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商人との取引

 



 聖堂院



 商人達を出迎えて、昼食を食べる事にした。


 食事会場は、子爵軍の使者と会談した場所と同じ仕様だが、大きさがかなり違う。

 こちらは俺とマリー、カティの部下2名の4人だが、給仕や護衛のために、オシホ様、ツヴァイ、新精霊達で合計12名も加えるとそれなりになる。

 商人の側は、ガレストさんを始め、御者2名に護衛が二チームで10名の13煮んが昼食に参加する。


 ガレストさんが連れてきた少女28名は、建物の外で待機になるが、ガレストさんから軍の携帯食糧を与えられていた。

 本来なら、朝と夜のみの食事なのだが、俺のために特別に与えてくれているそうだ。


 やはり、あの少女達は、俺向けに売りに来た商品だった。



 ガレストさん達を建物に案内して、新精霊達によって配膳される。


 ガレストさん側の護衛の方々にも食事を勧めたが、こういった場では半数の者しか出された物を食べないそうだ。

 食事に毒物が入っていた場合を想定しているのだろう。

 ガレストさんが謝ってきたが、むしろ、こちら側の失礼に当たるかもしれないので、気にしていないと伝えるだけで済ませた。


 護衛の人達は、ガレストさん達の後ろで待機する。

 俺達の側は、新精霊達が給仕として横に待機し、オシホ様とツヴァイが俺とマリーの後ろで待機する。

 カティの部下二人は、フルプレートを着込んで、俺達の側の扉近くで待機してもらっている。

 フルプレートなのは、兜で顔を隠してもらうためだ。

 もしかしたら、この商人は聖堂院の者達の顔を知っている可能性があるからだ。

 まだ、彼女達が俺に協力をしていることを外には知られたくない。



「このマヨネーズですか?素晴らしいですな。私もサンドイッチを良く食べますが、味を良くして、種類を爆発的に増やせそう素晴らしいソースです!」


「有り難うございます。そのマヨネーズは、なんでも勇者様からもたらされたものらしく、我々も旅人に教えてえもらったものなのです」



 マヨネーズについては、勇者発信という事にしておく。

 勇者が召還されてから、時間も経っているし、マヨネーズは異世界の定番だ。

 調味料なんて、偶然や失敗、一部の天才が居なければ発生しない。

 酢は酒の失敗作だと聞いたことがあるので納得てきるが、マヨネーズなんて、誰がなんで思い付いて作ったんだか想像も出来ない。

 発想するのは中々に難しい。

 顕微鏡なんて、作るのに必要な技術ができてから発明まで200年かかったと聞いたし、必要にならなければ、発明されないのかも知れない。

 これが、必要は発明の母か。



「おお!勇者様ですか!私も噂は聞いたことがあります。なんでもこことは違う世界から来たとか。眉唾と思っておりましたが、このソースを味わえば納得というものです。その旅人は会えませんかね?」


「残念ながら難しいでしょう。我々も森の中で偶然出会って、ゴブリンに襲われているのを助け、食糧を分け与え、街道まで送った礼にレシピを教えてもらっただけなので、その後の足取りは分かりません。その旅人は南に向かったので、オークに襲われていなければいいのですが。声からして男なのは分かりましたが、顔や年齢も分からないのです。隠している様子だったので、探りはしませんでした。ただ、悪そうな人間ではありませんでしたよ」


