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少女達の処遇

 



 聖堂院



 新精霊達は、荷馬車を護衛の対象に入れての護衛訓練も、何の問題もなく遂行でき、第二防壁の門へに無事に到着した。


 少女達を連れているので、何事も無くて良かったが、一度くらいモンスターの襲撃があった方が訓練にはなった。

 今度は敵役を用意しての訓練も考えた方が良いかもしれないが、これはオシホ様の領分の話だな。

 提案だけしておこう。



 要塞に到着したので、護衛訓練を終了し、少女達には門付近で待機してもらった。

 少女達は、10m以上の防壁に驚き、要塞内に入り、ほぼ何も無い事にも驚いていたが、大人しく門の内側で待機していた。

 彼女達に待機してもらったのは、『クリーン』の魔具を用意させていたからだ。

 この魔具は、要塞で交易を行う場合、外から汚れや病気を持ち込み難くするために、門に設置するタイプの物を用意していた。

 ボードタイプになっており、ボードの上に立つことで『クリーン』を発動させる様にしていた。

 馬や馬車用にも大きさの違う同様の物を開発してもらったが、使えるかどうかは微妙だ。

 俺達が保有している馬で試したが、馬がかなり嫌がった。

 軍馬でこれでは、普通の馬、荷馬車を牽く馬ではもっと嫌がるかも知れないので、ボードタイプは諦めた方が良いかも知らない。

 いや、『クリーン』自体を諦めた方が良いかも知れない。

 魔具で『クリーン』を強要したら、お前達は汚い、と言っている様なものだ。

 事実汚れた人も居るだろうが、強要されて快いものでは無い。

 無料で、希望者のみ使用可能としておいた方が何かと無難か……。



 そんな事を考えて居ると、使いに出したシータが魔具を持って来た。

 彼女達を魔具でキレイにして、聖堂院に案内する。

 案内した場所は、保護している女性達が過ごしている場所ではなく、俺達の側だ。


「さて、皆さんにはここでしばらくは過ごしてもらいます。俺と一緒に過ごしてもらうか、聖堂院で保護している女性達との過ごしてもらう事になります。どちらになるかは俺の仲間と相談しなければなりませんので、今日明日はここで過ごしてもらいます。壁の内側だけですが、外に出ることも出来ますが、その時はこちらの方に声をかけてください。こちらは、ドライ、貴女方の世話をする人です。何か質問はありますか?」


「あの、できれば、この娘達ではなく、私だけを抱いていただけませんか?私は覚悟はできています」


 あー、説明が足りなかった、かな?


「俺には、ここに居るマリーを含めて3人の妻が居るので、そういった事は大丈夫です」


「私では駄目でしょうか?」


「……。駄目、という事は有りませんが、好かれても居ない相手とそういった事になるつもりはありません。ですのでお断りします。ただ、貴女の気概は買います。貴女方の希望があれば、できるだけ叶えたいと思います。場合によっては、お家に返して差し上げても良いです。ですから、そう言った発言は控えて下さい」


