事情と三人目
ハーレム正当化工作回が続いてしまい、申し訳ありません。
もう少しで話が進むと思います。
研究所 会議室
報告を終え、俺に妻を増やさせようとした『事情』を訊く。
「広坪様、私達親子が領主に差し出されそうになった事、マリーが結婚の妨害を受けた、という話を覚えていますか?」
「勿論です。結婚妨害でマリーディアさんが村を出る決意をして、それがルティ達の危機を知るきっかけになり、共に脱出して俺と出会ったのですよね?」
「その通りです。私は広坪様に妻にしていただいて満足なのですが、マリーは結婚自体を諦めるというよりは、放棄するつもりの様だったのです」
「ここまでマリーディアさんの話をするという事は……」
「はい。私はマリーを広坪様の妻にしていただきたく思い、今回の事を起こしました」
マリーディアさんを俺の妻に……。
俺はマリーディアさんの反応が気になり、マリーディアさんを見ると、顔を赤くしている。
先程のカティと似たような反応だった。
「マリーディアさんは、俺の妻になってもいいのてすか?」
俺は、思わず口走ってしまう。
「はい。私は広坪様の妻になりたいです」
マリーディアさんは、顔を赤くしながらも俺を真っ直ぐ見つめてハッキリと断言した。
こうまでハッキリと言われてしまうとなんて言ったら良いのか迷う。
彼女は、こちらの世界では行き遅れ扱いになる少し前という状態だ。
それでもまだ20歳だし、ルティと姉妹だけあって似ている所もあるが、天真爛漫といった感じで明るい女性で、ルティとはまた違った魅力がある。
……ルティと比べてばかりだな。
マリーディアさんは、俺には勿体無いほど素晴らしい女性だ。
「嫌、てしょうか?」
マリーディアさんが不安そうな声で訊いてきたので、慌てて返事をする。
「マリーディアさんの事は嫌いではありませんし、好ましく思います。ですが……」
「私の妹、というのが問題なのですね」
俺が言葉に詰まると、ルティが俺の思いを正確に読み取り、言葉を続けた。
ルティの言葉は、まさにその通り、というべき言葉だった。
正直、姉妹を妻にというのは憧れる部分はある。
それに、複数の人から愛されるというのは、どうしようもない喜びを感じた。
だが、俺は姉妹二人を妻にする、と思った時に、嬉しさよりも気まずさが先立ったのだ。
そのせいで、言葉を続ける事ができなかった。
「その通りです」
「でしたら、私が妻でなければ――」
「待ってください!俺はルティだから結婚したのです!ルティが居なければ、妻を持とうと思わなかったでしょうし、俺はルティを手放すつもりは無いと言いました」
ルティの発言に、反射的に反論した。
「そこまで言っていただけて嬉しいです。ですが、マリーを妻にするのに、私が問題になるというのは嫌なのです。私は愛する人と共に居れる幸せを知りました。それをマリーから奪うことなどしたくないのです。ですから……」
「ルティの気持ちは分かりました。……マリーディアさん、貴女は俺の妻に……なってくれますか?」
俺は、マリーディアさんに、『妻にたりたいですか?』と言いそうになったが、なんとか言葉を飲み込めた。
「広坪様が望んでくださるのなら」
「ありがとうございます。ですが、もう少し待って下さい。カティ、マリーディアさんを妻に迎えても良いですか?」
マリーディアさんの返事の後に訊くのは卑怯な気もするが、妻であるカティにも訊かなければならない。
「勿論です。マリーにもこの幸せを感じて欲しいです」
「ありがとう。カティ」
カティの賛成も得れたので、俺はマリーディアさんの元まで歩いて行き、マリーディアさんの手をとって立たせ、目をみつめる。
「マリーディアさん、俺はルティの事を一番に愛していますし、カティの事も愛しています。ですから、貴女の事は三番目になってしまいます。ですが、貴女を俺の女にしたい。俺だけの女にしたいと思っています。なので、俺の妻になって欲しいです。俺は独占欲が強いので、一度俺の女になったら、貴女を手放すつもりはありません。こんな俺でも妻になっても良いと言うなら、俺の三番目の妻になって下さい」
「プロポーズに他の女性の話をするのはどうかと思います。ですが、広坪様らしいです。私は、広坪様の女になりたいです。広坪様だけの女になりたいです。広坪様の妻にしてください」
「ありがとう。マリーディア」
「マリーディアではなく、姉さん達みたいにマリーと呼んで下さい」
「分かったよ。マリー」
「……ん」
マリーが目を瞑り、顎を少し上げて待機する。
これは、キスをご所望なのか。
横目で皆を見ると、滅茶苦茶注目されていて、拒否できる状態には無い。
できるだけ優しくキスをする。
「マリー、おめでとう!」
「「「「おめでとう!」」」」
俺達のキスを合図に、ルティの祝福があり、カティと三姉妹もそれに続いた。
なんだかんだと、これで妻が三人になった。
しかも、この一週間で二人増えたのだ。
以前ではとても考えられない状況だが、妻になってくれた三人を精一杯大切にしていきたい。
皆に祝福されながら、そんな風に思った。
マリーが妻になり、ある程度落ち着くと、一つの疑問が浮かんだ。
ルティは、マリーディアさんを俺の妻にするために、カティをけしかけたと言っていた。
別に直接俺に言ってくれればと思ったのだが、ルティによれば、カティによる多妻化のハードルを乗り越え、その勢いに乗って姉妹を娶るというハードルを乗り越える作戦だったみたいだ。
