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シュカの前回任務報告書①(第一部あらすじ)

ちょっと誤字などを修正しました。


 よう、みんな。

 〈星芒騎士団〉一番隊のシュカだ。


 今回の任務の功績で、アリスが抜けたもんで、今は一番隊の副隊長をやってる。

 ルシア隊長の下でな。


 で、早速本題だが、今日は俺が『第一部』の内容をかいつまんで説明することになった。


 もちろん、本当は『第一部』を読んでもらいたいとこだけどな。

 でも、『第二部』から読み始める人もいるだろうっつうことで、そんな人のためにあらすじをサラっとおさらいすることになったんだとよ。


 まあ、そりゃ別にいいよな。


 どこから読み始めたってそんなの自由だし、むしろ読んでくれるだけありがてぇ。


 けどよ?

 普通、こういうのは話の上手い吟遊詩人とかの仕事だよな?


 何となく頼まれて引き受けちまったけど、俺こういうのあんま得意じゃねえから、『任務報告』っぽくなっちまったとしても、大目に見てくれや。


 じゃ、早速始めるぜ。



      Ψ


 俺と同じ、〈星芒騎士〉のアリスってやつが、この物語の主人公だ。一応な。

 古くからの、俺の腐れ縁でもある。

 それこそ、二人揃って騎士団の養成学校に連れて来られる前からのな。


 アイツは俺の一つ下だから、もう十六だっつうのに、チビでガリ。

 オマケにどっからどう見ても女にしか見えねえ。


 しかもいわゆる”超絶美少女”ってやつだ。

 ぶっちゃけ、俺は今までアイツより綺麗な女は見たことがねえ。


 でも、残念ながら、実は女でした……ってオチはないぜ。

 俺は実際、裸も見たことあるしな。


 ……いや待て。別に変な関係じゃねえよ。

 男同士なんだから、風呂くらい入るだろ。


 ちなみに当の本人は、日々女に間違われるのを結構気にしているらしい。


 だったらせめて髪切れよ......って思うよな。

 けどなんでも、髪伸ばしてねえと死んだ親父さんとお袋さんが悲しむんだとよ。


 髪にしろ、名前にしろ、どんな親だよ?


 ......って思わなくもねえけど、故人を悪く言うもんでもねえな。


 まあ、『星の民』の貴族どもは、古くから髪をあんまし短くしねえ慣習があるから、髪が長いヤツはそう珍しくはねえけど。


 アイツの親父さんも爵位を持つお偉いさんだったから、もしかしたらそこにこだわってたのかもな。


 ......その割に、死ぬまで自分が『子爵』だってこと自体をアイツに隠してたわけだから、良く分かんねえ親父さんなんだが。


 とにかく、だ。

 そういう訳で、見た目も名前も完全に女なんだが、あれでも一応、れっきとした〈星芒騎士〉なんだ。

 しかも飛び切り優秀な、な。


 俺達の代は割と優秀なヤツが多くて、『奇跡の代』なんて言われたりするんだが、その中でもアイツはずば抜けてる。

 まあ、それでも()()()()なんだけどな。


 ん?俺はどうだって?

 まあそうだな……俺は同期の中じゃあ、五番目ってところだ。

 いや、しょうがねえだろ。俺らの代はできるヤツが多いんだって。



 ......って、随分と話が脱線しちまったから戻すぜ?


 アリスは十五の成人と同時に、最短で〈星芒騎士団〉の入団試験に受かって騎士の叙勲を受けた。


 それからいろんな任務をこなしてきたわけだが、入団から一年ちょっと経ってまわってきた仕事が、この間の『ゴブリン退治』だ。

 ちなみに俺もその任務に編成されちまった。


 ん?今さらゴブリンかって?