 少女の発言に何とか答える。


 最年長者の彼女、名前は……ステラさん、だったな。

 少女達のリーダー的な存在だったから何とか覚えてた。

 俺達が引き取らねば、彼女達が売られる先には娼舘もあり得たのだ。

 器量はなかなか良い者達ばかりなので、そういった目的で集められたのかも知れない。

 そうなると、少女達を置いていった行商人が、そう言った場所に売る目的で集めたのかも知れないのか。

 もしそうだったら、器量の良い娘ばかりが集まっているのは納得だ。

 そういった所とコネのある商人が、女性を拐った事になっている俺と接触を持とうとしている。

 女性の買い取り、売り込み、交換、そういった事を考慮しないといけないのか。

 あまり関わり合いになりたくない存在だな。

 だが、女性の保護も活動目的に入れるかも知れないのだから、上手く利用できたら、その分救える女性が増えるのかも知れないのか。


「あの!」


「ん?あぁ、申し訳ない、少し考え事をしていました。なんでしょうか?」


「私は家に帰りたくありません。どうしたらコウヘイ様のお側に置いて頂けますか?」


 彼女の発言に、つい眉が寄ってしまう。

 俺の顔を見て、彼女、ステラさんの表情が曇る。


「すみません、貴女方が嫌だという訳ではありません。何故これほど俺にこだわるのが理解できなかっただけです」


 表情を戻し、慌てて彼女に弁明する。

 本当に理解が出来なかったのだ。

 俺は顔が良いとは言えない。

 なので、これほど迫られる理由が思い付かないのだ。

 ルティ、カティ、マリーは、助けた。という理由があるし、この世界での結婚適齢の年齢的なものもあった。

 だから、3人も美女を娶る事が出来たと思っている。

 少なからず、研究所の管理者である。という立場にあることも理由の一端であると理解もしている。

 そうか、彼女には俺が子爵に対抗するだけの力があり、男は俺しか居ないと言った。

 更に妻が3人とも言っていたので、ここで彼女が加われば、単純に負担が四分の一、と考えてもおかしくはないか。

 娼舘よりは遥かにマシと思っているのかも知れない。


 弁明はしたが、彼女の表情は曇ったままだ。


「分かりました。前向きに検討します。ですが、俺の妻は、それぞれが魔法使い、弓使い、騎士だったので、文字の読み書きや戦闘もこなせます。もし、本気で俺の妻になりたいと思うなら、文字の読み書きと戦闘訓練を頑張ってみて下さい。貴女方が望めば教える事も出来ます。それに、俺の妻を目指さなくても、他の人と結婚する時に、色々できると、良い人に出会えるかも知れないので、そちらのために頑張ってみるのも良いかも知れませんよ?」


 ステラさんの表情がいくらかあ明るくなった。


 とりあえず検討するとは言ったが、一時凌ぎだ。

 これで、彼女達に読み書きと戦闘訓練をさせる事ができる。

 子爵領は危険そうなので、保護している女性達を送り出す先として、南の冒険者の国が当面は筆頭候補なので、読み書きや戦闘訓練をさせている。


「分かりました。頑張ります」


 こうして、しばらくは聖堂院での俺達の生活空間で過ごしてもらうことにした。

 聖堂院で生活している者達に預けるつもりではあるが、預けても大丈夫か皆に相談する必要があると判断したので、一応の隔離処置だ。

 もしかしたら、不穏分子の影響を受けている者達が、保護している女性達に新たに発生しているかもしれないので、その辺りの確認もある。

 万が一、保護している女性達に混ぜて、不穏分子化したら、追い出すしか無く、そうなったら、彼女達の未来にあまり良い影響は無いかも知れないのだから。


 いきなり少女達だけにするのも気が引けたが、年長者の女の子、ステラさんがしっかりしていそうだったので、ドライにファイとオメガを付けて任せる事にした。

 俺とオシホ様、マリーは研究所に帰還する。

 マリーを残した方が良かったかも知れないが、研究所の皆に女性視点からの印象を直接話して貰いたかったのだ。




 研究所



 研究所に戻ったが、新精霊達の護衛訓練を兼ねていたので、少し遅くなり、更に少女達を荷馬車で運んだので、更に遅くなり、夕食直前に戻ることになったので、報告より先に夕食を食べた。


 そして、食後に報告会を実施した。


「まず、護衛訓練は問題ありませんでした。次は適役も用意して訓練をしてみた方が良いかも知れません」


「そうじゃな、考えてみるか……」


 新精霊達は、問題なしの評価で喜んでいたが、適役の件で緊張した雰囲気が伝わってくる。

 続いて取引についてだ。


「夕食の時にも軽く話しましたが、取引自体は上手く行きました。村長も協力的だったので、更に品物を預け、防壁の建設提案もしてきました」


「概ね順調ですね。それで、引き取ってきた子供はどうでしたか?」


 子供を引き取る、これは当初からの予想にあった事だった。

 食糧が足りなければ、子供を売り払う、これが常識なのだそうだ。

 どうしようも無い場合は、だが。

 ただ、少女ばかりで、器量良しばかりとは思わなかったが。

 人を運ぶ用の馬車を持っていかなかったのは、人を最初から引き取るつもりだったとは知らせないためだ。


「器量良しばかりが11人、獣人が2人、あとは人種です。そして、最年長者でリーダー的なステラという15歳の少女に側に置いて欲しいと言われました。目的は不明です」


「え?あの娘は広坪様の妻になりたがっていましたよね?」


 俺の言葉に、マリーが疑問を呈する。

 なので、俺の考えを皆に聞かせた。


「広坪様の言うことも分かりますが、決めつけるのは少し早計かも知れませんよ?そのステラちゃんは本気かも知れません」


「ですが、彼女はかなりの美人です。皆みたいに読み書きができて、作法も身につければ、それなりの家に行くこともできます。俺より遥かに良い所に嫁げると思うのですが……」


 俺の言葉に、ルティ達が何かを言う前に、オシホ様が発言する。


「広坪よ、若い娘を娶る事を全く考えておらぬのでは無いか?いや、考えない様にしている。そう言った方が正しいか。お主の元居た場所では、15は結婚する年齢では無いと言うのもあるかも知れぬが、あと9年というのが問題なのではないか?その少女を妻にすれば、24で未亡人になる。24歳はまだ若い、と広坪の元居た場所ではそう見られる。若い未亡人を必ず作る。それが若い娘を娶る事を考えさせぬ様にしている原因では無いか?」


「何を……」


 否定の言葉を続けようとしたが、出来なかった。

 15歳は若い。

 俺にも若い人を望む願望があり、そういった本を読んだりしたが、妻を持ち、目の前でその者を見ると、違う気がした。

 15歳の少女と結婚したら、24歳の未亡人を確実に作ってしまう。

 それは不幸なのでは無いか?

