表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

『半脳少女の娘』その二、自治区の重鎮たち

 おひさーしぶりです!

 脳みそ弄ってからも記憶力やら問題ありませんよ!


 コロナによる事業所閉鎖のせいで転職やらして忙しかったけど落ち着きました。


 活動を徐々に再開です!

 


 ソファーから立ち上がり、デスクに着いた鈴木さんの外線への応対が続く。

 私も総帥も秘書さんも、どこか表情緩く、聞き入ってますわぁ……。


 ウチらの耳には入ってましたけどねぇ……。


「えぇ。それでは始まった可能性があると捉えて宜しいですね?」


 ついにこの自治区長室にも連絡が入りましたかぁ……。ウチらがざっと聞いたよりも大きな意味合いを持つ病院から自治区への連絡。


「はい。注視の上、(つぶさ)に連絡をお願いします」


 急患への血液投与から1週間。


「えぇ、はい。それでは失礼致します」


 患者の意識は戻らず、状態は改善しない。それどころか、徐々に増悪している。じっくりと瀕死の体を蝕んでいる。


 ……島井先生の経験則による見解。


 通話、終わりましたねぇ。


「鈴木君!! 君にも連絡が届いたか! 川谷くんも島井くんも始まったと確信を得たのだろう!!」


 総帥さん……。声が大きいですわぁ……。


「見事な条件だ! そう思わn「肇さま? 少々、声量を落として頂けると幸いです」


「うぅむ……。すまんかった……」


 遙さん、便利な方ですねぇ。痒いところに手が届きました。


「だが……」


 声量を落とされましたねぇ。本当の支配者は遙さんなんですかねぇ……?

 向かい合うソファーに戻り、上品な所作で自治区長がウチの隣に戻ってこられた。優しすぎる微笑みを湛えて。


「本当に……。良い条件ですね。まだまだ症例が足りなさすぎですが、今回の子が再構築を果たしたとして、憂さんを含めて2例目。いずれも脳への甚大なダメージ……。これが条件だとすれば、憂さんの望む『安易な再構築の抑制』に繋がります」


 やっぱり鈴木さんも賢い方やわ。連絡を受けたばっかりでもう頭ん中、纏まってますねぇ。


「はははっ!! やってくれたわ!! 儂の望んだ通りの展開だわ!!」


「はい。狙ったかのような100点満点の条件でございます。このまま再構築を成し遂げて頂き、蓼園商会に投資した御老人たちには諦めて頂きたいものです。ところで肇さま。もう静かに出来なくなりましたか?」


「「………………」」


 ……静かになってしまいましたねぇ……。


 …………。


 ……せやねぇ。

 蓼園商会とこの蓼の花自治区は世界中への利益の還元という約束を果たしています。この蓼園さんの行った宣言通りに。

 問題だったのは、『自身に不老不死を』。これを望んだ権力者。とりわけご老体となった連中たち。


 きっとこれまで五月蠅(うるさ)かったはずです。そう考えると、総帥さんの興奮もようわかる。


 ―――再構築を自身に。これにより若返りを。


 実行しようと思えば、頭部を破壊してみねばなりませんからねぇ。このままだと。


「ちなみに総帥さん? 1つ聞いてみてもええですかぁ?」


「どうした? 影の宰相殿が今更、儂に質問か? 梢枝くんにも全てが見えているだろう?」


 不敵な嗤いですねぇ。その呼び方、やめて下さい。誰が言い始めたんでしょうか……。

 ……っていうても無駄ですから言いませんけどねぇ。この人は憂さんと遙さん。千穂さんの3名の言うことしか聞きません。次点で文乃さんも……?


「聞かないのか?」


 ……ムカついてきましたわぁ。


「総帥さんは、再構築の発生条件が簡単だった場合、どうするつもりだったんですかぁ?」


「君は儂がどうしたと考える?」


「………………」


「肇さま……」


 遙さんはこちらをチラリ。そっとゆっくり大きく頷いた。


「面倒くさい方ですねぇ……」


「…………!」


 ……あれ? ウチもこれから少し貶してええんですかねぇ? 遙さん、満足そうやわ。総帥さんて、案外マゾヒストか何かなんですかねぇ? 文乃さんも強気な場面、よう見るようになってきてるし。


「『憂くんの意思優先』。貴方はそう言い続けておられますからねぇ。ですから、条件が単純かつ安全だった場合、隠匿してたんやないですかぁ? 誰もが再構築可能な世界は、憂さんの仰る通り秩序がなくなりますので」


「……そうだな。また言い当ておったわ」


 残念そうにするなら最初から自分で教えてくれればええんですけど……。


「その場合、実に危険でした。憂さんではなく、自治区がです」


 ……遙さんの安堵の混ざったひと声。

 そうでしょうねぇ。連合に入る持参金を幾らに設定していたのか知りませんけど、かなりの額面だったはずですわぁ……。

 不老不死の夢に繋がる事実を隠し、バレたとしたら……。


 ……考えるんも怖いですねぇ。下手したら戦争起きますえ?


