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緊急出撃

 



 研究所 会議室



 本日も、ここ最近恒例になっている、夜の家族会議が開催されていた。

 会議の内容は、ステラさんについてだ。


「コウ様、いい加減諦めてはいかがですか?」


「そうです広坪様、もう半月以上もしておられないでしょう。それに彼女も望んでいます」


「私と5歳しか違いませんし、彼女は成人しています」


 ルティ、カティ、マリーによる俺の説得が続いている。

 ミリシアさんと、レティシアさんの妊娠が発覚してから少ししてからずっとステラさんを押し込もうとしてくる。

 時には強行手段に売って出られたが、なんとか防げている。


「ですから、15歳は、その、早すぎます。俺の居た世界では、最低でも16歳から結婚で、20歳で成人でした。今は18歳かも知れませんが……。どちらにしろ、早すぎます!それに、俺には5人も美女を抱えています。俺の両腕では、もうこれで精一杯です!」


 何度目か分からない言い訳を、今日もする俺。

 もう既に、全身は汗でビショビショになりつつある。


「コウ様、郷に入っては郷に従え、そう教えてくださったのはコウ様です。私も15歳でレイシアを生んでいます。こちらの郷に従って下さい」


「お、俺がここのルールなので、却下です」


「では、こうしませんか?なにもしなくて良いので、ステラちゃんと一緒に寝るだけ。広坪様になにもする気が無ければ、何も起こりません。ステラちゃんは広坪様に嫌われているのではと、気落ちしていますが、一緒に寝るだげも、元気になってくれます」


