表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

一つの結末

「カッコつけたがるのは遺伝、か」


小さく呟くと、来た道を引き返す。


何が起こるか分からないが、亜希子には話しておくつもりだった。


アパートの自室の前で、ふと立ち止まる。


ドアの色が違う。


アパートのドアは統一された暗い青、それが目の前にあるのは不思議な光沢のある白い扉。きちんと、ドアの場所に収まっている。そんな風だった。


俺はドアを開けるのを止め、携帯を手に取った。


画面左上に表示されたのは“圏外”。


「くそっ」


とりあえず、ショートメールで送信してみるが、やはり無理だった。


それならばチャイムを押して、出てくるのを待とう。


ピンポーン。


独特の音がして、内鍵がガチャリと音を立て、中から扉が開いた。


しかし、中は真っ暗で亜希子の姿は何処にもなかった。

仕方なく中に入り、目が慣れると白いソファーが近くにあった。

躊躇いもなく腰掛け、手にした鞄を置く。

左足を上に足を組んでいたら、目の前に不思議な画面が浮かび上がった。


良く見ると、理子がマグカップの乗ったお盆を片手にドアをノックして中に入った。

どうやら、飲み物を届けたようだ。

季節は冬なのかフリースを着ている。


画面は切り替わり、陸が男の子から少年と呼べる年齢まで成長していた。机の上には、先程のマグカップが置かれている。

椅子に腰掛け、勉強をしているように見えた。

が。何を思ったか、ベッドに倒れ込むようにして、目を閉じてしまった。

しばらくすると、理子が部屋の中に入り、手にした灰皿を机の上に置くと、ポケットから煙草とライターを取り出した。

しばらくそのまま火を着けようとしていたが、口に加え、火が着いたところで灰皿に立て掛けるようにして置いた。

少し咳き込んでいる。

 

何を、してるんだ?


そして、眠った陸の傍らにちょこんと座ったまま。

時折、顔を覗くようにして見つめている。



その内、陸が顔を上げ起き上がるようにするのを、留めるような理子の後ろ姿。

何を話しているのかは、分からない。


画面左端が少しだけ明るく見える。


陸が上半身を起こして、両手を広げた。

それに、理子が顔を埋めるようにしてから二人の顔が近付く。


やがて画面左端から、煙のようなものが上がり始め、画面を隠してゆく。


火事、じゃないのか。

確信したのは、オレンジような色の影がゆらゆらし始めたからだ。


―――何故、逃げない?


二つの影は重なるようにして、煙の奥に僅かに見えた。


突然、画面は切り替わり一軒家をと言うより、亜希子の肩に腕を回した俺達の後ろ姿が映っている。


そして、画面の俺が家の中へ入ったところで、映像は途切れた。 


―――どう、なっているんだ?


陸が凶行に及ぶのではなく、理子に変わっていた?

思い詰めていたのは、陸の方に見えた。

理子が思い詰める状況に、現実が変わってしまった?


最後に、俺は中へ入った。


―――つまりは、3人が犠牲になるのか。


亜希子は助かる、それだけは救いだが。


最後に見た二人は、幸せそうな笑みを浮かべていた。


・・・それで、良いはずがない。

もっと他に、幸せになれる道があるはずだ。


約束したのだから、結末を変えてみせる。


そう、決意した。




時の狭間で。

〜THE・END〜

正直、完結出来てホッとしています。自称、気まぐれなので。長文お付き合い頂き、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