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三題噺もどき3

不調

作者: 狐彪

 


 身体が重い。


 昨日から続く不調は、順調に悪化の一途をたどっている。

 頭も若干ぼうっとするし、痛いような気もするけどそうでもないような気もする。鼻はそこまで酷くはないが、なぜか喉がやられている。乾燥しているのがよくないのかなコレ。

「……」

 久しぶりに声が出ないほどにやられている。

 昨日はかろうじて声は出ていたのに、朝起きたら酷い有様だった。

 それも乾燥のせいかと思って水分を摂っては見たが、あまり改善が見られなかったので単に悪化しただけだろう何かが。不調の原因が全く持って分からない。

「……」

 ならさっさと病院にでも行けと言う感じなんだが。

 ……残念ながら我が家は共働きで、平日に休めることなんてないのだ。

 自分で運転していってもいいんだけど、それはあまりにも危険すぎるので1人で病院に行くのは怖い。

「……」

 昨夜、帰ってきた母に問い詰められるような形で体調不良を訴えたところ、栄養剤と総合風邪薬を飲まされた。感染症かもしれないので、食事は1人別で用意された。そうでなくてもたいして食欲がなかったので、あまり量は食べられなかった。

「……」

 満月のような卵の浮かんだ、温かいうどんだった。

 猫舌なので食べるのに苦労した。ただでさえ疲れているのに、食事でもうっかり疲れてしまった。美味しかったけれど、どんぶりいっぱいはさすがに無理があると思う。普通に食べてもかなり頑張って食べる量なのに、不調の時に食べる量ではないだろうに。

「……」

 朝起きてから一応熱を測ってみたのだが、昨日よりあがっているような気がする。

 昨日の体温何度だったかな。記憶にないな。体がだるくて頭も重くてそんな記憶ない。

 ご飯食べるので精一杯だった記憶しかない。汗をかいていて、風呂に入りたかったのにそんな気力もまるきり削がれた記憶しかない。

「……」

 しかし今は何時なんだろうか。

 体の重さと頭の痛みとのどの渇きで目が覚めたのだけど。

 今朝がた母に声を掛けられた後父にも声を掛けられて、その後の記憶がない。

 その時に寝おちたのなら、相当の時間寝ていたのかもしれない。

「……」

 視界の中が、晴れている時より若干暗い気がする。

 外が曇りなら、時間なんて検討のしようがないのだけど、晴れていたのならこの暗さはもう夕方近くになっている気がする。冬になってから暗くなるのがあっという間だからな、あまり自分の感覚はあてにならない。

「……」

 ならば携帯でも時間を確認すればいいだろうという感じなんだけど。

 なんというか、今携帯の光を浴びると体調が悪化しそうで嫌だ。ただでさえ気分が悪いのに、更に悪化しては、最悪吐き気まで行く。

「……」

 あーしっかしホントにだるい。

 割と体は強い方だから、こんなになる事めったにないのに。というか記憶にある限り、小学生以来だと思う。健康優良児という程でもないが、中学からこっち皆勤賞をとり続けている私だ。何も自慢にならないけど。そもそも皆勤賞なんて今時なさそうだ。

「……」

 こうもしんどいのに、変な思考に走らないのが不思議だな。

 なんというか、思考回路を回すどころじゃないって感じだ。

 多分、考えてはいるんだろうけどそれが表面に上がってこないと言うか……なんというか。

 しんどいのはしんどいし、今すぐにでも特効薬が欲しいくらいに辛いのだけど。

 だから、ほら。

「……ぁ」

 訳の分からない涙があふれてくる。

 ジワジワと、目の奥が熱くなってくるんだ。

 ホントに自分の体なのに思い通りにいかないし、訳が分からない事ばかりだ。

 泣くと頭痛に拍車がかかるし、そうなると本格的に気分が悪くなってくるから嫌なのに……。これがまだ若干滲んでくるだけだからマシなんだけど。

「……」

 まぁ、マイナス思考に走っていないだけ、マシだと思っておこう。

 存外この涙もすぐ引っ込むし。訳が分からないなほんとに。

 体が思うように動かないことがこんなにつらいとは思っても居なかった。幼い頃はあったはずなのに、痛みを忘れると人間は弱くなるな。

「……」

 何を言っているんだ?

 うん分からないな。

 本格的に頭がおかしくなってきたかもしれない。

 これ以上馬鹿になる前に、薬が欲しい。昨日の風邪薬なにも効いていないじゃないか。栄養剤も何も……。

「……」

 疲れてきた。

 帰ってくるまで大人しく寝て居よう。












 お題:満月・涙・声

三題噺もどき―ごひゃくはちじゅうなな。

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