第3章 詐欺師とビフテキ
白い世界
人の列もまばらで神は鼻に指を当てて掻きながら人々に話している。
『りんね』の中は下品な笑い声がこだましている。
中央の席でビフテキにかぶりつきながら、声を発している髪の伸ばした白髪の男性。
「ビフテキおかわり」
マスターは寡黙にビフテキを持っていっている。
この男のことを話そうと思ったが、男は自慢しながら勝手に話し始めた。
男の名は『誠』といい、自身では人もよく、みんなを世話していたと、言ってはいるが。
その実は名ばかりの詐欺師である。コイツは子供の頃から親の金を盗み、年上に媚び諂い、何かあれば金で年上を芥子掛けるといった方法でわがままに育っていった。
大人になると更に酷くなった。ヤクザとつるみ金を騙しとる詐欺師となった。更にそのヤクザを騙し金を集めており、手がつけられないままであった。
女性にもだらしなく、何度も結婚離婚を繰り返し、浮気も数えれない。
ある日、酒に酔い、愛車のコルベットを走らせ、とんでもないスピードで事故を起こし、この白い世界に来た。
わがままな奴は何故か『りんね』に来てビフテキおかわりしている。
周りもみんな辟易していた。
外から綺麗な女性たちが光の方へ歩いていくのが見える。誠はビフテキかじりつくのもそこそこに飛んで女性たちに声をかけて光の中へと入っていった。
光の中
神は言う
[願いを言え。ひとつ叶えてやる]
誠はいった
また人の役にたつようになりたいです。
だが、腹の中では
こう言えば神もよくしてくれるだろ
神は言う
[願いを叶えてやろう と言うとおもった?おもった?おもっちゃったか?]
誠は、口をぱくぱくさせている。
[お前さぁ、神舐めすぎ。結論ね、お前転生先、ミジンコ。いくら騙し取った?
一億五千三百四十三万六千九百八十四円。
1転生で一円返済な。で、返すまでお前ずっと転生先、ミジンコ!]
誠はミジンコとして数数えきれない転生をすることになった。
今は何回目だ?
神は気まぐれだ。騙そうとする奴にはとことん冷徹で非情だ。あの女性たちは神の怒りが見せた幻だった。
何故なら、神はモテない。相手の気持ちがわかるから。




