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新精霊 護衛訓練

前々回に村長達との自己紹介を追加。

一、二行なので、確認の必要はありません。


村長さんの名前はモザレフさんになりました。

 



 研究所



 聖堂院の西にある村へ宣伝へ行ってから一ヶ月近くが経とうとしていた。


 新精霊達は、この一ヶ月ほどは武器の扱いとメイドの訓練に力を入れていた。

 オシホ様によれば、新精霊達は魔法を頼る傾向が強く、武器の使用やメイド業に影響が出ていたそうだ。

 なので、俺との模擬戦をさせて、魔法だけでは駄目だという事を理解させたかったらしい。


 俺としては普通に戦っただけなので、あれで良かったのか疑問が残ったが、魔法を使わずに勝った事はある意味で良かったそうだ。

 なんでも、魔法を使わずに勝てることの証明、魔法を妨害された時の無力さを感じさせる事ができたそうだ。


 そう言われて気付いたが、普段の戦闘でも足元に土魔法が発動しない様に対策していたし、相手の足元にも相当気合いを入れないと魔法を発動できないと思っているので、射撃系の魔法しか使っていなかった。

 これらは全てオシホ様の指導の賜物で、足元を疎かにすると、

 即座に『アースランス』が生えてくるし、オシホ様の足元に土魔法で(手加減されてはいるが)干渉は簡単には出来ない。

 つまり、土魔法使い同士の戦闘は、地面の制御の奪い合いになるのだ。

 結果として、大精霊が融合している俺は、新精霊達の魔法をなんとか妨害できる程度の力があり、武器の扱いに俺の方が長けていたので、勝つことができた。という事らしい。


 そして、新精霊達は俺にリベンジするべく武器の扱いに注力したらしい。

 なんでも、護衛対象より弱いと護衛の意味が無いそうだ。


 俺を護衛するために、俺を倒そうとする。

 なんとも複雑な気分だ。

 ただ、力になってくれようとしている気持ちは有り難いので、感謝はしている。



 新精霊達も、武器の扱いに慣れてきたので、聖堂院の西にある村へ向かうついでに、新精霊達による護衛訓練がされる事になった。

 新精霊達の体、ゴーレムはメイド用の物だったが、この一ヶ月で遠征用のゴーレムが作られた。

 遠征用の魔力タンクのためにも魔核必要だったので、戦闘用ゴーレムの方の完成には今しばらく時間がかかる。

 今回は訓練なので、特に問題は無いそうだろう。



 今回の護衛訓練は、聖堂院と村の往復なので、聖堂院からとなる。

 メンバーは、俺、マリー、オシホ様、ドライ、新精霊10名になる。

 護衛の訓練なので、俺、マリー、オシホ様を護衛の対象として、新精霊達に護衛してもらう。

 ドライには、遠征用のゴーレムを率いて後方からついてきてもらう。

 更に荷馬車が一台あり、これもドライに任せている。

 荷物は、ポーション15本、『クリーン』の魔具5つ、残りは軍から奪った食糧だ。

 今回の訓練では、新精霊達のみで俺達を護衛してもらうので、余計な荷物は今回は無しだ。


「広坪様、出発したいのですが、準備は大丈夫ですか?」


 俺に話しかけてきたのは、今回の護衛訓練でリーダーを務めるアルファだ。


「こちらは準備万端です」


 今回はあくまで護衛の訓練なので、荷物などの確認は含まれてはいないが、一応の確認だろう。


「それでは、出発します」


 護衛のリーダーを務めるアルファに従い要塞から出る。



 新精霊達が研究所を出るのは初めてだが、村までは一本道なので、迷いはしない。

 陣形としては、俺達の前後左右に1名ずつ配置され、前に居るのがアルファ。

 残りは、前方警戒の為に3名、側面警戒の為に左右の森の中に1名、後方警戒に1名が配置されて広域を警戒しながら進む。

 前方は道と左右の森の中を先行し警戒、左右の森は側面からの奇襲防止、後方は退路確保用になる。

 アルファ以外の者が時折交代しながら進んだが、村までの間にモンスターと出会うことは無く、村へ到着した。


「村に到着しましたが、周辺警戒に出ますか?」


「……そうですね。村の外を一回りしてきて下さい。ただし、単独行動は禁止でお願いします」


 一瞬迷ったが、餌を撒いていたので、変なのが居る可能性があったので、村の外を一周してきてもらう。

 左右にそれぞれ2名ずつ外周を回るために出ていくと、村から村長が出てきた。

 俺達は目立つので、前回同様にすぐに分かったのだろう。



「村長さん、お久しぶりです。品物は売れましたか?」


 顔色を悪くして出迎えてくれた村長さんに挨拶をする。


「コウヘイ様、お久しぶりです。品物は売れましたが、少々問題がありまして……」


 問題という言葉に反応して、俺はオシホ様に顔を向けるが、オシホ様横に首を振るだけで、特に行動しなかったので、敵の様な存在は感知できていないみたいだ。


「詳しい話を聞けますか?」


