五時間目:ナディアの『 騎士団』の話
やっほー、みんな元気―?
フィナだよー!
五時間目は、ナディアの騎士団について!
おもにこんな話をするよー!
①ナディアの騎士団 ②魔法戦闘部隊 ③星芒騎士と光の剣
それでは早速、はっじまっるよー!!
Ψ
①ナディアの騎士団について
私たちのナディアには、〈星芒騎士団〉の他にも騎士団がいるんだよ。
まず、『騎士』には王宮の騎士団に所属する『上級騎士』と都市に配属されるそれ以外の『騎士』がいるの。
まあ、騎士って言っても、ナディアは中央集権国家だから、領地を持っている訳じゃないけどね。
そして王宮に仕える『上級騎士』は、三つの騎士団のどれかに所属してる。
その三つって言うのは、
〈王国騎士団〉〈近衛騎士団〉そして〈星芒騎士団〉だよ。
まずは〈王国騎士団〉から。
ナディアは徹底的な実力主義だから、〈王国騎士団〉の騎士たちも超キビシイ戦闘試験に合格した戦闘術の達人であることには変わりないんだけど、どっちかって言うと彼らの役割は、上級軍人として兵団の指揮が多いイメージかな。
あと、彼らの任務の中心は『王都防衛』だから、国中に派遣される〈星芒騎士団〉より王都にいることが圧倒的に多いんだ。
ただ、軍勢を率いての戦いが必要な際には、彼らも戦地に赴いて、地方騎士たちや都市兵団たちを指揮したりするよ。
人数は全部で三百人くらいだったかな。
続いて〈近衛騎士団〉。
〈王国騎士団〉が『王都防衛』がメインの任務なのに対して、〈近衛騎士団〉は王室の警護が最大の任務だよ。
王族の親衛隊的な役割も担っているかな。全部で二十人ちょっと。〈王国騎士団〉の中でもトップクラスのエリートが〈近衛騎士団〉に異動することもあるよ。
ちなみに、私たちのお父さんはもと〈近衛騎士団〉の副団長だったんだよ。
当時王太子だったアルベルト陛下の警護のトップをしてたんだって!
そして最後は〈星芒騎士団〉。
……って、みんな、〈星芒騎士団〉はもう、分かるよね?
そうお兄ちゃんやシュカたちが所属している騎士団。《光の剣》を操る、魔法剣士部隊だよ。
この《光の剣》って言うのは魔法の一種なんだけど、この超強力な魔法はナディアの三つの民族の内、『星の民』しか使えないんだ。
まあ、『星の民』の中でも、ごくわずかな人しか習得できないんだけどね。
《光の剣》の使い手はそれこそ建国前からいたんだけど、騎士団として正式に創設されたのは、実は先代国王陛下の時代。
たしか、今から二十年くらい前だったかな。
そもそもは、対魔物戦専門の戦闘部隊として造られたんだって。
最初は二十人弱くらいからのスタートだったみたいだけど、十年かけて少しずつ人数を増やしてたんだ。
でも、七年前の内戦で、たくさん死んでしまった。
その後、王宮はそれまで以上に力を入れて、星芒騎士の育成に注力したんだ。
素養のある子どもを国中から探してね。
だから、最近の星芒騎士は若い人が多いだけじゃなくて、実は内戦で両親を亡くした人なんかも多かったりするんだけど。
……それがまた気に入らない人たちもいるみたいだね。
とにかく、そんな努力も実って、今はだいたい総勢四十七人。
団長と副団長の他、五人編成の分隊が九つ。『一番隊』から『九番隊』の名称で呼ばれてるよ。
ちなみに、『だいたい総勢四十七人』の『だいたい』の意味は、人数の増減はしょっちゅうあるから。
もともと魔物との戦闘がおもな任務の彼らは、人々の羨望の対象ではあるものの、常に死と隣り合わせの綱渡り状態でもあるの。
「三十歳になるまでに七割以上が殉職する」なんて、物騒なことも言われてるんだ。
だから、人数は流動的。
なんとか育成して『増員』しようとしてるけど、亡くなってしまう人も多くて、実際のどうにかこうにかギリギリ『補充』が間に合ってるってカンジ。
なかなか今の人数からは増えないみたい。
そう言えば、半年くらい前にも九番隊隊長が『奈落渓谷』でMIA(作戦行動中行方不明)になったって話だしね……
——まあ、この闇の大地で軍人をやっていれば、誰だっていつ死んでもおかしくはないんだけどね。
ちなみに、この国では、三つの上級騎士団に所属する騎士たちの内、団長には『伯爵』、副団長は『子爵』、分隊長には『男爵』の爵位がそれぞれ与えられることになってるんだ。
だから私たちのお父さんは『子爵』だったの。
でもお父さんはもういないから、お兄ちゃんが十五歳の成人を迎えた時に、この国の『世襲降格制』に基いて一つ降格した上で、『男爵』の爵位を継いだってわけ。
Ψ
②魔法戦闘部隊『魔導機動隊』
騎士団じゃないんだけど、私たちみたいな魔法使い部隊についてもちょっとだけ話をするね。
王宮に仕える魔法使いはたくさんいるんだけど、大きく分けると戦闘がメインじゃない『宮廷魔導士』と、私たちみたいにバリバリ戦闘部隊の『魔導機動隊』があるんだ。
