表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Girls Kiss  作者: mimuka
1/13

遊びのキス

ちゅっ


…あっ、キスって音がするんだ。


って、冷静に考えている場合じゃない!


「えっ…何?」


私は目の前の少女に声をかける。


そう『少女』。私と同じ、オンナノコだ。


なのにいきなりのキス。


…ありえなくね?


「えへへ」


なのに彼女は満面の笑顔。


「だぁってしたかったんだもん。遊び遊び」


笑顔のまま背を向け、そのまま教室から出て行った。


…何なんだ?


今の状況を思い返してみると…。


そう。放課後、日直の日誌を書いていた私に、彼女が声をかけてきた。


彼女は忘れ物をして、教室に戻って来たと言っていた。


教室にはすでに私達以外、誰もいなかった。


他愛も無い会話をしていた。


なのにいきなりのキス。


…はっきり言って、分からん。


彼女は今時の格好をしていて、お人形さんのように可愛い。


私は真面目な格好で、…まあ可愛いまではいかなくてもフツーの顔だ。


いつも一緒にいるワケでもなし、会話なんてホントにクラスメートだから最低限しかしたことがない。


なのに何故?


理解できないまま、数日が過ぎ―。


彼女は私と二人っきりの時や、人気の少ないところでキスするようになった。


………やっぱり何故?


聞こうとしても、彼女はキスするとすぐにどこかへ行ってしまう。


別にイヤではない。


イヤじゃないけど…このままじゃ、さすがにいけない気がする。


いつもの学生生活では、ほとんど会話も接点も無いのに、キスだけ…の付き合いってのは流石に…。


思い出すだけでも、顔が赤くなる。


彼女の甘いリップの味とか。


柔らかな唇の感触。


それに…微かな彼女の匂い、とか。


さすがに意識せずにはいられない。


なので放課後、帰ろうとした彼女を捕まえた。


ちょうど一人でいたので、捕まえやすかった。


「ちょっと良い?」


「えっ…」


私達は誰もいない教室に移動した。


「あのね、キスする理由を聞きたいんだけど…」


彼女は明らかにバツの悪そうな顔をした。


「遊びなら、そろそろやめてほしいと思って…」


「あっ遊びなんかじゃない!」


いつもの彼女からは考えられないほどの大声と剣幕に、ビックリした。


「遊びなんかじゃ…ない」


そう言って涙ぐむ。


「じゃあ、何でキスするの? 理由も分からずされてる方としては、そうとってしまうのよ」


「…きだから」


「えっ?」


「好き、だからぁ…」


ボロボロと涙を流す彼女を見て、思わず可愛いと思ってしまう。


「…なら先に言ってほしかったわね」


「えっ…? でも…」


「私はね」


彼女の頬を両手で包み込んで、にっこり微笑んだ。


「可愛いコ、好きなのよ」


「…ふっ…!」


またボロボロと泣き出す彼女に、今度は私からキスをした。


涙の味と共に、彼女の甘い唇の感触が伝わってきて…

ああ、やっぱり可愛いコは好きだと実感した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