 いや、その言葉は散々言われたし、俺も言ったぜ。

 そりゃそうだよな。大陸中に名を馳せる天下の〈星芒騎士〉が今更ゴブリンかよってな。


 嫌味な先輩たちからもだいぶ馬鹿にされたよ。

 まあ、それに関しちゃ、別に大して気になんねえけどな。

 『星の民』至上主義者のあの人たちは、そもそも”混血”の俺らのこと死ぬほど嫌ってってからさ。


 でもみんなが思うように、俺らも当然イージータスクだと思ってたんだ。


 数は三十から下手すると五十、しかもオーガーのボディガード付きってことで、妖魔にしちゃ規模がデカいが、所詮は妖魔(グリム)だ。

 どうってことねえだろってな。


 ところが、そうでもなかったんだ。


 アリスと俺、それから性格の悪い団長の遊び心でアリスの妹のセラフィナって精霊魔導士も討伐隊に加わって、結局王宮からはこの三人が討伐隊に組み込まれた。

 ちなみに、アリスは妹を連れてくのに相当嫌そうな顔してたけどな。


 あとは、この討伐隊の暫定隊長に任命されたアリスの判断で、王都の地下街(アンダーグラウンド)のチンピラ・ジェイク(コイツもまた、俺らにとっちゃ腐れ縁の昔馴染みなんだが)を加えて、王都を発ったんだ。


 まず俺達は、ゴブリンの巣穴付近を管轄しているカペラって街に向かった。

 すでにカペラ兵団の兵士たちが巣穴の調査やゴブリンどもの討伐に行って、何人も行方不明になってたからな。その情報をもらうためだ。


 そこで会ったのが、カペラ兵団のトップの騎士ダリエルとナンバー2の騎士エクレウス。

 そこでダリエルから、もしかしたらゴブリンの『貴族種』——まあつまり、ゴブリンロードだ——がいるかもって話が出た。


 ゴブリンロードっていやぁ、滅多にお目にかかれない激レア種だ。

 だからといって、正直その時は別に脅威っていう気もしなかったけどな。

 やっぱり所詮は妖魔だしな。高を括ってたんだよ。


 ただ、いくら雑魚っつっても、数が多いからな。

 俺達四人に加えて、もう何人か討伐隊に加えるつもりだった。


 エクレウスからは、カペラ兵団から兵士を出すことを提案されたんだが、アリスはそれを断わった。

 そもそもカペラはちょうどその時〈漆黒の牙〉っつう、内戦時の反乱軍崩れの野盗どもにも手を焼いていて、本当は人員を割く余裕がなかったからな。

 これ以上負担をかけたくなかったってのもある。


 けどそれだけじゃなくてな。

 実はアリスには別のアテがあったんだ。


 なんでもあいつが騎士叙勲を受けた後、一番最初に行った遠征任務の時に知り合った冒険者が近くに居るんだって話でよ。

 事前にその冒険者たちに声を掛けて、色よい返事をもらってたんだ。


 そんな訳で、カペラを出てから俺達は巣穴に直行せず、ポルックスっていう小さな村に向かった。

 そこで(くだん)の冒険者たちと合流する手筈だったからだ。


 予定通り、ポルックスで冒険者のグレッグ、ガッド、ロンド、ビスタと再会し、俺達は総勢八人で、翌朝ゴブリンどもの巣穴に向かった訳だ。


 例え相手が五十匹いようと、その中にオーガーが二、三体紛れていようと、万一『貴族種』が待ち構えていようと、十分に対処できる戦力だったんだぜ。


 ところが、だ。


 早速予想外なことが立て続けに起きる。


 巣穴の前で七十匹近くと出くわすわ、オーガーだけじゃなくゴブリンシャーマンもいるわ……


 オイオイ、三十から五十じゃなかったのかよ、ってカンジだ。


 しかも最悪だったのは、近くの村から攫って来たのか、若い娘が四人も誘拐されていたことだ。

 その上、慌てて救援要請をしても、何故かカペラにもポルックスにも一向に通信が繋がらねえ。


 そして悪いことはさらに続く。


 なし崩し的に始まった乱戦の最中(さなか)、オーガーにやられて、魔法戦士のガッドが大怪我を負っちまった。

 腕の骨は粉砕、内臓もやられてたな。


 それでも俺達はなんとかその大半を巣穴の前でぶっ倒したんだ。


 でもな、あとちょっとって言うところで、突然ゴブリンどもが一気に巣穴に逃げ出しやがったんだよ。

 しかも村娘四人のうち、まだ捕まったままだった二人を連れてな。


 アリスの治癒魔法でなんとか一命はとりとめたが、ガッドはもう戦えねえ。

 しかも相変わらず、どこにも通信は繋がらないままだ。


 俺達は、すでに救出したふたりの村娘と負傷したガッド、それに三人を守るために軽戦士のビスタを巣穴の前に残し、連れ去られたふたりの娘の救出のために、巣穴に突入したんだ。


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