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宇宙戦艦三笠  作者: 大橋むつお
35/50

35・虚無宇宙域 ダル・1

宇宙戦艦三笠


35[虚無宇宙域 ダル・1] 修一





 アクアリンドのクリスタルは、クレアが送った情報をもとに三笠でレプリカをつくって交換した。


「組成や形態がいっしょだから、80年たたなければ偽物とは気づかないわ」



 クレアも、レプリカを作ったトシも自信満々だった。



 本物は、三笠の二つある機関の真ん中に置かれた。仮にも一つの星の運命を握っていたクリスタルだ、いまは眠っているような状態だが、数百年の記憶を取り戻し稼動し始めた時に巨大なエネルギーを放出する恐れがあった。三笠の中央に置かなければ、いざと言う時に、船のバランスを崩すおそれがあるという僧官長の意見に従ったものだ。



「微弱だけど、クリスタルから波動が出るようになった。なにか感じているみたいだよ」


 トシがインジケーターを指さした。


「さすが世界一の殊勲艦。与える影響も違うんだ!」


 ウレシコワが感心して言った。


 クチュン


 神棚でみかさんが小さくクシャミをしたようだ。


「で、なにか三笠の役に立ちそうなエネルギーとかは出てないの?」


「居候なんだから、なんかの役にたってもらわないとね」


 天音と樟葉は、夢が無いというか現実的だ(^_^;)。



「樟葉、これからの航路は?」


 艦長らしく航海長としての樟葉に聞く。


 樟葉も航海長の顔に戻って応えてくれる。


「5パーセク先が分岐になりそう。直進すれば、ダル宇宙域に突入するわ」


「避けるのか?」


 樟葉のニュアンスから、修一は先回りをして聞いた。


「ダル宇宙域の外周は、グリンヘルドと、シュトルハーヘンの艦隊が百万単位で待ち伏せている。切り抜けられないことはないけど、三笠も無事ではすまないわ」


「四十万の飽和攻撃で、シールドが耐えられなかったからな……」


 ダル宇宙域を突破するしかないという気持ちになってきた。


「待って艦長、ダル宇宙域は、恒星が二個あって、その恒星も惑星も公転していないわ。とてつもない負のエネルギーが満ちているような気がする」


「アナライズの結果か?」


「エネルギーそのものは感じないけど、全ての星が動いていないということは、動いていないだけの理由があるはずよ。グリンヘルドもシュトルハーヘンも、哨戒艦すらここには出していない。状況から考えて未知の何かがある」


「しかし、ここを避けたら、敵の待ち伏せのど真ん中に突っ込んでしまう。確実な脅威に飛び込むよりは、未知の可能性に賭けてみたい。みんなはどうだ?」


 ……………………。


 艦橋のみんなに言葉は無かった。


「しかたがない。ミカさんに聞いてみよう」


 神棚のあるホールにいくと、ミカさんはセーラー服でニコニコ待っていた。


「その顔は、ミカさん、いい答えを持ってるんだね!?」


「ううん、みんなが前向きの気持ちだから嬉しいの。わたしがここにいるというのは、三笠に差し迫った危機がないということだから、みんなが話し合った結果でいいんじゃないかしら」


「ミカさま、お茶の用意ができましたニャ(^▽^)/」

 

 ミケメがワゴンを押してやってきた。他の三人のネコメイドたちも『猫ふんじゃった』をハミングしながらテーブルを整えたり、ティーカップを並べたり。


「気楽だなあ。それで今まで、どれだけの危機に出会ったか」


「でも、結果として三笠は無事でしょ? まだまだ試練はあるだろうけど、大丈夫。いまのあなたたちなら乗り越えられるわ」


「そうニャそうニャ」「みんなもお茶するといいニャ」「ダージリンニャ」「オレンジペコニャ」


「いいのよ、みんなで出した結論で進みなさい。100パーセント問題なしに進める道はないわ。でも、みんなに前に進む勇気が出てきたのなら、それで十分よ」


「そうだねミカさん。決めたんだ、迷わずに前に進むよ」


「そう、それがいいわ。ワープの準備が済んだら、ここにいらっしゃい。ちょっと寛いで、それからワープすればいいから」


「分かった。じゃあ、ブリッジに戻ってワープの準備だ。それから、お茶にして、一気に切り抜けるぞ!」


「「「ラジャ('◇')ゞ」」」



 寛いでいるようだったけど、ミカさんは、それとなくダル宇宙域突破を示唆してくれた。

 

 やんわりとだけど、俺の方針を後押ししてくれた。


「よし、ワープで一気に抜けるぞ。ダル宇宙域は1・5パーセクしかない。最大ワープで抜けるぞ!」


「じゃ20パーセクで」


 トシは、機関室へ向かおうとした。


「いや、100パーセクだ!」


「100パーセクもワープしたら……二三日動けなくなってしまうよ。その間に攻撃されたら、反撃することもバリアーを張ることもできなくなる」


「勘だよ。それだけワープして、やっとダル宇宙域を突破できるぐらいだと思う」


「でも」


「ものごとやってみなければ、前には進めん……だろ」


「う、うん」


「よし、では100パーセクのワープの準備をして、お茶会だ」


 了解!!


 みんなの声が揃って、三笠は能力の五倍を超えるワープの準備に入った……。



☆ 主な登場人物


 修一          横須賀国際高校二年 艦長

 樟葉          横須賀国際高校二年 航海長

 天音          横須賀国際高校二年 砲術長

 トシ          横須賀国際高校一年 機関長

 ミカさん(神さま)   戦艦三笠の船霊

 クレア         ボイジャーのスピリット

 ウレシコワ       ブァリヤーグの船霊

 メイドさんたち     シロメ クロメ チャメ ミケメ 

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