EPISODE2 理子:side 〜黒い部屋〜
ここは、何処なのか。一瞬考え、暗闇に気付く。
「陸、起きてる?」
陸は返事の代わりに、小さく震えている。
「陸?」
もう一度、問いかけた。
「まさか・・・・・・っ!! 起きてたの?」
「いま起きたところよ、それがなに」
「・・・・・・ま、前を見て」
言われたまま見ると、赤い扉がある。
それ自体は当たり前の事だ。驚く事もない。いつもなら二人が目を覚ました所で、このまま放置すれば起こるであろう結末を見る事になる。それがないまま、赤い扉が既にあるという事は。
「ノーヒントだって言うの?」
「うん。それと・・・」
陸はすっと目の前に腕を出した。腕時計白色系の淡い光りを放ち、99と点滅している。
「これって、確か・・・?」
「帰れるんだよ、理子ちゃん」
陸の声は沈んでいる。
「陸は、嬉しくないの?」
「違うよ。そんなに簡単じゃないと思って・・・それだけだよ」
明らかに陸の様子はおかしい。
「大丈〜夫! アタシがついてるんだからっ」
ばしんと肩を叩く。
特に反応のないまま、陸は口を開く。
「理子ちゃん、この前の人・・・ママだって気付いてた?」
「・・・この前って、火事のヒトが?」
若いし、体型も違うけど・・・まさか?
「そう」
あっさりと言う陸に軽く怒りを覚えた。
「何で、先に言わないのよ!」
「・・・最初は、僕の勘違いだと思ったんだ。ごめんね」
陸の口調は重い。
「次は・・・・・・パパだと思う」
陸はきっぱりと言った。
「な、なんで?」
「仲が良いのに帰らない旦那さん、変じゃない」
「でも・・・」
陸の口調が重い理由を理解した。
次に失敗したら、パパが居なくなるかもしれない。
アタシと陸は、あのアパートに居なかった。
だから・・・なんだ。
「ごめんね、陸。アタシ・・・」
「二人で考えれば大丈夫だよ。だから、先に話したんだ」
その話し方はいつもの陸だった。
「もしかしたら、違うかも知れない。行こう」