もちろん、魔法って戦うためだけのものじゃないから、宮廷魔導士の中にもいろんな役割があるんだけど、私たち『魔導機動隊』の任務はいたってシンプル。
お兄ちゃんたち〈星芒騎士団〉と同じように、ほぼ魔物退治特化の戦闘部隊だよ。その手段が、剣や槍じゃなくて魔法なだけ。
宮廷魔導士と違って、私たちは『軍人』だからね。
当然戦闘部隊だから、基本的にはある程度白兵戦もできないとだめ。
だから時々、〈星芒騎士団〉を目指してたけど《光の剣》を習得できずに諦めた人が『魔導機動隊』に入る、なんて言う人もいるけど、そんな簡単な話でもないんだよ。
まあ、そう言う人がいないわけでもないけど……そもそも〈星芒騎士団〉より入隊試験で求められる魔力量や魔法技術レベルの基準は遥かに高いんだから。
『魔導機動隊』も軍の一部隊なんだけど、魔法ってものすごく個人の特性によるものだから、統一的に編成するのは結構難しいんだよね。
一番難しいのはやっぱり人ごとに全く相性が違う、『属性』なんだ。
だから同じ属性魔法の使い手でチームを組んだりすることが多いの。私が所属する〈烈火の組〉もそうだね。
ちなみに一応、『魔導機動隊』の標準装備としては、魔導礼装たる『魔導戦棍』があるんだ。これは『攻』『防』『魔法』の三つをバランスよくこなす上に『属性』による偏りまで補ってくれる優れもの。
……まあ、私は普段あんまり使ってないんだけどね。
③星芒騎士と光の剣
さてと。魔法の話になると、私専門だから、それこそ話題は尽きないんだけど。
話し始めると永遠に終わらないからここまでにするね。
最後はやっぱり、星芒騎士と光の剣の話をちゃんとしてから終わりにしないと。
お兄ちゃんとシュカ、ディート君なんかが所属している〈星芒騎士団〉。
これはさっきも説明したばかりだね。
退魔物戦闘部隊で、剣と魔法を操る、魔法剣士。
——だけど、もちろんただの魔法剣士ってだけじゃない。
魔法も使えて剣も扱える戦士なんて、そりゃまあ、それだけで貴重ではあるけれども。
でもそのくらいなら、結構いっぱいいるんだ。
それこそ私たち『魔導機動隊』にだって、剣術が得意な人もたくさんいる。私もだけどね。
標準装備の『魔導戦棍』を広刃剣とか細剣とかに持ち代えればいいだけっちゃいいだけだしね。
それに冒険者の中にだって、魔法戦士はそこそこいる。
そうそう。みんなの知ってるガッドさんがまさにそれだよね。
でも『剣も魔法も使える』ってだけじゃ、星芒騎士とは並べない。
そもそもそれだけだったら、たった五十人弱しかいないのに、大陸中に名を馳せるまでには至らないよね。
大陸有数の軍事大国ナディアにあってなお、誰もが国家最高戦力と認める四十七人。
その理由は簡単で、要は星芒騎士の《光の剣》が、もう反則的に特別だからだよ。
一般に冒険者ギルドなんかの魔法使いや魔法戦士が使う《魔法の剣》と、見た目はそんなに変わらないのに、その威力にはすっごい隔たりがある。
《魔法の剣》はちょっと切れ味を良くするくらいだけど、《光の剣》は分厚い鋼鉄もバターみたいに切り裂く。
ドラゴンの鱗さえも断つことができるって話だよ。
その上攻撃魔法をぶった切って無効化したりもできるんだ。なんかもうちょっとずるいよね……!
わかるかな?
まあ、正直な話。
他の魔法よりあまりに優秀過ぎて、とりあえず《光の剣》が使えるだけで、特別扱いなところもある訳よ。
でもそんな凄い力を持ってるからこそ、過剰な期待をされがちなの。
星芒騎士だって生身の人間なんだけどね。
とにかくやばい魔物が出れば、真っ先に星芒騎士が派遣される。
他の兵たちが対応してても、手に負えなくなればやっぱり星芒騎士にお役目が廻ってくる。
しかも万年人手不足だから、休む間もなく次の任務に送られることも日常茶飯事だし、一度に何件も同時に対処しなきゃいけない時もある……
ジェイクの言葉を借りるのは癪だけどさ、確かに結構ブラックだよね。
いくら名誉ある仕事で、お給金も良いって言っても、よく好き好んでなるよねぇって思っちゃうよ。
でも、結局は軍人なわけだから、そんな隊員たちを生かすも殺すも上官の腕次第、ってところもあるよね。
だからこそ、お兄ちゃんなんかに務まるのかな……って
正直、ちょっと心配なところはあるんだけど。
まあ、でも大丈夫。
もしもの時は、私が全部ひっくるめて守ってあげるから。
とは言え、みんなも応援してあげてよね?
——という訳で、五時間目の授業はここまで!
最後まで聞いてくれてありがとね。
今回は第一部に出て来た情報に、ほんのちょっと補足するだけまでしか話せなかったけど、少しは私たちの世界のことが分かったかなー?
本当はここまでで終わりにしようと思ったんだけど、第二部から読み始めてくれる人のために、このあと補修授業を用意したよ!
補修の内容は——ズバリ、第一部の登場人物紹介!
お楽しみに~!




