるかぁぁぁ!! お前がワックスの輝きに負けとんねん!!

物理学者なら、自分の重力加速度を計算しながら、華麗に場外まで滑っていけ!!」


ドガァァァァン!!


アキラの追い打ちのツッコミにより、メフィストは巨大電卓の端から、空の彼方へと高速でスライドしていった。


「おのれぇぇぇ!! 次は……次はもっと『滑り止め加工』を施した理論を持ってくるからなぁぁぁぁ!!」


「滑り止めを理論に組み込むな!! スパイクシューズ履いてこいボケ!!」


メフィストが星となって消えると、巨大電卓はミリティの掃除のおかげで、以前よりも数段美しい輝きを放つ時計塔へと戻っていった。

エルナがタコを抱きしめながら、アキラの袖を引く。


「アキラ様、お疲れ様。メフィストの理論、最後は『滑る』っていう古典的なギャグで終わったわね。

これこそがタコちゃんの吸盤が持つ『吸着』という真理の対極……。

さあ、お祝いに学園のプールにタコを放流しましょう!」 


「放流すな!! 塩素でタコが真っ白になるわ!!」


シズクが無言でノートを掲げる。


(第13話、終了。

 アキラ様のツッコミ、本日も絶好調。

 私の婚姻届、記入欄は『ピカピカ』。

 ミリティに磨いてもらった。……あとは、あなたの名前を書くだけ。……逃がさない)


「ミリティに何を手伝わせとんねん!!

お前ら、全員一回整列しろ!

四天王より、お前らの方がよっぽど世界を滅ぼしかけとるわ!!」


アキラの叫びは、ピカピカに磨かれた学園の空へと虚しく響き渡った。

・四天王が意外と「掃除」に弱いことを知り、今後の攻略法に「バケツと雑巾」を追加しようか悩んでいる。

・ルビィの「オールクリア」願望が、法的にアウトな領域に達していることに頭を抱えている。

・シズクが婚姻届をミリティに「鏡面仕上げ」にさせた理由が、怖くて聞けない。

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