 いや、ルティとダブってしまうのかも知れない。

 子供を抱えて、義弟や子爵の手から逃れる。

 非常に困難だ。

 俺達が居なければルティは死んでいた。

 逃げる手段が無ければ、子爵の手中となり、やはり死んでいただろう。

 故に、俺は潜在的に否定していたのかも知れない。


「オシホ様の言葉を否定できません。ルティと同じ様な状況にしてしまうかも知れない。そんなことを考えてしまった見たいです。ですが、ステラさんが若すぎると思っているのも事実です。俺は、妻にしたいと思った者しか妻にしません。ですから、彼女の事はまだ判断できません。それに、彼女の気持ちが本気であるか分かりませんし、しばらくは、彼女達に話した通りにして、様子見をしたいと思います」


「まぁ、良いか。自覚しただけ前進したと考えておく。それで、皆はどうじゃ?」


「私は構いません。てすが、私は一度夫となった者を失っていますが、今は広坪様と出会えて幸せです」


「私が広坪様と結婚したのは、年齢を気にしてはではありません。広坪様だから結婚を望んだのです。それだけは知っておいて下さい」


「私も、広坪様だから結婚を望みました!未来が心配なら、心配する余裕が無くなるぐらい子供を沢山生みますね!というか、私も子が早く欲しいです!」


 ルティ、カティ、マリーの順で俺に言葉をかけてくれる。

 なんというか、幸せだ。


「皆ありがとう。俺は幸福者です。マリーは、その、頑張ります」


「お願いします!」


「「頑張ってね」」


 ルティとカティに応援されてしまった。

 少女達の処遇について話していたつもりが、妙な事になってしまった。

 話を戻そうと思うが、その前に……。


「オシホ様、お気遣いは嬉しいですが、あまり俺の死を意識しすぎないで下さいね。これは不可抗力だったのですから」


「承知しているのじゃ」


「では、少女達の処遇ですが、聖堂院に移った人達に混ぜても大丈夫ですかね?」


「今のところは大丈夫そうじゃが、研究所では無い以上、かなり精度は落ちるぞ」


「そうですよね……」


 どうしたものか悩んで居ると、アリスさんが提案してきた。


「研究所で引き取ってはどうでしょうか?こちらにも保護している女性は居ますし、かなり安全だと思います。それに、レイ、アム、クリスの良いかも友になるかも知れません」


「それは名案ですね。それを前提に考えてみましょう。後は商人と村の防壁ですね」


 少女達は、研究所で保護する事を前提に話を進める事にした。

 そして、残るは商人と村の防壁だ。


 防壁はオシホ様とアリスさんに任せておけば良いので、こちらは問題ないだろう。

 なので、商人について俺の考えを話した。


「それは考えすぎかも知れません。少年が居る可能性を示唆しましたが、私は少女だけの可能性が高いと思っていました。男手は残しておきたいので、少年が売られる可能性は元々低いですし、少女の方が高く売れます。値段は容姿や待っている技術にもよりますが、基本的に15歳が一番高く、それより歳をとっても、若くても値段が下がります。それに、村だと15以上は結婚している可能性が他界ので、自然と15歳以下の少女、それも容姿が整った者が多くなるのが自然です」


 そういうものなのか……。


「ですが、広坪様の疑問も尤もてす。商品の少女達を見知らぬ者に先払いをする。およそ商人の行動とは思えませんので、警戒は厳重にすべきです」


 信用が無い者に先払いで商品を頼む。

 俺達は商品を信用が無い者に託して販売をしたが、失っても全く痛くない程度だったので、問題は無かったが、村に寄った行商人は、食糧を売った対価全てを置いていった。

 全く知らず、信頼も無い俺達相手に先払いでた。

 確かに信頼を重視する商人の行動とは言えないな。


「他に目的があると見て良いですかね」


「その商人から子爵軍の話を村長が聞いたと言っておったな。ポーションを作る魔具を狙っているのかも知れぬな」


「十分にあり得ますね」


「では、商人には厳重警戒で対処する。と言うことで良いですね」


「それがよかろう」


「「「「賛成です」」」」


 これで、商人への対処も決まった。


 だが、まずは少女達の受け入れ準備と、村の防壁建設のための準備だ。

 防壁自体は簡単に建てられるが、門や見張り用の建物も必要なので、そちらの準備がある。


 準備はアリスさんに任せれば大丈夫なので、お任せして、マリーのお願いのために頑張ることにする。




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