「そうですか。勇者様と知り合いなら是非お話をお聞きしたかったのですが……、残念です。大陸の反対側の話も聞きたかった」


 ガレストさんは、俺の嘘に何とか納得してくれた。と、思う。

 疑って調べられても、南の村は村は多くが壊滅しているので、調べる事は難しいだろう。


「我々としては、マヨネーズを得れただけでもかなり有り難いです。ここの名物にでもしようかと思っていますよ」


「それでは、ここで販売をするおつもりで?」


「いえ、マヨネーズはあまり日持ちしないので、ここでの料理のみに限定しようと思っています。あとは持ち帰りのサンドイッチぐらいしか思い付きませんね」


「それは勿体無い。我々に販売を委託しませんか?利益の一割でいかがですか?」


 やはり来たか。


「申し訳ない。ここに人を呼びたいので、しばらくはレシピを明かすつもりは無いのです。ただ、レシピを公開する気になっら、真っ先に候補として挙げることを約束します」


「そうですか。今はそれだけでも有り難い」


「まぁ、今は食事をしましょう。スープが冷めてしまう」


「そうですな。なかなか味わえない味ですからな。楽しませていただきます」


 ガレストさんは、あっさりと引き下がってくれた。

 恐らく小手調べ、とまではいかなくても、布石か何かのつもりなのかも知れない。

 人は、心理的に何度も断れない、断る度に罪悪感にも似たものが大きくなるとかなんとか聞いた気がする。


 商人との会食なので、もっと何かあるかもとも思ったが、出したサンドイッチに興味を持っていかれたのか、昼食の話が中心になった。




 昼食の皿が片付けられた後に、食後なので時間を空けるか提案したが、ガレスト食後のお茶を楽しみながらの商談を希望してきたので、そのまま商談になった。


 昼食を食べた者達に、お茶を配り終え、新精霊達が下がる。

 ガレストさんが一口飲んで、話始める。


「まずは謝罪をさせて下さい。コウヘイ様が村のためを思って渡した食糧を、他の村々のためとは言え、無理を言って売ってもらい、商売にしてしまいました。申し訳ない」


 そう言ってガレストさんが頭を下げる。

 意外な切り出しだったので、俺は一瞬反応出来なかった。


「……。いえ、気にしていないので頭を上げて下さい。俺としては、貴方の行いは俺よりも遥かに素晴らしいと思います。食糧不足という状況下で、それなりに良心的な値段で食糧を売ったのでしょう?それに、少女達の買い取りもかなり頑張ったのではありませんか?」


 これは、村でガレストさんの行動について調べた結果だ。

 馬車三台の積載量、少女達の値段、これを総合して予想した結果だ。

 これは、ルティが街から脱出する前の状況と、商家に居た時の経験から、導いた答えだ。


 食糧の高騰は仕方がないにしても、少女達の値段がかなり高い状態で維持されていた計算になる。

 この地域一帯で食糧不足なら、売られた少女も多いだろう。

 そうなれば、必然的に少女達の値段が下がっていて然るべしなのだ。

 村長に預けられた金銭にしても、金貨が中心だったので、村からのお金では無いと思われる。


「驚きました。良くお分かりになりましたね。私も似たような状況で売られたのです。私の家は男兄弟ばかりだったので、私が志願したのです。村から出たかったので、渡りに船でした。そして、商人の家に売られ、必死に働き、独立させてもらって、この辺りで行商人を始めて15年です。それなりに顔見知りになった者達だったのでつい。商人としては駄目かも知れませんが」


「そうでしたか。私は良いと思いますよ。この危機を乗り切れば、村人からはかなりの信用を得れますし、悪くないと思います」


「ありがとうございます。それで、ですね。コウヘイ様は軍からの食糧をお持ちと思います。全部とは言いません!食糧の半分を私に売ってください!お願いします!」


 ガレストさんが、上げた顔を再び下げる。

 今度はテーブルに頭をぶつける程だ。


 売った物が物なので、軍の物とは分かるだろうが、量までは分からない。

 子爵軍のが半分の食糧を奪われた事を知っているなら、やはり俺達の事を多少は調べて来たのだろう。


「分かりました。お売りしましょう」


「本当ですか?!」


「勿論です。多少条件を飲んでくれたら、全てをお売りしても良いですよ。勿論それなりの値段で、ですが」


「値段は覚悟しています。ですが条件は内容次第です」


「あまり難しいものではありません。我々はポーションや魔具をメインに売ろうと考えて居ます。なので、そのお話を他の方にもひろめていただきたい。できれば南の冒険者の国と関わりのある方々を中心に、です」


「ポーションは助かりました。あれで恩を多少売れたので、食糧をいくらか買い足せました。南の冒険者の国関連なのは、亜人のために、ですか?」


「そこまでお調べでしたか」


「私が拠点にしている街は、聖堂教国の方々が良く寄っていかれますので、それなりにお話が聞こえてきます。亜人差別の国の一団から拐われた亜人達、子爵軍との戦闘の話、想像の範疇でしたが、今ので確信しました。保護なさいましたね?」


