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聖堂院改修と監視拠点

 



 研究所 南側出入り口前



 もうすぐオシホ様達が、予定通り丸二日の作業を終えて帰ってくる。


 ルティと共に目覚めた日は、普段通り過ごし、夜はカティと一緒だった。

 既にローテーションが組まれたんだそうだ。

 ちなみに、今夜は男一人の寂しくて自由な夜になる。



 オシホ様達が見えたと思ったら、出発時の半分ほどしか居ない。

 帰ってきた挨拶もそこそこに状況を尋ねる。


「なにかありましたか?」


「特に問題は起きておらぬ。じゃが、偵察と思われる15人を確認したのでな、アインを残して来たのじゃ」


「そうでしたか。詳細は中で」



 会議室


 研究所内に入り、会議室で報告を聞いた。


 二次改装は全て完了し、家具や生活物資さえ運び込めば普通に生活ができる状態にしてあるそうだ。

 そして、問題の偵察と思われる存在は、五人組が三つで合計15人、南と西の街道を見張れる位地にそれぞれ一組、後はその中間付近に一組居て、俺達がしていた様に森の中に潜んでいるそうだ。

 まぁ、地面の上に居る以上、オシホ様達から隠れられるわけないんだが。


 それにしても、たった二、三日偵察が来るとは思っていなかった。

 どうしようか悩みそうになったが、カティが意見を言ってくれた。


 カティによると、それらの偵察は、近くの街からの者で、本格的な進軍にも備えた安全確認の部隊だと思われるそうだ。

 俺が占領を宣言した村から街へ伝わり、領都へも情報を伝達すると同時に聖堂院の監視も兼ねた偵察で間違いないとの事だ。


 考えてみれは、その通りだ。

 街にはそれなりの指揮官なりが居るのだし、状況確認や事前偵察のために人を送って来てもおかしくない。

 それこそ、使者が来てもおかしくは無いのか?

 いや、俺達は聖堂院を不法に占拠している賊だから来ないか。

 もし、来たとしても降伏勧告とかそんな類いのものだけだろな。


 俺達が女性300人を拐った事も伝わったいるだろうし、大使館的な場所を占拠しているのだし、国際問題にもなりかねないのだ。

 即討伐軍が派遣されてきて、交渉も無しに襲いかかってきてもおかしくない。

 というか、その可能性がた高いな。

 当初の予定より敵が多そうだが、なんとかなるだろう。


 この意見には、カティの肯定も得れた。

 正直、俺達のゴーレム軍団なら負けることはないとの判断だそうだ。

 カティには、少々常識外れだ、という不本意な評価をされてしまった。


 まぁ、カティが大丈夫と言ってくれているし、作戦は継続する。

 当初から戦闘も予定の内だったし、失敗しても生命への危機小さい。

 なにより、三姉妹や妻達の未来の事を考えると、どうしても外部との交流拠点が必要なのだ。

 多少気は重いが、やらなければならない。




 オシホ様の報告を聞いた結果、警戒度合いを強めるだけで、作戦は継続。

 そして、聖堂院の防衛設備の本格的強化が決まった。


 本来なら、聖堂院の放棄も視野に入れ、外に出しても大丈夫な物だけで改装をする予定だった。

 だが、俺の作戦継続判断にオシホ様とアリスさんが難色を示した。

 今思えば、難色を示したのも、防衛設備の本格的な強化を認めさせるためのだったのかも知れない。

 俺としては、少しだけ防衛設備の強化をするつもりだったが、オシホ様とアリスさんの口車にのせられて本格的な強化を受け入れてしまった。


 オシホ様とアリスさんの二人は、今も強化計画を話しているのだが、なんだか試作品まで持っていく話が出ている。

 こうなってしまった二人を止める手段を、俺は持っていない。

 まぁ、聖堂院が安全になるなら、それはそれで良いのかも知れない。

 たとえ、俺達が搭乗型ゴーレムに乗っていれば安全が確保されるので、そこまでの防衛設備が必要ないとは言え、だ。

 それに、敵を圧倒する事で、一度の戦闘で交渉へ移行できるかも知れないので、黙して事態を見守る事にする。



 過剰な防衛設備があっても、なんやかんや言って使わないように交渉しよう。

 ゴーレムを飛ばす投石機なんて使いたくない。

 一番小さい戦闘用ゴーレムで高さが2mあるのだ、そんなものが飛んできたら、下敷きになった者はミンチだし、ゴーレムがその場で暴れれば被害は甚大なものになるだろう。

 それにだ、機密保持のために自爆なんかの機能を持たせるように進言しようかと思ったのだが、飛ばすゴーレムに自爆機能までついたら、飛んできてミンチ、暴れてミンチ、自爆してミンチとミンチ三昧になりかねないので、自爆機能の事を言えないし、機密がどうのこうの言って気付かせる訳にもいかなくなった。

 戦力が拮抗してるとか、被害が甚大なものになりそう、とかなら仕方ないと思えるが、こちらが戦力的に圧倒している以上、ミンチ三昧は見たくない。

 なので、黙る。


 ロックバレットの回転式連続発射装置は、既に披露してしまったので、諦める。

 ロックバレットがロックジャベリンになっていても、俺は黙って見守る。



 オシホ様とアリスさんの話を聞いていると、敵に同情を覚えるが、まだ死ぬわけにはいかないので、頑張る。

 敵には、二人のアイデア作品を使わないで勝てるように、善処する事で勘弁してもらおう。


 ……そうだ!交渉を持ちたい以上、できるだけ敵にも死傷者が出ない様な対策を、二人に考えてもらおう。

 これなら、ミンチ三昧になる可能性を大きく下げることができる。

 万が一、負けそうになったら、全力でミンチにするか、逃げれば良いのだ。



 あとは、偵察網の構築を検討したのだが、現状では魔力供給範囲拡大の魔具の数が足りなすぎて十分な偵察範囲を確保することは難しいとの事だったので、俺は大山脈に監視拠点の設置を提案した。