「勿論です」


 俺とマリーがゴーレムから降りて、村長の家に向かう。

 あとはオシホ様と、護衛としてアルファとガンマ、デルタがついてくる事になった。

 ベータは待機組を任される。

 遠征用ゴーレムを率いていたドライも待機組として村の門前で待機する。



「どうぞお座り下さい」


 村長さんの家に案内されて、席に座って、早速話を切り出す。


「事情はある程度予想ができています。正直に話していただければ、悪いしようにはしない事をお約束します」


 これは事実だ。

 前回もマリーを連れてにていたので、村や村長の様子を確認してもらい、後日状況予想をしてもらった。

 さらに、事前に村の偵察をしていたので、予想はできている。


「ありがとうございます!」


 俺の言葉を受けて、村長さんの顔色が多少良くなり、感謝してきた。


 村長さんに話を聞くと、商人が来て俺の事を話したらしい。

 そして、俺の商品は商人に喜ばれ、大金を手に入れたらそうだ。

 そのお金は確認した。

 予想より少し多目の金額だった。

 約束だった、料金の一割を村長に渡す。

 ここまでは問題なかったが、このあとが問題だった。


 俺から食糧を提供された事も話したそうで、商人はその食糧を見て、ある程度の状況を理解したらしい。

 つまり、俺が40,000人が一ヶ月暮らせるだけの食糧を持っている事を知ったのだ。


商人は、俺の事をそれなりに知っているみたいだったそうだ。


 更に詳しく話を聞くと、商人はこの辺り一帯を行商しているらしく、前回の行商で食糧不足を分かっていたので食糧を多目に持ってきたが、予想をかなり上回ったらしく、食糧が足りそうに無かった所にこの話を知ったそうだ。

商人は村長さんと話をして、後日食糧は確実に届ける約束をして、俺達が寄付した食糧を売ったそうだ。


そして、食糧の補填先として俺を選んだらしく、少女達を対価に、食糧を売って欲しいと商人は少女を残していったそうだ。


俺は、人種、亜人問わす女好きで知られているそうで、これなら食糧を譲ってもらえると、村長さんに話したらしい。

 副団長さんの一行がばらまいた噂だろう。

 頭が痛くなる思いだが、やったことを考えると否定できない。



売られた食糧だが、これは少々割高で売られていた。

 正確には、貸したそうだ。

補填の約束はされたが、なんの保証も無いので、その担保として割高の料金を預かったそうだ。

 これは商人からの提案で、村長から買った食糧で他の村を救い、少女を集める。

 そして、その少女を対価に俺から食糧を買って、割高の料金と交換するらしい。


 ただ、買えない場合も想定していたらしく、もし買えなかった場合に備えて、担保として割高の料金を預けたらしい。

 俺から買えなければ、その料金を使って食糧を買うつもりだそうだ。


 その話を聞いて、なかなかに感心した。

 商人の提案もそうだが、村長がその提案に乗った事に感心したのだ。

 自分達だけを考えれば、しなくても良いことだが、あえて実行した。

 状況を考えれば、行商人がもう一回来れば食糧は行き渡ったかも知れないが、2ヶ月かかる事を考えれば、少しでも早く食糧を手に入れられる事は安心に繋がる。

 心情的に安心具合が違う。



 俺達が予想していた状況よりもかなり良い状況で驚いた。

 食糧不足により、売られた少年少女が大勢残されているだけ、という事を予想していたので、品物の代金があり、村長が他の村のためにリスクを犯して食糧を売っていた。

 この村に寄った行商人が行った村だけだろうが、食糧事情が多少は改善されただろう。


「状況は分かりました。少女達はどうしますか?こちらで預かることもできますが」


「初めからお願いするつもりでした。家に余裕が無く、納屋で過ごさせているので、是非お願いします」


「承知しました。それから、前回よりは少ないですが、食糧を持ってきてあります。こちらを条件付きて提供しましょう」


「とてもありがたいです。条件をお聞かせ下さい」


「簡単な条件です。行商人に、最低でも村長がお売りになった量と同じだけの食糧を売ります。なので、預かっている料金ときちんと交換してください。それだけです」


今回食糧を持ってきていたのは、近隣の村に食糧を融通した可能性を考慮してだったが、こういった事情なら問題にならない様に釘を刺しておく。

食糧の提供を受けたので、割高の料金は返さない。なんてなれば、村と商人の関係が悪くなってしまう。

まぁ、村は商人が来なくなるリスク、商人は信用を捨てるリスクを負うことになるので、そんな身を滅ばすような事はしないと思うが、一応念のために釘を刺した形になる。


「無論そのつもりてしてので、喜んで条件を飲みます」


「それなら良かったです。今回持ってきている食糧をお渡しします。それから、行商人用の食糧は後で届けさせます。あと、交換後に今回渡す分を行商人にお売りになっても構いません」


