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EPISODE3 陸:side 〜追憶の扉〜
黒い部屋で、僕は見た。
台所でママに手を掛け、次にパパを。
包丁を手にして、理子ちゃんの部屋へ。
そして。
僕は理子ちゃんを刺して、自分を刺した。
信じられなかった。
それだけは出来ない。
そう思って。
黄色い部屋で、僕は悟る。
一つは、黒い部屋で見た結末。
もう一つは、僕が望んだ結末。
だから。
だから。
僕が僕である限り、辿り着く結末。
だから、僕は嬉しいと思ってしまった。
それでも、縁が続いた事を。
だから。
定め、なんだろうか。
僕は理子ちゃんを止められず、呆然と立ち尽くした。
力ずくでも、止めるべきだったのに。
心の何処かで、僕はそれを望んでいたのかもしれない。
「あはっ、バカだよねえ。何やってんだか」
近くにあった駐車場のフェンスを思い切り殴り付け、身体を任せる。
もう、引き返せない。
そう思うと、絶望的に思えた。
今の状況は最悪に等しい。
僕はこの世界に一人で残る事を望んだ。理子ちゃんはずっと一緒にと言った。
それがどう影響するのか。
僕が理子ちゃんを、家族を殺す、それが堪らなく恐ろしかった。
相変わらず、白い扉は輝きをそのままに、僕を待っている。
この扉の先に何があるのか。考えただけで、足がすくむ。
さっきパパを赤い車の前に突き飛ばしていれば。考えたけれど、僕には出来なかった。
「なに一人でやってんの?」
すぐ近くで、声がした。




