第6章 男性2人と玉露
『りんね』の中は、国際色豊かである。白色、黒色、黄色、いろんな人が座っていたり、立っていたりする。
また一角が中国式の様相をしており、2人の男性が熱を帯びて話をしている。マスターは、2人に少し茶葉を湯気で蒸した香りの高い玉露を出した。
「これで何回目なんだろう」
「なんですかね,」
どうやら、この2人、何度も生まれ変わっている様子だ。
2人の会話さらに続く。
「あの時、怒りに任せて、出兵しなければ変わっていたのかもしれない」
「いいえ、あなたの気持ちを読み取れず、言葉足らずで生死を誓いあった弟を亡くされているあなたに寄り添えなかった。私の不徳です」
その後も、会話は続く。
「あの時は私が離れてしまったために、あなたは毒によって殺されてしまった」
「いや、あれは私の不注意。君たちが心配していたのに」
更に続く。
「いつぞやは、君を相手にして戦ったけれども、全く勝てなかった」
「あなたの周りには、なぜか人が寄ってくるんですよ。私は厳しいから。最後にはあなたに負けましたが」
立場が逆の時もあった
「私が猿だった時、君は、馬に乗って旅をするお坊さんだったよな」
「はい。あの時は私の方が偉い形でしたね」
「残りのカッパと豚はもしかしたら」
「そうですね。おそらく雲長と翼徳でしょう」
そう、この2人。あるときは、劉備と孔明。ある時は、宋江と呉用。あるときは、太公望と聞仲。あるときは孫悟空と三蔵法師。
ゆっくりと玉露を飲みながら会話しており、ゆるやかな空気が流れる。しかし、だんだんと辛い顔になっていた。
「あの時代だから戦うことが普通だったが、もう殺し合いは沢山だ」
「私もです」
「こんな思いをしている奴らがまだいっぱいいるだろう」
「そうですね。何か解決策があれば」
マスターが新しい玉露をテーブルに置いてこう言った。
「あの神なら.何かいい考えがあると思いますよ」
2人の男性は玉露を一気に飲み干し、店を出て、光の中へと入っていった。
神の前
[願いを言え。ひとつずつ叶えてやる]
相手を殺すことなく、戦える、それも何度でも、そんな願いなのですが
できればあのとき相手だった彼らにももう殺し合いしてほしくないんです
そんなことできますか
神は簡単そうに
できるよー
実はこの神、たまに本人が話してない時がある。
本人の影にやらせて、自分は遊んでいる時がある。能力は影だからと言っても同様なので安心して欲しい。
出来の良いコピーロボットなのである。なぜあそぶかって?
気まぐれだから
遊んでいる時はもっぱら人間界のもので遊んでいる為、今回の件はとても簡単だった。
2人の願いは叶えられた。
新しい世界
モニターの前で激しくキーボードを叩く人やゲームパッドを冷静に操作する人が5人、後ろから指示を出す男性。
ゲームを攻略する集団のようである。
1人の男性が入ってくる。
「どうかな」
キーボードを叩くようにやっていた男性は
「どうもこうもないですよ。参謀が来てから負け無し!どこで見つけたんです?」
冷静な男性も
「初めはこんな作戦出来るわけないと疑うしか無かったが、やってみると的確なものでして」
そう、ゲームなら痛い思いもせずに何度でも戦える。
世界中でやっているなら、相手はもしかしたらあの時の彼らなのかもしれない。
神は気まぐれだ。サボりも生かして願いを叶える。そして、配信を楽しんでいる。




