EPISODE3 陸:side 〜可能性の扉〜
僕は声の主を見上げた。
「・・・ほっといてください」
パパはおやといった表情で、右眉を釣り上げた。
「さっき、パパって呼んだくせに。一部始終を見てたけど。何があったんだ?」
パパはそう言いながら、扉に付いているノブに手を伸ばそうとした。
「触っちゃ、だめっ!」
慌てて腕を掴む。いきなり開けようとするなんて。
「冗談だよ。深刻そうに見えたからさ。パパに話してよ?」
ふぅっと息を付く。
どこまで理解出来ているのか。話した所で笑われる。そんな思いが、口を重くした。
「別に嫌なら、それでいい。なんか迷ってるなら、一緒に考えてあげても良いよ。それだけ」
僕は迷った。もし正直に話したとして。目が覚めたら、なかったことになるなら。
「長くなるので、会社を遅刻しますけど。本当に良いんですか?」
パパは気にしてなかったのか、表情を変えなかった。
「ああ」
と、短く答えた。
すぐにポケットから携帯を取り出して、電話を掛けた。
「これで良い?」
あっさりそう言った。
「・・・お前も馬鹿だよな」
そう言って、パパは口の端を少し上げてにやりと笑う。
「ど、どうして?」
いきなり予想外の言葉だった。
「ん? ちゃんとその理子ちゃんと話して決めれば、上手くいく方法があったかもしれないって言ったんだよ。まあ、今更だけどな」
その通りだったので、ただ項垂れた。
僕は理子ちゃんに、本当の事を話す勇気がなかった。
「可能性はあるんだから、諦めるなよ」
パパが僕の肩をポンと軽く叩いた。