確かに、多妻に抵抗があったが、カティの事情を鑑みて娶る決意をしたし、マリーの場合も、妻が二人でも三人でも変わらないという思いもあったので、姉妹を娶るとう抵抗を乗り越えるだけで決断がてきた。
だが、それではカティが当て馬にされたような扱いなので、少し苦言を呈すると、カティ自身が反論した。
カティによると、やはり年齢による所も大きかったみたいだが、マリーの事も思ってだと言っていた。
年齢の事だけを気にしてだったら文句を言おうかと思ったが、マリー事を思ってと言われては反論できなかった。
カティとの結婚が無ければ、もしかしたら拒否していた可能性を否定できないので、文句は言えない。
なんにしても、これほどの美人達を妻にできて、妻達も仲が良いみたいなので、結果オーライだと思いたい。
マリーとの結婚が決まったので、カティとの結婚祝いと帰還祝いを兼ねて、夕食を豪華なものにする事が決まった。
皆は食事の準備などに向かったが、俺とカティは護衛のツヴァイを連れて保護している女性達の代表達と会談をした。
目的は、カティとの結婚報告と人種の代表引き継ぎだ。
カティは、今後俺達の側で暮らすので、代表者にしておくと色々と問題の種になりそうだからだ。
結婚の報告をしたときは驚かれたが、概ね歓迎の様子だった。
そして、代表引き継ぎも完了したが、今度は全体の代表者を選ぶのが少し大変だった。
エルフが全体代表を希望してきたが、結局は人種の代表になったカティの副官に決まった。
ドワーフと獣人の代表が援護してくれなければ、もっと大変な事になっていただろう。
そうこうしていると、夕食の少し前にオシホ様とドライが帰ってきた。
「お帰りなさい。聖堂院はどうでしたか?」
俺はオシホ様を出迎えて、聖堂院の事を早速訊く。
「残留者は居なかったのじゃ。じゃから予定通り一次改装と封鎖のみで帰還した」
一次改装は、魔力供給範囲を広げる魔具を設置し、防壁を構築する事が主な目的だ。
一次改装だけならそれほど時間がかからないが、今回は残留者と罠の入念な確認と聖堂院内部の状態の確認もあったので、これほど時間がかかったのだ。
「残留者が居なくて良かったです。もし居たら面倒ですからね。聖堂院内部の報告は後で聞きますが、俺から報告したい事があります」
「マリーディアと結婚したか?」
「やはりご存知でしたか」
「まぁ、ワシも計画に三枚ぐらいは噛んでおったからな。お主も嫌いでは無かろう?」
「俺には勿体無いほどの女性達を三人も娶れて嬉しいのですが、こうなってくると失うのが恐いです」
「ここなら安全ではあるが、お主の大切な者達も出来る限り守る。そう心配ばかりせずに愛を育むが良い」
「そうですね。そうさせていただきます」
少しだけ不安を和らげてもらい、食堂へ向かう。
夕食は、俺達がもって帰ってきたイノシシのフルコースだった。
思ったよりも臭みが無くて美味しかった。
ちなみに、夕食には元気になるお薬は入っていない事を確認している。
イノシシは、保護している女性達にも十分に振る舞われて、全てが夕食として処理された。
結婚祝いも兼ねていたので、お酒も小量出された。
決して、代表引き継ぎの時の感謝を込めて肉と酒を振る舞った訳では無いが、獣人とドワーフの人達が特に喜んでいたという。
夕食後は、オシホ様の報告を聞くために、会議室に集まった。
聖堂院に関しては、残留者が居なかった以上、特に決めることは無い。
既に大体の予定は決まっているのだから。
聖堂院は、一次改装~四次改装まで予定が組まれている。
一次改装は、魔力供給範囲を広げる魔具を設置し、防壁を構築。
二次改装は、生活できるように改装する事と最低限の防御が出来るようにする事。
三次改装は、防衛機構の構築。
四次改装は、研究所との接続。
四次改装は、研究所との接続となっているが、聖堂院を完全な支配下に置いた後、地下通路で繋ぐ予定だ。
利便性を考えると、もう少し早く作りたいが、放棄や破棄の事を考えると、確実に出口である聖堂院を確保してから構築することにした。
聖堂院の確保より、研究所の安全が優先だ。
なので、オシホ様に聞くべき事は、聖堂院の内部の被害状況だ。
聖堂院から全ての魔具が運び出された事が予想されているので、その取り外しの為にどれ程破壊され、聖堂院内部で生活するのに必要な魔具の数を確認するためだ。
「聖堂院の内部に残留者や罠はなかったのじゃ。魔具は、根こそぎじゃった。魔具があったと思われる場所は、部分的に破壊されている箇所が目立ったが、損傷は軽いものが多かったのじゃ。それから、水源は封鎖こそされていたまのの、無事じゃった」
「それなら、魔具さえ準備できれば、直ぐに住めるようになりそうですね」
「そうじゃな。魔具さえあれば、直ぐに住める様に出来るじゃろう」
その後、オシホ様に聖堂院内部のミニチュアを土魔法で作ってもらい、詳細を詰めた。
ルティ達を始め、カティ達にも話を聞いていたが、ミニチュアを作るとより分かりやすく、計画を立てやすかった。
聖堂院は、一階と二階、地下一階と地下二階の合計で四層だった。
事前の計画と、ミニチュアを見比べて、計画の若干の変更はあったが、なんとかなりそうだった。
準備する魔具については、魔石を利用した魔具を使用するので、足りなかったが、魔石の在庫も十分にあるし、作るものは簡単な物なので、明朝までに準備できるそうだ。
計画の確認、魔具の準備、生活に必要な物資も今回の遠征で大体が分かっているので、早めの解散となった。
今日は、マリーとの初夜だから、皆が気を効かせてくれたのだ。
マリーと共に俺の部屋に向かった。
手に収まる丁度良いサイズでした。