「いや、寝ぼけて襲ってしまうかもしれません。危険なので却下です」


 ステラさんに魅力が無いわけでは無い。

 15とは言え、かなり大人びて見えており、初々しい成人女性に見えない事も無いので、もしかしたら、間違いが起こらないとも限らない。

 いや、間違いを高確率で起こしそうなので、拒否しておかねば、なし崩し的に既成事実ができてしまう。


「ステラちゃんは望んでいるので、問題はありません」


「それでも、却下です」


「でしたら、この会議に使っている時間を、ステラちゃんの個人的な指導をしませんか?二人で過ごせば、ステラちゃんも嫌われているとは思わないてしょう」


 来た。

 これが今日の本命だ。



 これまでの会議で、俺は色々と譲歩している。

 少しずつ、少しずつ譲歩していき、今ではステラさんが搭乗型ゴーレムに乗るまでになっている。

 最重要に属する搭乗型ゴーレムを提供しちゃうぐらいには、俺は追い詰められている。

 どうしてこうなったのか、と思わなくも無いが、俺がステラさんに文武両道をとか、妻にすることを前向きに、とか言ったのが悪かった。

 ステラさんは非常に頑張ってはいたが、魔法使いでは無いので、戦う力を、とか押し切られた気がする。


 俺としては、ステラさんと接する内に惹かれてはいる。

 あれだけ好意をアピールされて、靡かない男は居ない、と思う。

 正直、好意ではなく、何らかの思惑をもって接近してきていたとしても、もう良いのでは無いかと思い出している。

 だが、今年15歳になった少女には手を出せない。

 今年16歳になる15歳だったら、まだ手を出す気になった。


 16歳になるまで待ってと言ってはいる。

 ステラさんは生まれが四月なので、あと半年なのだが、何故か押し込んで来る。

 まぁ、俺の心情的な問題なので、押し込んでしまえと思っているのかも知れない。



「申し訳ないが、今は魔具を作っていて、そらに集中したいので、それはしばらく待ってください。これは、オシホ様に確認していただいても構いませんよ」


 最近の会議の流れを読み、先手を打っておいたのだ。


「……そうですか」


「では、今日はここまで、という事で。それでは、先に休ませてもらいます。皆も体には気を付けて下さい。それではお休みなさい」


 流が切れた所で、会議を終わりにする。

 これ以上は、何を言い出すか分からない。


「仕方がありません。お休みなさい」


「「お休みなさい」」


 俺は三人とキスをしてから部屋に戻る。

 会議室を出て、扉を閉めるときに聞こえた『手強い』は、気のせいだと思いたい。




 翌日、朝から三姉妹とステラさん率いる成人済みの方々と訓練を行っていると、大山脈中腹の監視所から報告があった。


 監視の範囲で、黒煙が上がっているのが確認された。

 遠すぎで詳細は分からないが、距離からしてそれなりの規模の火事と思われるそうだ。

 それこそ、村が丸々燃えるほどの。



 その時は、まだ一ヶ所であり、距離も遠かったので、どうしよも無く、継続監視を指示するしか無かった。

 だが、その後次々に黒煙が上がったとの報告があり、俺も一度確認をした。

 確かに黒煙は五つ上がっており、何か異常事態が進行中なのは間違いない。

 なので、研究所と聖堂院を非常体制に移行し、様子を見ることになった。

 それに伴い、聖堂院を担当していたドライを呼び戻し、監視所を任せる事にした。

 俺達の中で、ドライが一番遠くを見ることができる。

 聖堂院には、ツヴァイを向かわせた。



 残ったメンバーで現状につおて話し合いを行う事にした。


 今分かっているのは、村規模の火事が五つ同時に起こっている事だけだ。


「私は、オークによる襲撃ではないかと予想します」


 カティが自身の予想を告げてきた。


「理由は?」


「あの黒煙は、村が燃えているものだと思います。なので、その村が襲撃されたと思われます」


 俺もその可能性が一番高いと思う。


「なら、誰が襲撃したのか、ですが、人では無いと思います。盗賊の類いなら複数が同時に燃えるとは考えにくいですし、他国の襲撃でも無いでしょう。聖堂教国なら、北から燃えるハズですが、煙は南の村々が燃えています。南の冒険者の国が攻めてきたなら、領都が落ちた事になり、ここまで攻め上がってくる必要がありません。なにで、人では無いと思われます」


 聖堂教国は、聖堂院がある地域とは直接接してはおらず、もう一つ地域を挟むが、確かに来るなら北からであり、今回の事とは無関係だろう。

 聖堂院がある地域は、魔境と南の冒険者の国を除くと全て王国の領地なので、南か東からの襲撃になる。

 南から来るなら、領都を抜けてきたのは間違いない。

 スルーしてきた可能性もあるが、かなり低いだろう。

 残りは、東のオークだけで、東からならこの状況なのも納得てきる。


「納得はできます。しかし、そうなると……」


「遠征の失敗ですね。壊滅したのか、何処かで防衛しているか、どちらにしても、オークが迫っている可能性が高いです」


「一度西の村に顔を出しましょう。もしかしたら何か分かるかも知れませんし、村人達が何も知らないなら、警告も必要でしょう」


「そうじゃな。それが良かろう。村からの退避も考えて、荷馬車と荷車の準備をさせよう。誰を残す?」


「そうですね。聖堂院はそのままツヴァイに、研究所はドライで良いでしょう」


「了解じゃ、準備でき次第聖堂院に――」


「緊急!オーク発見!」


 監視所で監視をしているはずのドライが会議室に駆け込んできて、オーク発見を知らせてきた。

 カティの予想的中だ。



「場所は?!」


「ここ」


 ドライが、テーブルに置かれた地図に示したのは、研究所から西北西50Kmほどの場所だ。

 ここからはそれなりに離れているが、村に近い。

 西の村では無く、西の村の隣村になる。


「オークは村があると思われる方向に向かってた。数は1,000~2,000」


 ドライの報告によれば、西の村の隣村に2,000程度のオークが向かっている。

 ……村人が退避していれは良いが、聖堂院に退避の勧告は来ていない。

 俺達に知らせる必要が無いと判断したならそれはそれで良いが、もし、知らせが遅れてたら、村人が危ない。


「救援に向かう!研究所から直接出ます。森を突っ切って行く!」


 俺は救援に行くことを決断する。

 森を突っ切って行く以上遠征用ゴーレムになる。


「ドライ班は待機して監視を継続と護衛!一人はツヴァイに伝令!ツヴァイ班は聖堂院を担当!ただし、ツヴァイは聖堂院のゴーレム100を連れて西の村の警護に向かわせて下さい!ベータは支援の移送を任せる。支援は荷馬車一台分の食料とポーション500、荷馬車と荷車!魔力供給用魔具!準備はアリスさんに任せます!」