「何はともあれ最高の展開だ!! 自分の頭を破壊し、失敗したところで自己責任!! 再構築を為し得る者など少なければ少ないほど善い!!」


 わかります。わかりますが……。


「「うるさ……」」


 思わず途中でやめてしまうウチと遙さん。

 ……被ってしまいましたねぇ。いつからか、気が合うようになってしもうたわぁ……。


 ウチらにうるさい言われかけた総帥さんは、マジ顔で鈴木さんへ目線を送る。誤魔化しですかぁ……。


「そう言えば、君の秘書は大人しくしているか?」


 ………………。


「呼びましょうか?」


「肇さま? 梢枝さまは未だ、あの方が苦手なご様子です」


 ……フォローされてしもうたわ。東宮 桜子。自治区長秘書。

 あの人はいけませんわぁ……。何を考えているのか掴めないのは相変わらずです。


 でもまぁ、憂さんが成長しないことには無理に手出ししません。これが結論です。あの人はどれだけ時間をかけてでも……と、考えてますからねぇ。

 成長し始めてしもうたら……焦って何をやらかすか分からないんですけど。


 アレはアレで有能ですし……。能力は……。


 ……能力だけは。


 ―――コンコン


「あ、はい。どうぞ」


 区長! そないに条件反射みたいに!

 総帥にその懐刀、区長に影の宰相とか呼ばれてるウチが「失礼致します」


 あぁ……。

 まぁ、悪いことしているわけでもありませんし……。


「あら? これは凄いお顔触れですね。皆さま、お久しぶりです」


「うむ。久しいな」


「お久しぶりです」


 桜子さん。


「お久しぶりですねぇ……」


「はい、3日ぶりですね」


 ……。

 …………にっこり。下手に綺麗でムカつくわぁ……。総帥さん方スルーしてウチへの揚げ足取りですかぁ?


「梢枝さまにしては長く期間を空けられました」


 それはすみませんねぇ。

 千穂さんも憂さんの成長を促し始めたそうだし、やっぱり再警戒開始しないといけませんねぇ。


 ……。


 なんや、えらく穏やかな表情されてますし……、どうしたんや? この人。


「東宮さん? どうされましたか?」


 …………?


 もしかして、再構築した人が増えたならそっちに矛先向くなんてことありませんかねぇ?

 それならウチらとしてはありがたいんですけど……。


「お客様がご訪問なさってます」


「東宮さん? さっき貴方が仰った通り、今日はこの顔触れですよ? 謂わば、自治区トップの集まりです」


 鈴木さん? ウチは違いますえ?


 軽い叱責で済ませた区長さん。

 この桜子さんの就職。正直、どうしたものかと。医者にでもなるか思うてたんやけど、自治区を離れんかったし……。医学部の設立のタイミングが悪かったのか良かったのか。千晶さんにはベストだったんやけどねぇ。桜子さんは1個上やし。内臓好きなら外科医なってください……。


 でも本人にその気なし。

 ……自治区長さんの(もと)におって頂くのが今のところベターですかねぇ?


