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カツサンド食べたかったなぁ

作者: 夢見るモリコ

私は一人で珈琲でも飲みながら本を読もうととあるカフェに立ち寄った。


私が座った席は一番角の席で広く全体が見渡せる席だ。


私は数多くのメニューの中から珈琲とミニサラダを注文した。


その間に本を読んだりトイレに行ったりして注文していたミニサラダと珈琲が来るのを楽しみに待ち焦がれていた。


まもなくして注文していたサラダと珈琲が届いた。サラダにかけるドレッシングが2つあり醤油ドレッシングかオリジナルドレッシングが迷ったり、スマホの写真アプリでこのフィルターレトロ感あって似合うなとか味を堪能したりして一人で楽しんでいた。



そんな興奮の最中、細い女性が視界にはいる。

細い女性は、ワイシャツをきて、茶色のロング髪、どこかの営業マンのような風貌であった。


彼女は珈琲とカツサンドを注文していた。


ここのカフェのカツサンドは人気メニューで、


揚げたてのビックカツを濃厚味噌ダレをふんだんにかけシャキシャキのキャベツとふんわりしたパンにはさんだものがお皿にのって3つも届く。

これで880円!


私が体型なんて気にしていなかったら、速攻で頼みたいメニューなのである。


彼女にも珈琲とカツサンドが届き、我慢している私からしたら凄くカツサンドがキラキラして見えた。


私はサラダを食べながら、


細い女性がこんなにガッツリ食べるのだと思い、でも細いっていうことは、「夜食べないのかな」とか、「痩せ体質なのかな」なんてくだらない事をずっと考えていた。


そんなカツサンドもあっという間に残り1つになっていた。


珈琲とサラダだけでは物足りず、「あぁ、私もカツサンド頼みたいなー」なんて思っていた。


彼女は珈琲を飲みながら動画を見だした。


私はカツサンドは彼女にとって最後のお楽しみなのかなと最初は思っていた。


私がサラダを食べ終わった頃まだ、カツサンドは残っていた。

そんなカツサンドがどこか寂しげな表情にも見えた。


「私だったらこんな寂しい思いさせないのに」


なんて、どっかのダメ男が彼氏持ちの女に口説くようなセリフが頭の中でふと浮かび、そんな、チャラそうな男の心境が何だか分かった風に思えた。


彼女がふと時計をみて表情が一変した。

のんびりとした柔らかい表情がシャッキっとした熱意を感じられる表情に変わった。

彼女は今から仕事なんだなと私は確信した。


なら、この残った彼はどうなるのだろうか。

持って帰ってもらえるのかな、それとも、、、


そのまま彼女は何事もなかったかのように帰っていった。


私は彼の運命を察した。


彼の気持ちが痛いほど伝わってきて私も見ているだけで辛くなった。


もしも、君と出会い方が違ったら、

私は笑みを浮かべながら彼の写真をとって、皆にインスタのストーリーで自慢をし彼の魅力を最大限最後まで生かせられる自信しかない。

そして最後まで彼を愛し続けられる自信しかない。


もし、彼の来世で私と出会えたなら、

私が彼を優しく包み込んであげたい。

また君と出会うことができたら私は君のことを誰よりも大切にするよ。


そんな風に思いながら私はカフェを後にした。







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