EPISODE0 〜白い扉へ〜
「あら、やだ。鍵忘れちゃったのかしら?」
玄関で立ち止まったママが言った。
「ママ、ちゃんと鍵かけないとダメじゃない」
理子ちゃんが言う。
「パパには内緒よ。おやつ奮発するから」
「僕、イチゴのケーキ食べたい」
「理子も〜」
ママは肩をすくめ、ドアを開ける。
「「ただいまぁ〜」」
理子ちゃんと並ぶように中へ入り、キッチンへ向かおうとした。後ろから、ママの声がする。
「公園に寄ったんだから、ちゃんと手を洗ってきてね」
「「分かった〜」」
そのまま、キッチンより奥にある洗面所へ行き、手を洗う。
「パパ、びっくりするかな」
「・・・・・・え」
理子ちゃんが、びくっとした。
「どうしたの?」
「・・・なんで勝手に決めたの?」
理子ちゃんが腕時計を差し、目が怒っている。
「本当だったら、どうするのよ!」
「本当でいいじゃないか。僕は・・・っ」
叶えたい願いがあるんだから、を飲み込み黙る。
「なぁにぃ〜、痴話喧嘩ぁ?」
隣からのんびりとしたママの声。
「・・・陸が悪いんだから!」
ムッとした声で理子ちゃんが答えた。
「理子は根に持つから。陸、謝っといた方がお得よ」
「僕、謝らないよ!」
そう言って洗面所を飛び出し、走り出した。
「あっ、こら。反抗期かしらね、理子? あら?」
二階へと駆け上がり、僕と理子ちゃんの部屋のドアを開けたはずだった。
「・・・・・・え?」
「陸ぅーーっ!!!」
理子ちゃんの声が聞こえた気がした。




