告白
「ぷはぁー」
酔いがいい感じに回ってきた。戦って、勝った後の食事は格別だなぁ。
「ゴホン」
いきなり、ブライスが大きく咳払いをした。
「みんなに話がある」
「何を改まっておるのだ、ブライス殿」
「そうだよ、どうしたのさ?」
さっきまで酔って騒いでたのに、急に真剣な顔になっちゃってさ。
「俺とルチアはパーティーを抜ける……つもりだ」
「急にこんな事言ってごめんなさい。その、私達、故郷の町に帰ろうと思って」
頭から冷水ぶっかけられた気分だ。このタイミングでパーティ脱退宣言は……思いもよらなかった。だってさ、ちょっと前に昇級試験に受かって、一等探求者になったばかりなんだよ?最上位の探求者になった所で辞めるってさ、普通はないよね。あ普通じゃないか、今は戦時中だ。
「一年前に、魔族との戦争が始まっただろ?アシリアが一体の悪魔にに滅ぼされかけた話は聞いた事あるか?」
「うむ、そういえば……。かなり大きい都市であったな」
そういや1週間くらい前だったか、その話で持ちきりになった時があった。
「俺達の故郷はその都市……ではなくその隣の町なんだ」
「それで、心配だから帰ろうと思ったの」
二人の表情を見れば、悩んだ末の決断であることはわかる。本音を言えば抜けられると困る。でも、引き留めづらいよね。私には故郷はない。今は守りたいものなんて自分の命ぐらいになってしまった。まあ、昔は仲間やらなんやら、守りたいものも沢山あった。だから二人の気持ちはよくわかる。ダリウスはどう思ってるんだろ。
気になって隣の彼を見上げる。縦に割れた瞳孔が怖いのはいつものこと。特に怒った様子はないな。
「その様な理由なら致し方あるまい。某は二人の無事を祈っているぞ」
そう言うなり、骨付き肉を頬張り始めた。相変わらずのマイペースだ。というか今ので抜ける方に流れが傾いた気がする。それに、もし今二人を引き留められたとして、後で彼らの故郷が滅びでもしたら非常に気まずい。
経験値稼ぎの効率は落ちるかも知れないが、仕方ない。ここは引こう。
すう、と大きく息を吸う。内心を覆い隠して、笑顔で口を開いた。
「こんなご時世だしね、まあ仕方ないよね」
私の返事を聞いて、ルチアとブライスの表情が緩んだ。
「ありがとう、フィー。それにダリウスも」
「急にこんな話をして済まないな」
ブライスとルチアは揃って頭を下げた。
「何、気にすることはない」
ダリウスが首を横に振った。
四人で集まるのもこれが最後か。だったら、最後くらいはね。
空元気で勢いよくジョッキを高く持ち上げる。
「それじゃ、打ち上げと送別会を兼ねて、もう一度乾杯!」




