EPISODE0 〜青い扉〜
青い扉を開け、先へ進む。
出た先は、子供部屋。
無感動に一瞥すると、茶色のドアを開け廊下へ出る。こちらでは、物に触れる。
前に俺が見えた住人に、警察を呼ばれたり、揉み合いになったりもした。別に俺自身は怪我もしないし、痛くもないのだが。
良い気分のするものではない事は確かだ。
階段を降り、一階の玄関へ行き、すぐに外に出る。
後は白い扉が現れるまで、時間を潰すだけだ。
歩いてすぐ、小さな公園があった。小さな滑り台、砂場、ベンチ位しかなく、誰も居ない。
「ちょうど良い」
ベンチに自分の腕を枕に、横になる。
眠れはしないが、目を閉じ、ただ時間が過ぎるのを待つ。
「お兄ちゃんが光ってる・・・」
「これから、変身しちゃうんじゃない?」
「うん、それで悪い奴をやっつけちゃうんだね!」
すぐ近くで声がし、目を開けた。ぱっちりした瞳のショートカットの男の子、似た顔立ちのツインテールの女の子が覗き込むように俺を見ている。
ふと、公園の入り口近くの主婦の一人と目が合った気がしたが、何事もなかったかのように井戸端会議を数人で続けている。
「あ、起きた」
「ねぇ、急がなくていいの?」
なんのことやらと思い起き上がると、腕時計が赤い光を放ち999の数字を点滅させていた。
ふと、脳裏にある事が浮かぶ。
「・・・・・・人生を賭けて、運命を変えてみないか? 100回変えれば君の勝ち、望みは何でも叶う。1000回変えられなければ君の負け、ゲームオーバーだ。後継者を見つけ次第リタイアはいつでも出来るがペナルティは覚悟してもらおう。やってみないかい?」
言いながら、血の気が引くのを感じた。
「お兄ちゃん、何言ってるの?」
女の子が小首を傾げた。
「ヒーローになれるの?」
男の子はきょとんとしている。
「あぁ、困った人を助けるんだよ。君に出来るかな?」
よりにもよって子供だなんて。内心、舌打ちしたいのを堪えて、笑顔を作る。俺には・・・後がない。
「僕、出来るよ。ヒーローになる!」
「ねぇ、陸。帰ろうよ?」
心配そうに、陸と呼ばれた男の子の腕を女の子が引く。
幸い、腕時計はすんなり外れた。
「ほら、右手を出して」
男の子はおずおずと腕を差し出した。
焦る気持ちを抑え、腕時計を着ける事に成功した。腕時計は男の子の右腕に収まっている。
「白い扉が開いたら、中へ入るんだ。じゃあな」
目の前に黒い扉が現れ、逃げるようにその場を去った。