 冬の間は雪が常に降っており、視界不良のために使い物にならないので、提案しなかったが、冬以外なら使える可能性は十分にあるし、急場を凌ぐには悪くないと思う。


 大山脈の南側は断崖絶壁が続いており、南側から大山脈を登ろうとする者は極めて少ない。

 なので、大山脈の上層に監視拠点を設置できれば、天候にもよるが、かなりの範囲を見渡せる。


 この提案は、アリスさんに反対された。

 大山脈の中層以上は、竜種の活動範囲だそうで、生き物だろうと無機物だろうと動くもの全てが襲われるらしい。

 なので、設置不可であり、運用も出来ないと言われてしまった。


 だが、アリスさんの言葉を、オシホ様が否定した。

 なんでも、竜種は動くものでは無く、魔力を見ているそうなので、魔力の隠蔽さえできれば、俺の提案を実行可能だと言ってくれた。

 これを聞いたアリスさんも、魔力の隠蔽でどうにかなるなら、十分に可能だと言ってくれたので、大山脈中層に監視拠点を作る事が決まった。


 ただ、監視拠点を作るのには、いくつかの問題点があった。

 監視拠点の魔力を隠蔽するのは当たり前にしても、大山脈の中層まで行って拠点を設置、しかも魔法を使わずにだ。

 魔法を使えば竜種にバレてしまい、ゴーレムを破壊されてしまう。

 なので、行く者の魔力を隠蔽と通常の手法での拠点建設をする必要がある。


 さらに、監視方法なども検討された。

 監視方法は、同期型ゴーレムを使うことになった。

 竜種が魔力を見るといっても、動きを見ない訳ではないので、頻繁に出入りすると、監視拠点の破壊や向かった者の危険もあるので、同期型ゴーレムでの監視となった。

 それに伴い、魔力の供給については、同期ゴーレムを稼働させるだけなので、有線で対処することになった。

 有線の方が隠蔽は楽らしい。


 監視拠点建設はツヴァイに一任された。

 魔力隠蔽の手間なども考えて、作業用ゴーレムを2体だけつける事になった。


 諸々の準備に一週間かり、それそからさらに一週間で監視拠点の建設はできた。

 入念な魔力隠蔽のお陰で、竜種に気付かれる事も無く無事に完成した。

 完成後に、俺も同期型ゴーレムで視界をかくにんしたが、街道や近くの村々を確認できた。

 これなら、天候さえ悪くなければ軍隊を発見てきるだろう。




 監視拠点が完成した翌日には、聖堂院の改修も終わった。

 改修は、ある程度期間を空けて段階的に改修していくつもりだったが、聖堂院の本格強化が決まってから急速に改修された。


 完成た聖堂院を俺も見たのだが、木製の砦だったものは、頑丈な石の防壁をもつ要塞になっていた。

 防壁は厚さ3m、高さが10mあった。

 さらに、周囲には空堀があったのだが、形状からして、敵を逃がさない様な工夫がされていた。

 手前側が坂になっていて、奥が垂直な壁になっていて、こちらの射線からは隠れられず、堀からの脱出も難しくしてあった。


 完全に敵を殺す仕様になっており、砦だった頃の面影は一切なかった。

 内部も同様で、外来客のための建物はおったものの、全てが戦闘用に改修されていた。


 聖堂院内部は、前のを見ていなかったのでなんとも言えないが、研究所に似た雰囲気になっていた。

 これなら、すぐにでも移住が可能だ。



 そして、研究所から聖堂院への地下通路が完成していた。

 表を行き来するのは、多少の問題も出てきたので、地下通路を作ったのだ。

 これにより、物資や戦力、人員の往来が楽になった。

 ただ、聖堂院が陥落した場合に備えて、破棄できるように細工をしてあり、さらに破棄後も、研究所へは辿り着けない様に何重にも細工がしている。

 これてまバレる様なら、隠れるのは不可能だそうだ。




 子爵の偵察が来てから二週間で要塞になったのだが、聖堂院が異常に強化されるのを見て、数日前に偵察の人員が50人に増員された。

 だが、変化はそれだけで、こちらに接触してくる、という事は無かった。



 そして、さらに一週間が経ち、子爵の軍と思われる軍隊の姿を監視所から確認できた。


 数としては、5,000ほどなので、予想よりかなり少なかった。

 予想では倍の10,000は来ると思っていただけに、拍子抜けだが、機を引き締めていきたい。



 子爵軍の接近に伴い、俺は聖堂院に駐留することになった。

 俺以外は、オシホ様とアイン、ドライ、カティとマリーになる。

 聖堂院残留組の退去護衛の時と編成はそれほど変わらない。

 カティの元部下の方達も呼ぼうか迷ったが、機密も多いので、完全に信頼できる者のみで戦闘に備える。



 子爵軍の発見から三日が経ち、軍は聖堂院の近くで夜営の準備に入った。

 その頃には、偵察隊指揮官と思われん人物も軍に合流した。


 軍から何か通告があるかと思ったが、翌日には何の通告も無く聖堂院を包囲するように軍を展開してきた。

 軍の指揮官がどんな命令を受けて、どんな考えなのか知らないが、完全な戦闘体制な以上、こちらも臨戦体制に移る。



 できれば、穏便に終わりたいものだ……。




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