「お見事です。その通りです。ですが、一部の者は軟禁しているのは事実です」


「なにかやらかしましたか」


「ええ、まぁ、そうなります」


「馬鹿な者も居たものです」


「俺の対応も悪かったのでしょう。お陰で、俺は統治者や支配者というのには向かない事が分かりましたよ」


「それはそれは……。話は変わりますが、もしかして、なのですが、少々お訊きしたい事があります。皆は少し離れて下さい」


 ガレストさんは、他の者に聞かれないように、護衛を下がらせ、身を乗り出して、小声でこっそり訊いてきた。


「聖堂騎士の団長さんが生きていたりしますか?」


「ッ!……まぁ、貴方なら良いでしょう。その通りです」


「お元気ですか?」


「今は大人しくしてもらっています」


「軟禁、ですか?」


「いえ、俺の妻になっていただいたので、妊娠しまして……」


「本当ですか?!」


 ガレストさんが、驚きのあまり大声を出す。

 結構近い距離で大声を出されたので、耳にくる。


「し、失礼しました。しかし、本当ですか?30は越えてたと思うのですが?」


 ガレストさんは小声に戻り、訊ねてきた。


「33です。まだ妊娠初期ですが、本当です。ちなみに、無理矢理や条件をつけたり、取引的な事は一切ありません」


「そこは疑っていません。それにしても、生きて幸せになっているにですね。おめでとうございますと伝えて下さい」


「承知しました。知り合いでしたか?」


「いえ、何度か見かけた事があるだけです。高潔な方だと聞いていたので、亡くなったと聞いて残念だと思っていたのです」


「そうでしたか、ただ、この事は秘密に願います。あまり知られても良いことでは無いので」


「勿論です。他には漏らしません。お教えいただきありがとうございます」


 ガレストさんが、声の大きさを戻し、頭を下げて礼を言ってきた。

 それに会わせて護衛達が元の位置に戻る。


「いえ、それで、商談のことですが……」


「はい。連れてきた少女達とお金で、できるだけ食糧を持っていきたいと思います」


「少女達は俺に渡して良いのですか?」


「村に置いたときは、最悪な事を考えましたが、どうしても食糧が必要なので。ですが、コウヘイ様なら安心して預けられます」


 信頼は嬉しいが、最悪を想定しても、食糧を求めるのは、街ではもう食糧が手に入らないから、なのかも知れない。


「……そうですか。少女達はできるだけ大切にはします。それで対価としては――」


「家畜、ですよね。ですが――」


「食糧難なのは理解出来ますが、多少でも欲しいのです。なので、高騰した今の値段の倍で買っても良いです」


「それほどですか。それならなんとか用意できますが、流石に数は揃えられません」


「承知しています。飼育の経験を積ませたいので、ある程度の数が居れば、それで良いです」


「なるほど、分かりました。そういった事情なら、次の時にでも連れてきます。それと、ポーションを20本ほど売っていただけますか?」


「よろしくお願いします。ポーションも大丈夫です。お売りします。とろで、馬と荷馬車をお貸ししましょうか?」


「よろしいので?」


「多少余裕がありますから。ただ御者は貸せませんが大丈夫ですか?」


「はい。護衛の中に御者ができる者もいますから」


「なら大丈夫ですね」



 後は、値段などの交渉だが、早々に決まった。

 通常の1,5倍程度で売れたが、いまならこれてもかなり安い。

 食糧ならまだまだあるので、不味い携帯食糧を高値で売れて、家畜の入手、宣伝、万々歳だ。


 食糧とポーションを引き渡し、少女達を引き取り、足りない代金をお金で受け取った。

 ガレストさんは、少女達を連れてきた少女馬車と、俺が貸し出した荷馬車二台に荷物を満載した。


 少女達の多さを聞いてみたら、村からの先払いと、街で買ったそうだ。

 村からの先払いは、口減らしも兼ねていたそうだ。


 最後に先に引き取っていた少女達の様子を見てから、出発して行った。


 宿泊も勧めたが、まだ村に着ける時間だったので、断られた。

 食糧を急いで届けたいそうだ。



 どんな商人か不安だったが、良さそうな人で良かった。

 後は、またあの商人が来るかどうかだ。

 ガレストさんがら俺の見込んだ人だと祈ろう。




昨日のPVアクセスがあと5で1000だった。

初の四桁までもう少しで惜しかったorz


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