EPISODE2 理子:side 〜明日への扉〜
「僕はここに残る。理子ちゃんは元の世界に一人で帰って。・・・それが、僕の願い」
陸の言葉に応えるように、後ろに白い扉が音もなく現れ、眩しい光を放った。
「な、なに・・・言って!?」
声が震える。
陸が・・・見えない。
「本気だよ」
ぐいっと腕を引かれ、必死で後ろに体重を掛け、前に引きずられた足を踏ん張る。
「陸・・・・・・陸っ!!」
必死に声を上げた。
陸が手を離して、保たれた均衡が崩れる。
後ろに尻餅を尽き、信じられない気持ちで陸を見上げた。
「それとも、一人でここに残りたい?」
心が凍る気がした。
「・・・嘘だよ。僕の気持ちが変わらないうちに行くんだ。いいね?」
「いやよ・・・そんなの!!」
「・・・それじゃあ、賭けをしよう。目が覚めた時僕のことを覚えていたら、理子ちゃんの勝ち。ずっと一緒にいるよ。忘れてしまったら、その時僕はいなくなる。まさか、忘れると思ってるの?」
「今までの事を忘れないで・・・陸とずっと一緒にいられますように!! 陸だけのお願いを聞くなんてことないわよね?」
「・・・理子ちゃん、取り消すんだ!」
「絶対にイヤ!!」
目の前に現れたもう一つの扉を開け・・・夢中で中に飛び込んだ。重いため息をついて、ベッドから降りる。
フローリングがひんやりしていて、小さく身震いをした。
そのまま、階段を降りて台所へ向かう。
「ママ、お腹すいたー」
そう言って、台所にあるイスに座った。
茶碗を洗っていたママが振り向く。
「おはよう、今日はずいぶんと早いのね。まだ、7時前よ」
タオルで手を拭くと、テーブルの上に置かれた茶碗にご飯をよそった。ケチャップ味のウィンナーと目玉焼きとお味噌汁。いつもの定番が並んでいる。
「いただきます・・・」
最初にお味噌汁を取った。具はワカメとお豆腐。
久しぶりに食べた気がして、あっという間になくなった。
「早起きしたのに残念ね、お兄ちゃんなら朝練に行ったわよ」
ママがにこにこして言った。ウィンナーに伸ばした箸が止まる。
「お兄ちゃん・・・理子の・・・?」
ママは怪訝な顔をした。
「ううん。アタシには、お兄ちゃんじゃないの」
「理子・・・お兄ちゃんと喧嘩でもした???」
「そうかも。アタシは、ものすごく怒ってるから!」
さくっとウィンナーを箸で刺して、口へ運んだ。
〜EPISODE2 理子:side END〜




