真実を知って始まる
白い部屋に5人の天使がいる。
そして、天使の前には大きな椅子に座ってる男がいた。
そして、男は話し始めた。
「お前たちを集めたのは他でもない。
今から18年後に悪魔との戦争が始まる。
これまで500年に1度戦争は行われている。
悪魔たちが人界を乗っ取ろうとして攻めてくるからだ。
そして、今回最も最悪なのが人界に悪魔たちがもう徐々に侵略を始めていることだ。
それに加え、最強と言われていた悪魔が既に人界に降り人間と契約をしたと聞いた。
それを止めるためは、選ばれし者たちと一緒に戦わなくてはならない。
そして、選ばれし5人の子供たちがそろそろ産まれる。
その子供たちに仕え、16歳になるまで守ることが使命だ。絶対に守らなくてはならない。
悪魔たちに勝つためには、子供たちの力が必要だ。
選ばれし子供たちと、お前たち選ばれし剣、盾、槍、弓、杖の天使たちが1つになることで悪魔にも勝てる存在になる。
天使の力を持った人間になるのだ。
力を持った人間は、普通の天使より格段に強くなる。
1つになれるのは、16歳の誕生日だけだ。
16歳になると、体も心も子供から大人に変化し始める。
その瞬間に、性行為を行うことでお前たちは子供たちの体と心に混ざり合い1つになることができる。
お前たちは、体と心の中で生き続けることになる」
「神様、質問宜しいでしょうか??」
「なんだ、槍の天使よ」
「1つになる時に子供たちの気持ちは何か関係してくるのでしょうか??」
「ああ、想いが強い分天使の力も強くなる」
「元が強い私は関係ないわね!!」
「剣の天使よ、その考えも悪くはないが、
より強くなるためには関係が大切なのだ」
「神様、私は戦闘向けではないのですが守ることができるか不安です…」
「杖の天使よ、お前の魔法でも雑魚どもは倒せるだろう。自信を持つのだ。だが、中級レベルと出会ってしまった場合は妾を呼べ」
「……ありがとうございます…助かります…」
「私たちが助けに行けばいいんじゃないですか??」
「弓の天使よ、近くにいたら助けて行ってもいいがその間に仕える子供が襲われるかもしれないぞ」
「それは…だめですね……考え無しでした」
「皆さん、頑張りましょうね!!」
「盾の天使よ、分かっているのか本当に…」
「はい、大丈夫ですよ、神様!!
私は盾なのでご主人様を絶対に守ります!!」
「まあ、いい…好きにしろ」
「はーい!!」
「続きを話す。1つになることが出来れば、この神殿に通わせ悪魔との闘う訓練や知識を学ばせることにする。
お前たちの師匠に当たる奴らに頼むとする。
16歳を迎えた者から準備に呼ぶことになる。
剣、杖、槍、盾、弓の順で16歳になる。
では、行くが良い。使命を全うしろ」
男(神様)がそう言ったと同時に、
5人の天使は飛び立った。
僕は目を覚ました。
今見ていた夢は、夢であって欲しかった。
ただの僕の妄想であって欲しい。
僕は周りを見渡した。
でも、いつも笑顔で話しかけてくれるルカがいない。
「こんなことになるなら望まなかった…
いなくなるなよ……本当に好きだったのに…」
心の声が漏れてしまった。
ルカがいなくなってしまうなんて考えもしなかった。
厳密に言うと、考えたくなかった。
ルカがいて当たり前だったんだ。
だけど、もういない。
夢では1つになったと言っていた。
僕の体に心にルカがいると。
でも、僕にはルカを感じることができない。
だから、1つになった気がしない。
嬉しくない。僕の好きなルカの姿はない。
僕はベッドの上で動けなかった。
そのまま朝になっていた。
夏休み中だったから良かったと思った。
もし、学校があったらサボる気しかない。
僕はベッドから降りてリビングに向かった。
その前に歯を磨こうと思った。
目を覚ましてからずっと口を開けてぼーっとしてたから口の中がパサパサだった。
洗面台を見て僕は言葉を失った。
鏡に写っているのは、僕だった。
だけど、いつもと違う。
それは、背中から翼が生えていたのだ。
しかも、ルカと同じ綺麗な翼が僕に生えている。
動かせ方を知らなかったが何となく頭の中で翼に意識してみた。
そうしたら、少しだけだが動いた。
その瞬間、僕は少しテンションが上がった。
「見て、ルカ!!すごくない!?!?……」
癖だった。16年も隣にいて嬉しいことや悲しいことを言ってきたから。
また、僕は悲しい気持ちになった。
歯を磨き悪いものを流そうと思った。
そして、磨き終えてリビングに向かった。
「おはよう、誕生日おめでとう!!
今日で16歳だね!!待ちに待ってたんでしょ??どう16歳になった感想は!??」
お母さんがご飯の支度をしながら嬉しそうに言ってきた。
「ありがとう…思ったのと違ったよ……
こんなことなら16歳にならなきゃ良かったよ……あはは」
「…大丈夫??まだ寝てたら??」
「いや、大丈夫だよ…ごめんね…気にしないで。強いて言うなら失恋したのかな…」
「帰りに美味しい物買ってくるから…朝ご飯はもう食べる??」
「うん、食べるよ。ありがとう…」
お母さんごめんね。変なことを言ってしまって。でも、こう言うしか今僕にはできない。
しばらく座っていると、ふと気が付いた。
翼は他の人には見えていないことを。
その後も、少しお母さんが心配していた。
何とか元気なふりをした。
僕は、また自分の部屋に戻りベッドに横になった。
ルカのことばかりを考えてしまう。
そんな時、スマホが鳴った。
カレンダーに入れていた予定のアラームだった。
そこには、ルカと遊園地と書いてあった。
今日は遊園地に行こうと思っていたんだ。
すっかり忘れていた。
ルカもいないから行かなくていいかと思い、アラームを消し、カレンダーからも消した。
カレンダーには色々と予定が書いてあった。
すべてルカとの予定だった。
16歳になったら触れることができるから、普通にデートができると思っていた。
浮かれていた。
予定を1つずつ消していく。
その内、僕は画面が見えなくなってきた。
涙が出ていたんだ。
「ルカに会いたい…」
そう呟いた。
「ルカ…??盾の天使の名前ですか??」
後ろから声がしたから僕は振り返った。
そこには、翼を広げた天使が立っていた。
ルカとはまた違う天使だった。
見た目は、ロング髪で銀髪だった。
そして、少しルカよりも身長が高くて槍を持っていた。
「なに泣いているのですか??
そろそろ行きますよ??」
「えっ?どこに??てか、誰!??」
「神殿にですよ。ほら行きますよ」
そう言って僕のことを抱き寄せて、
外に飛び立った。
「夢見たんでしょ?なら何となく分かるでしょ??」
空を飛びながら天使に言われた。
そして、夢でそんなことを言っていたことを思い出した。
ルカのことしか考えてなかった。
しばらくすると、僕の目の前に神殿が現れた。