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宇宙戦艦三笠  作者: 大橋むつお
44/50

44:小惑星ピレウス・1

宇宙戦艦三笠


44[小惑星ピレウス・1] 修一  





 三笠は、用心しながらピレウスの衛星アウスの陰に回った。


 ピレウスは目的地だが、正体が分からない。


 それは覚悟の上だったが、グリンヘルドとシュトルハーヘンの中間に位置し、両惑星から絶えず監視されているに違いない。ピレウスの大気圏内に入ってしまえば、どうやらピレウスが張っているバリアーで分からないようだが、そこにたどり着くまでの間に発見されてしまえば、元も子もない。


「ピレウスが、グリンヘルドとシュトルハーヘンの間に入るのを待つ」



「そうするだろうと思って、惑星直列になる時間を狙ってワープしておいた」


 俺と樟葉は艦長と航海長としてツーカーであった。


「でも、ピレウスに敵が侵入していたらどうするんだ」


 天音が珍しく弱気なことを言う。


 普段は心の奥にしまい込んでいるが、父が中東で少女を救ってゲリラに殺されたことがトラウマになっている。もう大事な仲間を一人も失いたくない気持ちが、天音らしくない弱気にさせているんだ。


「その時は、その時。全てのリスクを排除しては何も行動できなくなる」


「天音の心配ももっともだから、できるだけピレウスと、その周辺をアナライズしておくわ。クレアよろしくね」


「はい、ピレウスの自転に合わせて表面と、地中10キロまではアナライズしておきました」


「結果が、これだな……」




 モニターにピレウスの3D画像が出た。




「地球に似てるけど、人類型の生命反応がありません。文明遺跡は各所で見られるんですけど」


「まるでFF10のザナルカンドみたいな廃墟ばかりね」


「何かの理由で、人類は破滅したんだな……」


 ネガティブな印象しか持てないほど、その人類廃墟は無残だった。


「この星には、負のエネルギーを感じます。アクアリンドよりももっと強い……これシュミレーションです」


 クレアが、モニターを操作すると、海に半分沈みかけた三笠が映った。


「三笠が沈みかけてる……」


「中を見てください」


 三笠の中には、4人の老人と4匹の老猫、一体の壊れかけたガイノイドの姿しかなかった。


「あれ……オレたちとクレア?」


「はい、一か月滞在していると、ピレウスでは、ああなります」


「いったいどうして……」


「推測ですが、ピレウス人の最終兵器が生きているんだと思います」


「滅んだピレウス人の……あれが?」


「はい、人類と人類が作ったものを急速に劣化させる……そんな装置があったんだと思います。装置そのものも風化して、どの遺物がそれか分からないけど、その影響だけが今でも残っているようです」


 クレアは、予断を与えないように、あえて無機質な言い方をした。


「これなら、グリンヘルドもシュトルハーヘンも手の出しようがないわね」


「でも、それで何万光年も離れた地球に目を付けられてもかなわない」


「それよりも、あんな死の星から誰が地球に通信を……それも地球寒冷化防止装置をくれるなんて」


 ブリッジは沈黙に包まれた。


「あの……」


「なんだ、トシ?」


 トシの一言で沈黙は破られたが、事態を進展させるものではなかった。


「三笠のエネルギー消費が微妙に合わないんです」


「どのくらい?」


 樟葉が敏感に反応した。


「誤差の範囲と言ってもいいんですけど、1/253645帳尻が合わないんです」


「ハハ、トシもいっぱしの機関長だな。それはアクアリンドのクリスタルを積み込んだせいだろう。あれだって、人間一人分ぐらいの質量はあるから」


 修一の結論にみんなは納得した。


「…………」


 ただ、トシは、それが人間一人分にあたることが気にかかっていた……。




☆ 主な登場人物


 修一(東郷修一)    横須賀国際高校二年 艦長

 樟葉(秋野樟葉)    横須賀国際高校二年 航海長

 天音(山本天音)    横須賀国際高校二年 砲術長

 トシ(秋山昭利)    横須賀国際高校一年 機関長

 レイマ姫        暗黒星団の王女 主計長

 ミカさん(神さま)   戦艦三笠の船霊

 メイドさんたち     シロメ クロメ チャメ ミケメ

 テキサスジェーン    戦艦テキサスの船霊

 クレア         ボイジャーが擬人化したもの

 ウレシコワ       遼寧=ワリヤーグの船霊

 こうちゃん       ろんりねすの星霊

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