花火
こちらは百物語八十六話の作品になります。
山ン本怪談百物語↓
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東京に引っ越してきたばかりの時の体験です。
当時、私は就職の関係で急遽東京のど真ん中へ引っ越すことが決まってしまいました。
経験したことが無い引っ越しに戸惑いながら、前日の夜中まで荷物をまとめていました。
「はぁ~疲れた…」
引っ越しの作業は早朝から始まり、色々な手続きもあって作業が終わったのは夜の9時過ぎ。私は倒れ込むように新しいマンションのベッドへ入りました。
…
……
………
どのくらいの時が経ったのか。
ベッドの上で目を覚ました私は、何もない天井をしばらく見つめていました。
すると…
ドーン…ドーン…
窓の外から何か大きな音が聞こえてくる。
よく耳を澄ましてみると…
「ウァ…ァアアアアア…!」
「………キャアアアアアア…!」
「に…ろ…!」
何度も聞こえてくる「バン」という音と大勢の人の声。
「…花火大会かな?」
私はお祭りやイベントの花火が上がっているのだと思いました。東京だと花火は珍しくないと思っていたので…
「こんな時間でも花火とかやってるんだ。東京ってすごいなぁ」
時計を見ると深夜の1時。私は重い身体を起こし、ゆっくりと起き上がると、窓のカーテンを勢いよく開けた。
「…あれっ?」
外はとても静かだった。
花火どころか、お祭りをやっている様子すらない。
「何かの間違いだったのかな。でも確かに…」
再びカーテンを閉める。すると…
ドーン…ドーン…ドーン…
またあの音が聞こえてきたのです。花火のような、まるで何かが「爆発」するような音。そして…
「キャアアアアアア…」
「誰…たす…たす…け…」
「アツ…ア…アツ…い…」
遠くから聞こえてくる大勢の人の声。
「あぁ、これ花火大会じゃないわ…」
私は咄嗟にそう思いました。再びカーテンを開くと、あの音と声は一瞬で消えてしまいました。
後で調べてみたのですが、私が引っ越してきた日は、東京で過去に「悲惨な出来事」があった日だったのです。
東京で多くの人が焼け死んだ日。
あの大きな音と大勢の叫び声は、今でも忘れられません。




