メモタリスの支配
アンが言っていたことを思い出す。
「メモタリスは人に乗り移り支配します。
今までで、乗り移られた人を助けることは出来ませんでした。
倒し方は心臓を狙うことなのですが……乗り移られた人も亡くなってしまいます……
1番厄介です。メモタリス自体は弱いので乗り移る前に倒すことが勝つ条件です」
最悪な状況だった。
今動けるのは僕だけだった。
優斗はオーバードライブ後で動けなくなっていた。
快も気絶して動けない。
今の状況をレーナに伝えた。
「空、逃げて!!お願い…やめてね。すぐそっちに行きたいんだけど、各地で下級悪魔が大量に発生してて……だから、お願い逃げて。慶次のことは……」
「レーナ、ごめんね。慶次を置いていけないよ……」
「空…お願い……」
レーナが泣いている気がした。
これが終わって無事だったら謝らないとな。
覚悟を決めた。
メモタリスが僕の方を向いて話しかけてきた。
「その顔は知ってますよ!!戦うのですね!!良いですね!!あなたの体も貰いたいです!!」
「慶次を貸してもらう。」
「…空、最悪は」
「分かってるよ、でも、優斗、ごめん。僕、逃げる気はないよ。死ぬ時はみんな一緒だよ!!笑」
「ばーか、笑えねーよ!!これ使ってくれ。」
そういうと、優斗は剣の天具を僕に託してくれた。
「勝つぞ、空。」
「うん、勝って帰ろう。」
「良いですね良いですね!!もう全員の体を貰っちゃいます!!!!」
僕は一瞬で鎧を纏った。
と同時にメモタリスの方に向かって行った。
メモタリスは不敵な笑みを浮かべていた。
余裕な表情に隙だらけの立ち姿。
「空!!上だ!!」
「ハハハ、気付くのが遅いですよ??もう射程距離ですよ!!」
頭上から無数の矢が豪雨のように降って来た。
矢1本の強さが慶次よりも重く強かった。
鎧がどんどん剝がれていく、が、すぐに鎧を生成する。
(威力が強すぎる。強度の意識を上にもって行かなきゃ死ぬ・・・。)
「凄い!!凄いですよ!!!!まさかこれを耐えれるとは!!でも、上ばかりに気を取られていませんか??体を頂きたかったのですが、この体で満足しているので殺すことにしました。」
その瞬間、正面からも無数の矢が飛んできた。
「空!!!!逃げろ!!!!お前だけでも今すぐ逃げろ!!!!」
(あっ、無理だ。流石に止められない。・・・優斗、快、慶次ごめん。逃げるべきだったかな。僕は・・・何も守れないのか。)
僕は、目を閉じた。
「空・・・諦めちゃダメだよ。私を守ってくれるんでしょ??空が死んだら私も死んじゃうよ??自分を信じて。空はできるよ。みんなを守れるよ。
だって、盾の天使の継承者だよ!!・・・信じているよ。」
懐かしい声が聞こえた。会いたくて会いたくてたまらない、大好きなルカの声だ。
(はあ、勝手なこと言ってやがる。どうすれば良いんだよ。前からも上からも矢が飛んで来ているだよ。ルカなら全部守れるのかよ・・・。ルカならできるかもな。もう少しだけ、頑張ってみるか・・・。)
ガチャガチャガチャガチャガチャ!!!!
ドカドカドカドカ!!!!
無数の矢が地面に刺さり砂煙が俟った。
「ハハハハハ!!最後、あの方諦めましたよ!!可哀想ですね!!ハハハハハ!!」
メモタリスは高笑いをしていた。嬉しくて堪らなかった。
メモタリスは人が諦める姿が一番興奮するからだ。
だが、すぐに笑うのを止めた。
「なんですかあれは・・・??」
砂煙が晴れたことで見えてきた。
そこには、盾が半円状で空を囲うように守っていた。
「やってみれば、できるもんだね。」
「そんな使い方するなんて!!素晴らしい!!!!」
「今、油断したね??」
その瞬間、僕は全速力でメモタリスの方に向かった。
メモタリスは、焦ったのか矢を出さずガードするポーズをした。 矢を出さなかったことで、近づくことが出来た。
「空やれ、俺の天具でぶった切れ!!!!!!」
僕は、メモタリスの首元を狙って振りかかった。
「このまま、切れば、慶次さんは死にますよ??」
メモタリスの首手前で手が止まった。
「できないですよね!??切れないですよね??だって、死んでしまいますもんね!!」
そう言いながら、矢を僕の右腕に放った。
僕は勢いよく後ろの壁まで飛んで行き突き刺さった。
「私は別に首を切られようが死にませんが、この肉体は死に至りますよ!!ただ、顔がなくなると不便なのでやめて欲しかったのです!!さあ、もう私に攻撃することもできないですね。
この体を取り返すんですよね??私を殺せば取り返せますよ!??ただ、心臓をやらないといけないのでこの慶次さん
も死にますがね(笑)それは、取り返せてないですよね(笑)
私の勝ちですね!!ハハハ!!!!楽しい!!楽しすぎる!!」
どうすれば良いのか分からない。
右腕に刺さった矢を見つめながら慶次のことを考えた。
「慶次…僕はどうすれば良いんだよ……
乗っ取られたのが自分だったら良かったのに。
その時は、慶次に約束してあるのに。
……違う…慶次からも約束されていた。もし、乗っ取られることがあった時は宜しくって。忘れていた。いや、受け入れたくなかったんだ。でも、それじゃ約束が違うね…。
ごめんね、慶次。終わらせるよ。」
僕は矢を抜き、左手でその矢を握った。
やるならこの矢だと思った。もう迷いはない。
「まさか、殺すのですね!!良いですね!!
来なさい!!!!」
「行くぞ!!メモタリス!!!!!」
勝負は一瞬だった。
メモタリスから無数の矢が飛んで来るが、全て見えていた。
「なぜ、当たらないのですか!?!?意味が分からない??たった数秒で何があったのですか!?覚悟が違うとそこまで変われるものなのです!?!?」
「慶次はこんな適当に矢を放たないよ…それにそうかもね。
さっきまではどこか覚悟が足りなかったかもね。」
「やばい…いつの間に……!?」
「返してもらうよ。…ごめんね、慶次。」
矢の天具をメモタリス、いや、慶次の心臓に刺した。