 俺は矢継ぎ早に指示を出す。


「後は遠征用ゴーレムを連れて出撃する!質問は?」


 皆を見回すと、ルティが手を上げた。


「コウ様、ステラちゃんを連れていくべきです」


 こんな時に何を!と反射的に思ったが、ルティは理由を口にした。


「ステラちゃんはあの辺り出身です。多少は土地勘もありますし、知り合いが居るかも知れません。ステラちゃんが居た方が話がスムーズになるかもしれません。それに、ステラちゃんなら十分に戦力になります」


 冷静に考えれば、一利ある。

 村人に知り合いが居れば、なにかとスムーズに話が進むかも知れない。

 それに、ステラさんは確かに戦力になる。

 オーク相手なら、十分に戦える。

 ただ、実践となると……。


「分かりました。本人の意思確認をして、それから判断します。他に無ければ準備を!」


 出撃準備のために、皆がそれぞれ散っていく。

 俺は、ステラさんの元へ向かった。



 ステラさんは、まだ訓練場で訓練をしていた。


「ステラさん、少しお話があります」


「はい。なんでしょうか?」


 ステラさんが綺麗な黒目で俺を見てくる。


「単刀直入に言います。ステラさんの村の近隣の村に、オーク2,000が出現したのを確認したので、これを今から討伐に向かいます。村人との交渉に役立つかも知れないので、貴方を連れて行こうかと考えています。どうしますか?戦闘にも参加してもらう事にも――」


「行きます!連れていって下さい!」


「本物のオークは怖いですよ?」


「頑張ります!だからお願いします!」


「分かりました。怖くなった丸まって下さいね。訓練をしましたよね?」


「はい。非常待機姿勢ですよね?」


「そうです。忘れないで下さいね」


「はい」


「では、格納庫に向かいます」


「了解です!」


 ステラさんは、薄い水色の髪を弾ませながら格納庫へ向かっていった。

 俺もそれに続く。


 格納庫では、出撃準備が整っており、後は乗り込むだけだった。

 俺が格納庫に入ると、皆が集合して、オシホ様が報告してくる。


「全ゴーレム異常無し。全機出撃可能じゃ」


「了解です。遠征用ゴーレムは、伝令が出るかも知れないので、戦闘用を2体残します。それから、今回は救援なので、速さを優先して、まずは俺とオシホ様だけで先行します。それが一場一番速い。勿論無理はしません。残りは、アインが指揮を執って俺達を追ってください」


「了解です」


「あと、ここからの出撃になるので、ステラさんはしばらくはゴーレムを動かさないで下さい。アイン、彼女のゴーレムを動かして、ここから離れたら彼女に任して下さい」


「「承知しました」」


「ステラさん、昼食には速いですが、携帯食料を一つ食べておくと良いですよ。移動中はたべれませんから」


「了解です」


「よし、では出撃する!」


 俺は、ゴーレムに乗り込むだけ前に、携帯食料を一つ手早く取り出し、食べる。

 子爵軍から奪った物より遥かに美味しい。

 俺は、携帯食料を水で流し込むと、ゴーレムに乗り込み、研究所の南側出入り口へ向かう。


「では、オシホ様、先導をお願いします」


「任せるのじゃ」


 オシホ様に先導されて、研究所を出る。



 もしかしたら、村には退避命令が出ていて、無人かも知れないが、退避する者達の姿を確認できていない以上、最悪を想定しておかなければならない。

 オークよりも早く村に着ければ良いが……。





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