「度重なるご配慮ありがとうございます」


「いえ、こちらとしても、利益があることなので、気にしないで下さい。それより、今回も商品を持ってきています。それをまた預かってもらえますか?」


「承知しました」


「それから、商人に伝言をお願いします。買い付けを希望。ニワトリ、ウシ、ブタを買いたい。優先は言った順、量任せるが、多くても買い取ります。対価は商品を売った料金と食糧、ポーション、魔具で対応可能。と伝えて頂けますか?それから、直接聖堂院に来てもらっても構わないと伝えておい下さい」


「承りました」


「よろしくお願いします」


 大体の用件は済んだが、もう一つ用件があるのでその話を切り出す。


「これはまた別の話なのですが、この村に防壁を建てませんか?」


「防壁、ですか?」


「はい。我々は商人をこれからも呼ぼうと思っています。なので、この村は我々にとって重要な場所です。俺は土魔法を得意としていますから、魔法で防壁を作りたいと思います」


「有り難い話です。ですが、対価はなんでしょうか?」


「この村ができるだけ俺達に協力する事、これでどうです?無論、村の不利益になるとなったら、切り捨ててもらって構いませんので」


「それでよろしいので?」


「無理に従わせる理由がありません。俺としては、聖堂院を手に入れた時点で十分ですから」


「いえ、コウヘイ様の利益として、です」


「ああ、なるほど、そちらですか。でしたら、この村が存続する。これだけで価値があります。聖堂院は賊だった俺達が占拠しています。信用がありません。ですが、もしかしたら、興味を持ってこの村まで来るかも知れません。その時この村の方々の意見で聖堂院まで来るかも知れない。これだけで我々としては助かるのです」


「……そうですか。それで良いのでしたら、是非お願いします」


「承知しました。ですが、防壁を建てる場所も決まってませんし、準備もあります。なので、次に食糧を持ってくる時に建てます。なので、その時までに、防壁を建てる位置を決めておいて下さい。最悪は門の位置だけでも構いません。よろしいですか?」


「勿論です。承知しました」


「では、一週間後にまた来ます」


「はい。よろしくお願いします」


 その後、村長と軽く雑談ついでに周辺の状況を尋ねてみた。

 思ったよりも色々知れた。

 特に興味を引かれたのが、俺達が子爵軍を退けた直後に領都にオークの襲撃があった事だ。

 南と東から攻撃されて、軍が居なかった事で領都まで進撃されたが、領民の避難が間に合い、被害はほとんど出なかったしうだ。

 そして、戻ってきた軍によって背後を突かれて、オークは撃退されたそうだ。

 そのせいでポーションの値段が上がっているそうだ。

 だから代金が多かったのか。

 そして。噂では南の冒険者の国も襲撃をされたそうだ。

 被害のほどは分からないそうだ。



 状況が色々変わりそうなので、対策を考えておく必要がありそうだ。



 用件が粗方済んだので、食糧と商品の引き渡し、少女達は達との面会を行った。

 食糧は無事に渡され、村長も一安心と言った感じだった。


 そして、問題の少女達は、15~10歳の少女達11人だった。

 皆容姿は悪くなかった。

 獣人が二人で、残りが人種だった。


「初めまして、俺が皆を引き取る事になった広坪土倉です。よろしく。俺の噂を聞いているかも知れないが、悪い扱いはするつまりは無いので安心して欲しい。ただ、俺達と敵対することになったら、追い出す事もあり得るので、そこは注意して欲しい。以上だが、何か質問はありますか?」


「あの、どこに連れていかれるのですか?」


 少女達の中で一番の年長者な少女が質問してきた。


「聖堂院になります。たた、聖堂教国ではなく、俺が支配しています。これは、子爵から正式に認められています」


 聖堂院と聞いて一瞬喜んだ少女達だが、子爵と聞いて絶望している。


「子爵から認められていますが、子爵の仲間ではありません。子爵と戦って勝ち取りました。なので、子爵に引き渡すような真似はしません。それだけは約束します」


 少女達は安堵するが、売られた少女達がどの様になるかは、あまり良い未来が見れないだろうから、すぐに暗い顔になる。

 こればかりは、連れていって理解させるしかないので、これ以上の話は止めておく。


「今から聖堂院に向かいます。皆さんには、荷馬車に乗ってもらいます」


「はい」


 俺が思っていた以上に落ち着いている。

 もっと泣きわめいて居そうなイメージだったが、この年長者の少女が取りまとめているから落ち着いているのかも知れない。



 少女達を荷馬車に乗せて、オシホ様に作業用ゴーレムで荷馬車を牽いてもらい、帰路に着く。

 帰りの護衛も新精霊達だ。




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