「えぇ。だからこそ、直接こちらへ、お連れ致しました」


 ……面子、知っとるやないですか。


「どうぞ、お入り下さい」


 開いたままのドアにひと言。

 姿を見せたのは……。


「――おじゃまします」


「失礼します。こんにちは」


 ……憂さん。千穂さん。


「憂くん!! 千穂くん!!」


 いつも通り可愛い2人ですわぁ……。


「こんにちは」


 遙さんは、立ち上がり深々と一礼。自治区のシンボル相手ですからねぇ。

 閉まるドア。康平さんはドアの向こうで待機ですかぁ……。


「梢枝――! げんき――?」


 ええ笑顔。嬉しいですねぇ……。総帥さんへの挨拶もそこそこに……やし。


「元気です……。憂さんは……歩いても……?」


「――うん」


「1週間しか経ってないんですけどね。憂が歩きたいって……」


 千穂さんの苦笑い。手ぇ繋いでるし、ええんやないですかねぇ? 車椅子も不便でしょうし。


「そうかそうか! これで何度目だ!? 憂くんの血を分け与えたのは!」


「自治区成立以降では10度目です。通算では圭祐さま以降、12度目ですね」


 ……その結果は、10勝1敗。

 重体患者へは2勝1敗ですねぇ……。


 それくらい覚えていてください。総帥。


「ところで急にどうした? 予定になかっただけに儂としては喜ばしい限りだが」


「憂が急に聞きたいことあるって……それで……」


「……ふむ? 千穂くん。既に聞いているのか?」


「憂? 私が聞いても……?」


「――うん。おねがい――」


「……その前にお座り下さい」


 ……せやね。まだ貧血も全快してないやろうし……。







 桜子さんは後ろ髪を引かれつつという感じに退室。

 遙さんは立ち上がったまま、憂さん千穂さんに席を譲りはった。


 ……ウチ、座っててええんやろか?


 憂さんが隣なお陰で、総帥さんの顔がだらしなくなったしええやろ。


「憂は、今回の献血相手の容態が気になるそうです。島井先生も言葉を濁しちゃってるから、総帥さんに直談判……ですね」


 千穂さん。堂々しすぎです。もう王妃の貫禄言うてもええんやないってレベルですわぁ。


 ……憂さんが王でええんですよね? 元々の性別的に。


「現在、面会謝絶ですね。崩壊期に突入したと考えるとドクター島井の判断に間違いはないかと」


 崩壊期ですかぁ……。こればっかりは避けて通れないかもしれない再構築。

 憂さんが面会したい言うてもさすがに……。刺激が強いし、憂さんも自身の場合を思い出しそう。千穂さんにも良くないでしょうし……。


「まだ……。わからぬ……」


 へぇ……。総帥さん、はっきり伝える腹積もりのようですねぇ。


「一命を……取り留めるやも……しれん……」


「……助かるかもって。でもまだ、はっきりしない……みたい」


「むぅ……」


 ははは……。蓼園さん、悔しそうですねぇ。

 やっぱり千穂さんと愛さんには勝てません、ウチも憂のお母さん()さんも……。


「――そう? たすかると――いいね――」


 しょんぼり。俯いてしもうた。

 憂さんはやっぱり助けたいんやねぇ。その様子を見て、握ったままの手に力を籠める千穂さん。


 ……この子ら純粋で恥ずかしくなるわぁ。


 さっきまでウチら、この条件下、再構築の再現が出来たら最高とか……。損得勘定してたしねぇ……。


「「「………………」」」


 ……みんな同じこと考えてはるわぁ。元・看護部長さんまで。


「――それで」


「……ん?」


「たすかったら――」


「助かったら?」


「せいべつ――かわる――?」


 ………………。


 まぁ、気になるところでしょうねぇ。


 でも、憂さん的に欲しい『2人目の性転換』は難しいでしょうねぇ。


 渡辺センセの話では、再構築の際、憂さんは皮膜の中で胎児のような状態に戻っていた。

 胎児の性別は元々女性体。そこからのエラーで憂さんは性転換に至ってしもうた。


 ……だとすると……。


 今回の患者さんは女性。


 わざわざ胎児に戻ってからアレ生やすことは無いですわぁ……。


「もしね――?」


「憂? ……よく話すね」


 総帥さんから千穂さんに目線をシフトされた憂さんは儚い笑顔。

 ウチ、これに弱いんや……。





「たすかって――」







「せいべつ――かわったら――」









「おしえてあげる――」










「こまると――おもうから――」









「いろいろ。いっぱい――」









「……きっと。助かりますえ?」




 その時には、総帥さんは今度こそ隠居してしまいますけどねぇ。

 再構築の再現。これだけが彼を気掛かりだった、最後の問題ですから。



 ……隠居したらいよいよ黒幕になれますえ?



 影からこの自治区と世界経済を支配するんですわぁ……。





 少し早いけど……おめでとう……ですかねぇ?




「そうだね。憂は……」



「性別変わった……先輩だから……」



「相談乗ってあげようね」



 ……千穂さんも……ですね。

 貴方も大切な人が変わってしまった先達として、聞いてあげるべき立場ですわぁ……。



 上手いこと相談乗りはるでしょうけど。




 千穂さん、実は自治区最強だし。












 面白みには若干、欠けていたと思いますが、きちんと「After」も書かないと……と、いうことで。

 真面目な話を書いちゃったぶん、次回投稿は早めに。

 書きたかった修学旅行の話あたり書きたいと思ってます!


 ……忘れた頃にならないように頑張りますw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  久々の投稿お疲れ様です。  作者様の作品はとても印象に残っているので、1年後でも2年後でも、忘れた頃でも大丈夫。  コロナ禍は皆、一通りワクチン接種されないと収束されないのでしょう。。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